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“初代・体操のお姉さん”秋元杏月が振り返る7年 「いつか自分の子どもと…」卒業後の夢も語る

  • 2026.5.2
秋元杏月 クランクイン! 写真:山田健史 width=
秋元杏月 クランクイン! 写真:山田健史

NHK・Eテレで放送されている「おかあさんといっしょ」で初代・体操のお姉さんとして7年間走り続けた“杏月お姉さん”こと秋元杏月。この春に番組を卒業したばかりの秋元が出演する「おかあさんといっしょ」関連ブルーレイ・DVDが4月、6月と相次いで発売される。卒業について「『楽しい』が最高潮の今だからこそ決断できた」と振り返る秋元。コロナ禍という激動の時代を乗り越え、全国の子どもたちに笑顔を届け続けた軌跡と、未来への新たな想いを、穏やかな表情で語った。

【写真】弾ける笑顔の杏月お姉さん 撮り下ろしフォト(8枚)

■苦楽を共にした仲間たちは「戦友」から「友人」へ

現在発売中の『「おかあさんといっしょ」最新ソングブック だいすきがいっぱい』には、アウトドアで撮影されたロケ映像が収められている。スタジオを飛び出し、開放的な空気で過ごした時間は、共に歩んできたメンバーとの絆を深める穏やかなひとときだった。最後に焚き火を囲み、ウクレレを弾きながら語り合った時、秋元の胸には感慨深い想いがよぎったという。

「同じ目標に向かって走ってきた仲間ではありますが、今はすごく友人のような感覚です。ゆういちろうお兄さん、あつこお姉さん、まやお姉さん、誠お兄さん、和夢お兄さんと共演できて本当に良かったです。この先もずっとご縁が続いたらいいなと願っています」。

6月には、秋元の軌跡を辿る『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト とびだそう どこまでも』も発売される。この作品のために新たに収録されたお兄さん・お姉さんたちのトークパートでは、番組初出演時の映像を皆で見返したり、ゆういちろうお兄さん、まやお姉さん、和夢お兄さんからのメッセージに秋元が感極まるシーンなどが収められている。この日の収録も振り返りながら、秋元は自身がいかに恵まれた環境にいたかを実感している。

「この日の収録はこれまでを振り返る時間でもあり、すごく幸せで楽しかったなと思えたので、皆様への感謝の気持ちでいっぱいになりました。それ以外にも、今でもたまに数年前のコンサート映像などを見るのですが、こんな素敵な場所にいられたんだと胸が熱くなります。いつか自分が母親になれた時に、自分の子どもと一緒に見られたらいいなというのが夢の一つです」。

■コロナ禍の葛藤と、子どもたちの笑顔に教わったこと

就任から走り続けた日々は、決して平坦な道のりばかりではなかった。世界中が新型コロナという未知のウイルスに翻弄され、エンターテインメントの在り方が問われる期間もあった。目の前に子どもたちがいないなかでカメラに向かう日々は、想いが届いているのかという不安との戦いでもあった。それでも前を向けたのは、テレビの向こう側で待っている小さな視聴者の存在があったからだ。

「当時は先が分からない不安な状態でした。それでも、どうにか子どもたちに楽しい時間や少しでも元気になってもらいたいという信念を出演者もスタッフも強く持ち、試行錯誤しながら取り組んだ期間でした。今になってお手紙などで『コロナ禍に助けてもらいました』と言っていただくことが多々あり、あの時踏ん張ってよかったと心から思います」。

キャリアを重ねるなかで、コンビを組む相手が誠お兄さんから、和夢お兄さんへとバトンタッチ。先輩としての責任を感じる場面もあったが、根本にある「楽しい」という感情は揺るがなかった。特に、無数の笑顔のなかで目撃したある光景は、表現者としての誇りを確固たるものにしてくれたという。

「心に強く残っているのは、スタジオ収録の時のことです。人形劇の『ファンターネ!』のキャラクターたちが登場した瞬間、ある女の子が息を呑んで固まり、目がキラキラしているのを見たのです。その嬉しそうな様子を間近で見られたことが衝撃的で、この子と一緒にこんなに幸せな瞬間を共有できたのだと、お姉さんになれてよかったと心底思いました」。

■「楽しい」が最高潮の今だからこそ決断できた卒業

多くのファンに惜しまれながら迎える旅立ちの時。決断を下すに至った背景には、長期間にわたる自問自答を乗り越え行き着いた、心からの満足感があった。

「番組に対する『楽しい』という感情が最高潮に達していて、もし続けられるなら、ずっとこの場所で子どもたちと遊んでいたいと思うくらいでした。でも、いつか必ず終わりが来るものなので、みんなのことが大好きという気持ちで満たされたまま卒業できたらいいなと思ったのです。自分が卒業したらどうなるかなと考えた時に後悔が全くなく、本当に楽しかったと心から思えたので、今が良いタイミングなのだと感じました」。

自身のプライベートや今後のライフステージを考慮しつつも、最後は「ただただやり切った」という想いが一番の後押しになった。子どもたちの手本となる立場でありながら、重圧に押しつぶされることなく自然体でカメラの前に立ち続けることができたのは、周囲の温かいサポートがあったからだ。

「怪我をしてしまったり、声が出なくなってしまったこともあり、体調管理についてはものすごく気をつけていました。でも、子どもたちと接する上でのプレッシャーは全くなく、自然体で、ただただ楽しんでいました」。

■これからも、子どもたちと笑顔を共有できる場所へ

次なるステージへと足を踏み出す秋元の瞳は希望に満ち溢れている。培ってきた経験を糧に、これからも純粋な心を持つ小さな存在たちと寄り添っていく未来を描き始めているのだ。在任中に行われた幼稚園でのロケも、その想いを強くする大きなきっかけとなった。

「今後も子どもたちに会いたいという気持ちがあり、より近い距離で一緒に何かを経験したり、学んだりすることをぜひやってみたいです。子どもたちがポジティブな気持ちを持てるようなものを届けられたらいいなと。これまで経験したことのないことに挑戦し、そこから自分自身も好きなことを見つけて吸収していけたらいいなと思っています」。

新たに歴史を紡いでいく後輩のアンお姉さん(初代おどりのお姉さんに就任したアンジェ)へ送る言葉にも、秋元らしい優しさと大らかな包容力が滲み出ていた。「ありのままの彼女で楽しんでほしい」というエールは、自身が大切にしてきた信念そのものでもある。

「新しく就任されるアンお姉さんは本当に素敵なお姉さんで、私自身もアンお姉さんに出会えてよかったなと心から思います。ご本人にも何度も伝えているのですが、本当にそのままの姿で満喫してほしいですね」。

初代体操のお姉さんとして駆け抜けた7年間。コロナ禍の苦難を乗り越え、子どもたちの笑顔に支えられながら歩んだ軌跡は、秋元に「やり切った」という確かな手応えをもたらした。飾らない言葉で語られた仲間への感謝と未来への希望。ありのままの自分を愛し、次なるステージへ歩み出す秋元の挑戦はこれからも続く。(取材・文:磯部正和 写真:山田健史)

『NHKおかあさんといっしょ 最新ソングブック だいすきがいっぱい』は発売中。秋元杏月の卒業記念映像集『「おかあさんといっしょ」メモリアルベスト とびだそう どこまでも』は6月24日にブルーレイ・DVD発売。価格は共に3850円(税込)。

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