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「あんた方言丸出しで恥ずかしくないの?」と笑うママ友の前で、私の言葉にだけ笑顔を見せてくれた人がいた

  • 2026.5.6
ハウコレ

夫の転勤で引っ越してきて3年。どうしても抜けない地元の方言を指摘されるたびに、私は少しずつ自分の言葉を飲み込むようになっていました。

ママ友の笑い声

保育園のママ友たちとの集まりでした。子どもの運動会の話で盛り上がっていたとき、つい「うちの子も昨日それやっとったよ」と口にしてしまいました。ふと場の空気が変わったのを感じます。ママ友のひとりが「あんた方言丸出しで恥ずかしくないの?」と笑いました。悪気はなかったのかもしれません。でも、周りのママたちがどう反応していいかわからずに浮かべた苦笑いが、胸の奥にじわりと広がっていきました。

言葉を選ぶ日々

それ以来、話す前に頭の中で標準語に変換する癖がつきました。テンポが遅くなり、言いたいことの半分も口から出てきません。ママ友たちの輪の中で、あいづちだけ打って黙っている自分がいます。家に帰ると娘が「ママ、今日元気ないね」と首をかしげました。「元気だよ」と返したものの、自分でも声がこわばっているのはわかっていました。方言は私の一部なのに、それを恥ずかしいものとして隠さなければいけないことが、何よりも苦しかったのです。

公園のベンチで

次の週末、ママ友たちと子どもたちで近所の公園に集まったときのことです。ベンチにひとりで座っているおばあさんが、不安そうにあたりを見回していました。気になって声をかけると、口をついて出たのは方言でした。「おばあちゃん、大丈夫?どうしたと?」。するとおばあさんの表情がふっとほどけて、「ここらへん初めてでね、帰り道がわからんくなってしもうて」と、懐かしいイントネーションで返してくれたのです。

そして...

おばあさんは息子さんの家に遊びに来たものの、散歩の途中で道がわからなくなったとのことでした。手を引いて一緒に歩き、送り届けると、おばあさんが「あんたの声聞いて安心したわ。ありがとうね」と私の手をぎゅっと握りました。

振り返ると、少し離れた場所にあのママ友が立っていました。目が合い、何か言われるかと身構えましたが、彼女は何も言わず視線をそらしました。謝罪も、ねぎらいもない。でも、それでよかった。あの日、私の方言をまっすぐ受け取って笑顔を見せてくれた人がいた。それだけで、ずっと飲み込んできた言葉が、喉の奥からゆっくりとほどけていく気がしました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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