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人は女性の体形を「ふともも」で判断している

  • 2026.5.7
人間の脳は、女性の「ふともも周辺」からその人の体型を予測する / Credit:Canva

「なんとなく見ただけなのに、なぜか相手の体形はすぐ分かる」

私たちは普段、そんな“瞬間的な体形判断”を当たり前のように行っています。

しかし、その判断は、全身をくまなく見比べた結果ではないかもしれません。

オーストラリア・西オーストラリア大学(UWA)の研究チームは、人間が女性の体格をどのように視覚的に推定しているのかを詳しく調査しました。

その結果、女性の体格判断では、特に“下半身”、中でもふともも周辺の情報が重要な手がかりになっていることが分かりました。

この研究は、2025年11月12日付の『BMC Biology』に掲載されました。

目次

  • 人間は「全身」を見て体形を判断しているわけではなかった
  • 脳は「ふともも全体」を見ていた

人間は「全身」を見て体形を判断しているわけではなかった

この研究の背景には、「人間は身体をどのように認識しているのか」という長年の議論があります。

私たちは普段、相手の身体を“全身まとめて”見ているように感じています。

しかし認知科学では、本当に脳が全身を丸ごと処理しているのか、それとも一部の特徴だけを手がかりにしているのかが、はっきりしていませんでした。

例えば顔認識では、人間は目や鼻を別々に処理するよりも、「顔全体」を1つのまとまりとして認識する傾向があります。

一方で身体については、「腰幅」「脚の太さ」「胴体の輪郭」など、一部の特徴を使って全体の大きさを推定している可能性も指摘されていました。

そこで研究チームは、「人は身体のどの部分を見れば、体格を正確に判断できるのか」を調べることにしました。

研究では、まず99人の女性参加者に、コンピューター画面へ表示された女性の身体画像を見てもらいました。

画像には、非常に細い体形から非常に大きな体形まで、35種類の女性身体が含まれています。

ちなみに、顔による印象の影響を避けるため、顔部分は削除されていました。

参加者は画像をわずか0.25秒だけ見せられた後、「この人物の体形は1〜7のどの程度か」を評価します。

ここで重要なのは、参加者に“じっくり分析する時間”を与えていない点です。

研究チームは、人間が瞬間的に行う直感的な体形判断を測定したかったのです。

さらに研究チームは、見せる身体情報を変える3つの条件を用意しました。

1つ目は普通の「全身画像」です。

2つ目は「上半身のみ」で、へそから上の身体部分が見える画像です。

そして3つ目は「下半身のみ」で、へそから下だけが見える画像でした。

もし人間の脳が全身を統合して身体を認識しているなら、上半身だけや下半身だけでは判断精度が落ちるはずです。

結果は興味深いものでした。

上半身だけを見せられた参加者は、極端に細い身体や大きな身体をうまく見分けにくくなりました。

一方で、下半身だけを見た場合は、全身を見たときとほぼ同じ精度で体形を判断できたのです。

この結果から、体形判断に必要な情報は、下半身にかなり集まっていることが分かります。

そして研究チームは次に、「では下半身のどこが重要なのか?」をさらに詳しく調べました。

脳は「ふともも全体」を見ていた

続く第2実験では、研究チームは116人の女性参加者を新たに集め、さらに細かく身体情報を制限しました。

参加者には再び女性の身体画像が表示されますが、今度は画像の一部にデジタルマスクがかけられました。

ある条件では、「外もも」と腰まわりが見え、内もも部分は隠されます。

逆に別の条件では、「内もも」だけが見え、腰まわりや外側の輪郭は隠されました。

研究チームはここで、「脳は単一の特徴だけを利用しているのか」を調べようとしました。

例えば、腰幅だけを見ているのか、太ももの隙間だけを見ているのか、脚の輪郭だけを見ているのか、という問題です。

しかし結果は、かなり興味深いものでした。

外ももだけを見せた場合も、内ももだけを見せた場合も、参加者の体形判断精度は大きく低下したのです。

研究チームは、正確な体格判断には、内ももや外ももを含む下半身の複数の視覚情報を組み合わせる必要があると考えています。

つまり脳は、単独の手がかりではなく、それらの関係をまとめて使っている可能性があるのです。

また研究では、人間の知覚に特有の面白い傾向も確認されました。

非常に細いカテゴリーの身体は本来より大きめに、非常に大きいカテゴリーの身体は細めに判断されやすい傾向がありました。

つまり、極端に細い体形も極端に大きい体形も、脳の中では少し“普通寄り”に見えやすかったのです。

しかも、この傾向は身体情報が制限されるほど強くなりました。

身体情報が少ないと、判断は極端な方向ではなく、より平均的な体形に近い方向へ引き寄せられやすくなると考えられます。

さらに、直前に見た体形にも知覚が影響される現象も確認されました。

直前に細めの身体を見た場合、次の身体もやや細めに判断され、直前に大きめの身体を見た場合、次の身体もやや大きめに判断される傾向があったのです。

こうした結果は、少なくともこの実験課題における体形判断が、写真のような単純な読み取りではなく、直前に見た身体や平均的な身体像の影響を受ける処理であることを示しています。

ちなみに今回の実験は、女性の身体画像を評価したものであり、男性の身体認識へそのまま当てはめることはできません。

それでも今回の研究は、「人間は全身をそのまま見ているわけではない」という、私たち自身の知覚のクセを鮮やかに示しました。

私たちが“見た”と思っている他人の体形は、実際には脳が限られた情報から組み立てた「推測結果」なのかもしれません。

参考文献

The human brain appears to rely heavily on the thighs to accurately judge female body size
https://www.psypost.org/the-human-brain-relies-on-the-thighs-to-accurately-judge-body-size/

元論文

The thighs have it: evidence for the importance of lower body regions in female body size judgments
https://doi.org/10.1186/s12915-025-02444-z

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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