1. トップ
  2. エピソード
  3. 窓口でお客様対応中、ひらりと落ちた“付箋”…銀行員「もしかして」→思わずギョッとした“書かれていた内容”に「絶対やめて」

窓口でお客様対応中、ひらりと落ちた“付箋”…銀行員「もしかして」→思わずギョッとした“書かれていた内容”に「絶対やめて」

  • 2026.6.11
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。くまえり銀行員です。

今日は、窓口で実際にあった出来事の中でも、私が思わずヒヤッとした「暗証番号管理」にまつわるお話をしたいと思います。

銀行で働いていると、「防犯には気を付けているよ」とおっしゃるお客様によく出会います。

確かに、最近は特殊詐欺や不正利用のニュースを目にする機会も増え、防犯意識そのものは以前より高まっているように感じます。

しかしその一方で、本人は気付いていない“危険な習慣”を持っている方も少なくありません。

「忘れちゃうから」銀行員が思わず目を疑った瞬間

それはある日の窓口でのことでした。

手続きを終えたお客様が、バッグの中から通帳やキャッシュカードを片付けようとしていました。

すると、カードケースの間から小さな付箋がひらりと落ちたのです。

私は何気なくその付箋を目にしました。
そこには、大きく4桁の数字が書かれていました。

そして、その付箋はキャッシュカードと一緒に保管されていたのです。

私は思わずドキッとしました。

「もしかして、その数字って……暗証番号ですか?」

そうお聞きすると、お客様は少し照れたように笑いました。

「そうそう。忘れちゃうから書いてるのよ」

まるで当たり前のことのような口調でした。しかし銀行員としては、まったく笑えない状況でした。

「忘れちゃうから」が思わぬリスクになる

お客様は悪気があってやっているわけではありません。むしろ、忘れないように工夫した結果なのでしょう。

実際に窓口でも、

「昔は覚えられたけど最近は自信がなくてね」
「番号を間違えるのが心配だから」
「家族にも分からないように自分だけが見られる場所に入れてるの」

といった声を耳にすることがあります。

気持ちはよく分かります。

暗証番号は普段あまり使わない方ほど忘れやすいものです。

しかし、キャッシュカードと暗証番号を書いたメモを同じ場所に保管することは、防犯上とても危険で絶対やめてほしい保管方法です。

もし財布やバッグを落としてしまったらどうなるでしょうか。

第三者はキャッシュカードだけでなく、暗証番号まで一緒に手に入れることになります。

銀行員からすると、それは鍵を付けたまま家を留守にしているような状態です。

その場で私はお客様にお伝えしました。

「もし落としてしまった時に、カードと暗証番号が一緒だと危ないので、別々に管理してくださいね」

するとお客様は驚いた表情でこう言いました。

「えっ、そんなに危ないの?」

実は、この反応は珍しくありません。危険性を十分に認識しないまま続けているケースが意外と多いのです。

銀行員が本気で焦るのは“今は何も起きていない”から

窓口でこうした場面に遭遇すると、私たち銀行員は本気で焦ります。

なぜなら、その時点ではまだ何も起きていないからです。

被害が発生してからでは遅いのです。実際に不正利用の相談を受けるお客様の中には、

「まさか自分が狙われるなんて思わなかった」
「少額しか入っていないから大丈夫だと思った」

と話される方もいます。

ですが、防犯の世界では「狙われると思わなかった」が最も危険な考え方でもあります。

犯罪者は相手を選びません。

大切なのは預金額ではなく、盗みやすい状態になっているかどうかです。

だからこそ、窓口で暗証番号が書かれた付箋を見た瞬間、私は頭の中で最悪のケースを想像してしまいました。

もし帰宅途中にバッグを置き忘れたら。
もし財布を落としたら。
もし盗難に遭ったら。

そんなことが次々と頭に浮かんだのです。

お客様にとってはただのメモでも、銀行員には事故の予兆に見えることがあります。

本当に大切なのは「面倒」と「安全」のバランス

もちろん、「覚えられないなら全部暗記してください」と言いたいわけではありません。

人間ですから忘れることはあります。

特に複数の金融機関を利用している方ならなおさらです。

だからこそ大切なのは、忘れない工夫と安全な管理を両立することです。

例えば、カードと一緒に保管しないだけでもリスクは大きく下げられます。

また、生年月日や電話番号など推測されやすい番号を避けることも重要です。

金融機関でも継続的に注意喚起が行われており、暗証番号の管理は口座を守るための基本的な防犯対策の一つとされています。

難しい知識は必要ありません。ほんの少し意識するだけで、防げる被害はたくさんあります。

銀行員が守りたいのは、お金だけではない

銀行員の仕事というと、お金を預かったり払い出したりするイメージが強いかもしれません。

ですが実際には、お客様の大切な資産をトラブルから守ることも大切な役割です。

だからこそ、手続きとは関係のない場面でも気になってしまうことがあります。

あの日の付箋もそうでした。

お客様は最後にこう言って帰られました。

「帰ったらちゃんと別の場所にしまうね」

その言葉を聞いて、私は少し安心しました。

防犯対策は特別なことではありません。

ほんの小さな見直しが、大きな被害を防ぐことにつながります。

もし今、財布やカードケースの中に暗証番号が分かるメモを入れている方がいたら、一度だけ確認してみてください。

その習慣が、思わぬリスクになっていないでしょうか。

窓口で見た一枚の付箋は、私にそんなことを改めて考えさせた出来事でした。


ライター:くまえり銀行員

金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる