1. トップ
  2. エピソード
  3. 繁華街で、女性と乗用車の接触事故の通報。→現場に向かうと…“目撃者多数なのに”救急隊が情報取得に苦戦したワケ

繁華街で、女性と乗用車の接触事故の通報。→現場に向かうと…“目撃者多数なのに”救急隊が情報取得に苦戦したワケ

  • 2026.6.2
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

交通事故の現場では、傷病者本人から十分に話を聞けないことがあります。

今回は、繁華街近くで起きた交通事故で、目撃者が多いにもかかわらず、必要な情報を集める難しさを感じた事案でした。

歩行者と乗用車の交通事故

今回の要請は、歩行者と乗用車の交通事故によるものでした。

受傷したのは50代女性。現場に到着すると、女性は道路上で倒れており、意識はあるものの、はっきりしない状態でした。

呼びかけには反応します。

ただ、受け答えは曖昧で、事故の状況を自分で説明できる様子ではありません。

どこが痛いのか。
車とどのように接触したのか。
倒れた時にどこをぶつけたのか。

確認したいことはいくつもありましたが、本人から十分な情報を聞き取るのは難しい状況でした。

事故状況の把握も必要だった

交通事故では、傷病者の状態確認が最優先です。

意識状態、呼吸、出血の有無、痛みの場所、手足の動き。そうした確認を進めながら、事故の状況も把握していきます。

車がどの方向から接触したのか。
跳ね飛ばされたのか、その場で倒れたのか。
頭を打っている可能性はあるのか。

こうした情報は、医療機関へ引き継ぐ時にも重要になります。

ただ、この現場では本人がはっきり話せなかったため、周囲にいた人から話を聞く必要がありました。

目撃者は多いのに話がまとまらない

現場は繁華街の近くでした。

人通りが多く、事故を見ていた人も何人かいました。一見すると、情報は集まりやすいように見えます。

ところが実際には、そう簡単ではありません。

周囲にはお酒が入っている人もいて、話がなかなかまとまりませんでした。

「見ていた」と言う人に聞いても、事故の瞬間は見ていなかったり、別の人から聞いた話だったりすることもあります。

中には、救急隊に向かってヤジのような声を飛ばす人もいました。

傷病者の状態確認をしながら、必要な情報を拾っていくには落ち着きにくい現場でした。

状況を説明できる目撃者を探した

それでも、事故状況を確認しないわけにはいきません。

隊員同士で役割を分け、女性の観察を続けながら、周囲への聞き取りも進めました。

その中で、ようやく事故の流れを落ち着いて説明できる人が見つかりました。

女性がどの位置にいたのか。
車がどの方向から来たのか。
接触後にどのように倒れたのか。

その目撃情報をもとに、事故の経緯や受傷機転を整理しました。

本人が話せない状況では、こうした周囲の情報が大きな手がかりになります。

医療機関へ情報を引き継いだ

女性は意識がもうろうとしており、事故の詳しい状況や症状を自分で説明できる状態ではありませんでした。

搬送中も、意識状態や呼吸、痛みの訴え、手足の動きなどを継続して確認しました。

医療機関へは、本人の状態だけでなく、目撃者から聞き取った事故状況も伝えます。

歩行者と乗用車の事故であること。
本人の意識がはっきりしないこと。
接触の方向や倒れ方を確認できたこと。

現場で得られた情報をできる限り整理し、無事に医療機関へ引き継ぐことができました。

人が多い現場ほど情報整理が難しい

この事案で感じたのは、人が多い現場ほど、必要な情報にたどり着くのが難しいことがあるということでした。

目撃者が多ければ、情報も集まりやすい。

そう思われるかもしれません。

ただ、実際には話が混ざったり、憶測が入ったり、周囲の声で現場が落ち着かなくなることもあります。

交通事故では、本人から十分に話を聞けない場面も少なくありません。

その中で、誰が本当に事故を見ていたのか。

どの情報が医療機関に必要なのか。

そこを見極めながら対応する難しさを感じた現場でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。  


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる