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【THE ALFEE】前人未踏のライブ3000本達成しても「今日より明日、ほんの少しでも良い音を」と…日本ロック史に残る一夜を感動レポート

  • 2026.5.8

結成53年、一度も立ち止まることなく歩み続けてきたTHE ALFEEが、ついに前人未踏のライブ3000本を達成しました。CREA WEBでは、ライターの田中稲さんが目撃した歴史的一夜の完全レポートをお届けします。


4月17日、夕方、豊洲駅――。私は人の波に流されまくっていた。目指すは「THE ALFEE3000本記念ライブ」が開催される江東区有明の東京ガーデンシアターである。

実は人生初豊洲、初ゆりかもめ。降りる予定の「有明テニスの森」という駅名のなんとオシャレなことよ……!

駅に降り立ってからも、グーグルマップもナビの方向が合うまで、グルグルとその場で回転する。いつもながら、この「進行方向が定まらないスピンタイム」は不安。意地悪しないでグーグル先生。頼りはあなただけなのよッ、と叫びたくなる。くッ、我ながら情緒不安定になっている(汗)。落ち着こう!

●東京ガーデンシアターの席の多さにおののく

高見沢さんの光るギターの文字数に衝撃。「3000」だけでも十分なところを敢えて「THE ALFEE 3000TH LIVE ANNIVERSARY」とギッシリ丁寧に作りこまれたギターの輝きはまばゆいばかりだ。しかしそれ以上に高見沢さんの笑顔が輝いており、W(ダブル)の輝きで画像がハレーションを起こしているようにも見える1枚。

結局グーグルマップに頼るより、人の流れについていったことで、簡単に東京ガーデンシアターに着いた。開演まで40分、とにもかくにも腹ごしらえである。かねてより、推しのツアーを追いかけ日本全国を旅するファンの方々の「各地のおいしいものを食べてからライブ参戦スタイル」に憧れを抱いている私。私は一人だとチェーン店しか入れないヘタレなのだが、今回はぜひ! 高見沢さんも美食家だし、あやかってぜひ!

ぜひと思うばかりでどこに入ればいいのかわからず、有明ガーデンのフードコートに入りました~(泣)。時間もないしね、と自分に言い訳し、チキンナゲットとスプライトを頼んだところ、読みが甘かったのか、すごい量のナゲットとでっかいサイズのスプライトが出てきた。こっ、ここは有明じゃなくてアメリカなの? と一瞬立ち眩みがしたが、腹に詰め込んだぞ!

ガーデンシアターの入口前に行くと、モニターにTHE ALFEE の画像がドンと表示された。ファンの方々が撮影していらっしゃる。オオッ、私も私も! と急いでポケットからスマホを出したところで表示は広告に変わった……。諸行無常!

しかも私は基本的に30分前にはスタンバイしておきたい「せっかちビビり」。今回はこの時点で20分前になっていたので、早く座席につきたいと焦りまくりである。なのに東京ガーデンシアターってば座席数がとにかく多い! 席にたどり着けるだろうか(泣)。特大サイズのスプライトを底までズビズバすすっていたあの時間よ戻れ……。しかも、コンサート施設はたいてい円形になっているので、

「この道はいつか来た道? ああそうだよ……」

と名曲「この道」状態になることが多々ある。この通路さっき通ったよね的な! 壁にはズラッとアルフィーの歴代のライブポスターが貼ってあり、みなさん撮影されている。「この3人ビジュやばくね?」といったファンのウキウキ声も聞こえてくる。私も撮影したい。でも一刻も早く席を確認したい(汗)。でも撮影したい。席。撮影。席。撮影。んぎぇあー!! 私はパニックになり、このままじゃいかんと撮影者の波をクロールしながら係の方がいる場所まで泳ぎ、

「私はどこから入れば席にたどり着けるのでしょうか」

と泣きついたのであった。とても丁寧に教えてくれた。あのときの方、助けていただいた鶴ならぬ、背の高いメガネです。本当にありがとうございました……。

●最初からハイスピード。ヒット曲連発で飛ばす前半!

向かって左から、ベースを超ダンディに弾いている桜井賢、高く美しい声でシャウトしている途中の高見沢俊彦、シンセドラムを響かせつつマイクで隠れてはいるが、その口元には最高の微笑を浮かべているはずの坂崎幸之助。

相変わらず前置きが長くなったが、いざアルフィー3000本ライブの開幕! カラフルな照明が点滅し、「キャーッ!!」と声援が響く! いやもう声援も立派な照明になるのだと感動する。「黄色い声援」という表現があるけれど、この日のファンの声は、もっとキラキラ「ゴールド」な声援! ファンの声から出るワクワクオーラが会場をさらに輝かせている気がする。

ステージにアルフィーが登場。オープニングは、「HEART OF RAINBOW」! しょっぱなから「愛している誰よりあなたを!」と歌で宣言してくれる3人に、会場がブチ上がったのは言うまでもない。

しかもこの日は「星空のディスタンス」「メリーアン」を前半に連発するという、マラソンのスタートからウサイン・ボルト並みに飛ばして走るみたいな構成となっていた。桜井さんが宇宙まで響くような声で歌う! 坂崎さんがくるくるとスティックを回し華麗に歌う! 高見沢さんがハイトーンでシャウトしながら飛ぶ!!

全員古希を過ぎているのだが、3人を観ていると「古希」の定義が70歳ではなく、70万馬力を意味する気がしてきた。

当日は高見沢俊彦の72歳の誕生日。MCでは、高見沢さんがいまだに堂島ロールを1本、ペロリと平気で食べると桜井さんが暴露していた。あの生クリームの塊みたいなのを丸ごと……! 羨ましい。

●生演奏の迫力! 「君が生きる意味」を「アルフィーが歌う意味」

この坂崎さんの画像に見惚れ、気が付けば30分経っていたという人もいるだろう。わかる。坂崎さんのスマイルの破壊力、すさまじい……。

私が胸震えたのはむしろ後半。10曲を超えたあたりからさらにハードな曲でギアを上げてくる。体力気力もすごいが、何より3人が本当に楽しそうだ。高見沢さんは

「72年生きて分かったことが1つあります。バンドというのは熟成するのではなくて、辞め時が分からなくなる病気です。完治しません」

と仰っていたけれど、こんなに楽しそうなら、そりゃもう辞め時なんてわかんなくなるだろうとつくづく思う。

最新アルバム「君が生きる意味」から数曲披露されたのには興奮MAX。思わず両手を拝むようにして聴き入ってしまった。

ああ、強さを得ていく旅人が見えるよ(泣)。自然の風や葉音、鳥の鳴き声、川のせせらぎ、砂利道の音、胸の鼓動、すべて聴こえてくるようだ!!

私は「君が生きる意味」という楽曲は、「アルフィーが歌う意味」と勝手にサブタイトルをつけている。これは70歳を超えてティーンエイジャーの心を持ち、青年のパワーを兼ね備え、50年以上続けた技術と経験値と人生の言葉を持っている今の彼らにしか歌えない歌だと思うからだ。

音の数も言葉の数もとにかく多く、とても複雑で、正直、生演奏に向いている曲ではない。けれど、3人はやるのだ。何曲も演奏したあと、「想いよ届け」と後半からやってのけるのだ

ポエトリーリーディングにも近い、立ちすくんでいる人たちへの鼓舞を、生演奏であんなに力強く、しかし説教臭くならず響かせるなんて、今の3人にしかできない!

ザ・ベストテン世代の私は、80年代の曲に一番テンションが上がっていたけれど、これからは、きっと「君が生きる意味」と「孤独の太陽」を待ちわびるのだろう、と聴きながら思った。想い出フィルターなどなんのその。それ以上を生み出してくる。次へ、次へ。これって本当にすごいことだ……!

●3000本は数字だけの金字塔にあらず

歌・ベースはもちろんだが、担当しているグッズ紹介のコーナーも素晴らしい桜井さん。どんなにおちゃらけていてもエエ声はエエ声のまま。笑いながら聞き惚れる。

怒涛の約3時間、18曲!!

日本ロック史に残る金字塔は、決して「3000本」という数だけではないのだなあと思った。同じメンバーで休まず新しい曲を生み、生で届け、ファンを感動させる彼らの在り方そのものが、金字塔なのだろう。

総立ちの観客を見渡すと、笑顔、笑顔、感動の泣き顔の6200人。なんて熱いパワーの交感!! 今年初めての「SWEAT & TEARS」が響き、紙テープが舞い落ちる。高見沢さんの「3000」と光るギターが忙しく動く。アンコールでマイクなし、アカペラで「Pride」が響く――。

「苦節ン十年は好きじゃない」と昔から語っていた3人。3000本を達成したこのライブで言ったメッセージも、とても若々しい。

「少なくとも今日より明日、ほんの少しでも良い音を鳴らせるように」

ホテルに帰って広げた、3000ステージを記念して発行された新聞には、彼らがライブで訪れた場所が日本地図形式で記してあった。53年、3000本、ずっと歌い続けた3人と待ち続けたファンがいたという奇跡の両想いの証だ。黒地に白の文字で、コンサートが開かれた会場名と回数がびっしり書かれ、星のように光浮かんで見えてくる。

お互いが求め合い重ねた3000本。その記録を超え、これからも星空は広がっていくのだろう。

なんという最高の輝き。なんという素晴らしき終わらない旅!

総立ちの観客を見渡すと、笑顔、笑顔、感動の泣き顔の6200人。なんて熱いパワーの交感!!

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲

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