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乗客「CAとパイロット全員のサインが欲しい」忙しい“短距離フライト”でどんどん増えていく要望…困り果てたCAの“機転が利いた対応”とは…?

  • 2026.6.2
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

皆さま、こんにちは。大手航空会社で10年間、CAとして勤務しておりましたSAKURAです。

機内には、「飛行機ファン」のお客様がたびたび搭乗されます。

私たちにとっても、ファンの方の存在は励みになるものです。

ほとんどの方が、飛行機のルールを理解し強い味方でいてくださいますが、時として「熱量」が勝ってしまう方もいらっしゃいます。

「公共交通機関」としての「安全」や「定時運航」を守るため、特別なご要望にどうしてもお応えできないとき。

今回は、そんなジレンマに直面し困り果てたCAの「発想の転換」についてお話しします。
「ご要望」を重ねるお客様が「大切なパートナー」に変わった瞬間とは。

タイムリミットは数十分。満席の機内で始まった「想定外」

それは、飛行時間が比較的短めの満席の国内線での出来事でした。

一分一秒を争う機内で、飛行機ファンのA様から、飛行情報を書き込める「フライトログブック」の記入を依頼されました。

ログブックの記入依頼はよくあることのためお預かりしましたが、A様の「熱量」は、私たちの予想を遥かに上回るものでした。

キッチンで飲み物サービスの準備をしていると、A様が「何枚か一緒に写真を撮りたい」と、やって来られました。

サービス終了後に時間があれば応えられるかもしれないことをお伝えしましたが、可能性はとても低いものでした。

そしてサービス中も「今日のパイロットとCA全員のサインもほしい。到着後に待つから」と、その便の飛行時間では、到底応えきれないリクエストをお申し出になりました。

難しい旨をお伝えしても、A様はなかなか引きません。

その後もCAが通路を通るたびに声がかかり、リクエストが次々と重ねられていきました。

相手の「好き」を味方につける、ログブックへの一筆

「公共交通機関」として、「安全」と「定時運航」を守る必要がある以上、すべての「ご要望」に応じることができるわけではありません。ログブックは義務ではなく、あくまで私たちCAが業務中に記載する余裕があれば対応させていただくサービスです。

「A様に理解していただくために、何かいい方法はないだろうか」

私は考えを巡らせ、あることを思いつきました。

「A様が好きなものを通じて、私たちの状況を伝えてみよう」

お預かりしていたログブックに、「フライト時間に沿ったCAの一般的な業務工程」を大まかに書き綴ることにしたのです。

もちろん、毎回このような対応ができるわけではありませんが、この時、ログブックへメッセージを記載することは十分対応ができました。

書き終えると、「今日は、CA業務の裏側も書いてみました。よろしければ、今後の参考にされてください」と、A様へお渡ししました。

「ご要望」を重ねるお客様が、大切な「パートナー」へ

A様は、驚いたように喜んでくださり、すぐにログブックに目を通されました。

そして「こんなに色々とあるんですね!」と、時計を見ながら想像してくださっている様子がみてとれました。

リクエストにほとんど応えられないまま目的地に到着してしまいましたが、A様は「急いで降りないと、次の便に影響しますね!」と笑いながら急ぎ足で降りていかれ、その後ろ姿からは、弾むような喜びが伝わってきました。

「ご要望」を重ねるお客様へのアプローチを、「相互理解」を促せるよう転換したことで、お客様が共に「安全で心地よい空間」を創り上げる「パートナー」へと変わった瞬間でした。

「発想の転換」が、よりよい関係に繋がる

ただ「お断りする」だけでは、目の前の壁は崩せません。

大切なのは、相手の視点に立って「発想を転換」し、お互いの妥協点を見つけ出すこと。

これは、誰もが気づかぬうちに、日常の中でも実践されていることかと思います。

「できない」を「どうすれば伝わるか」に変える、少しの「機転」が、よりよい関係に繋がっていくのです。


ライター:SAKURA * 心を読む元国際線CA

日系大手航空会社にて10年間、客室乗務員(CA)として勤務。国内線・国際線を経験し、多種多様なお客様と接する中で「感情を読み解く力」を磨く。客室責任者としてVIP対応や後輩育成に携わる傍ら、社内の人材教育やグループ会社での業務にも携わり、多角的な視点から接客のあり方を見つめてきた。

現在は、その鋭い洞察力を活かし、言葉だけでない、「心理的・物理的アプローチによるクレーム回避術」を発信するライターとして活動中。国内線での細やかな気配りから国際線での難しい状況判断まで、現場での実体験に基づいた「心に届く接客のヒント」を言語化し、接客業にとどまらず、人と人とがよりよい関係を築けるサポートをしている。


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