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「みんな、もう一踏ん張りだけ協力してくれないか」険悪な空気の中で動いた30代男性→納品後にクライアントから直接届いた言葉

  • 2026.5.17

締切1週間前の重い会議室

そのプロジェクトの納期が迫ってきたのは、ちょうど一週間前のことでした。

私は中堅のリーダーとして、進捗を取りまとめる立場にいました。

会議室を見渡すと、デザインの先輩は他案件で手が回らず、若手の同僚は無言でパソコンをにらんでいる。エンジニアの同僚は腕を組んだまま、口を開こうとしません。

「みんな、もう一踏ん張りだけ協力してくれないか」

私が思い切って声をかけた瞬間、空気が一段重くなりました。

誰もが自分の手元で精一杯で、ここから上乗せされたくない。それが顔に出ていました。

会議室を出ると、廊下の冷たさにふっと息を吐きました。

リーダーとして頭を下げて回るしかない、と腹をくくった瞬間でした。

声をかけて回るたびに悪くなる雰囲気

翌日からは、各席を回って細かい依頼を一つずつお願いする日々が始まりました。

デザインの先輩には差し替え画像を一点だけ、若手の同僚には文字校正を半日ぶん、エンジニアの同僚には動作確認の追加を一画面分。

「これ、本当に必要ですか」

声をかけるたびに、そんな冷たい返事が返ってきます。

雰囲気は確実に悪くなっていく。

それでも私は、自分の担当箇所を黙々と進めながら、頭を下げて回り続けました。

夜の事務所で一人残ってチェックリストを潰し、同僚から戻ってきた成果物を一つずつ拾い集めていく。地道に重ねた一手ずつが、少しずつ完成形に近づいていく感覚だけが頼りでした。

納品前夜、最終確認を終えてフォルダを閉じたときには、外はもう明るくなっていました。

納品後にクライアントから直接届いた声

納品翌日の打ち合わせで、クライアントの担当者が画面越しに身を乗り出してきました。

「期待以上の仕上がりでした」

静かな声でしたが、はっきりとそう言ってくれたんです。

続けて、特に細部の文字校正と動作の安定感が決め手だったと、具体的に挙げてくれました。

それは、雰囲気を悪くしながら頼んで回った、まさにその二か所でした。

「最後のチェックの細かさは、社内でも話題になっていました」

担当者が付け加えたその一言で、思わず喉の奥がきゅっと締まりました。

誰にも言わずに残業してチェックリストを潰した夜が、画面の向こうの誰かにきちんと届いていた。

会議室に戻ると、若手の同僚が小さく「やってよかったですね」とつぶやいた。デザインの先輩も、エンジニアの同僚も、無言で軽くうなずいてくれた。

胸の奥で、ずっと張り詰めていたものがすっと抜けていく感覚がありました。雰囲気を犠牲にしてでも頼んでよかったと、心からそう思えた瞬間でした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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