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「単身だからこそ買うべき」「単身ほど賃貸が合理的」両論あるなかで、独身者が購入を決断する前に整える数字

  • 2026.6.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社で10年以上の現場経験を持ち、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。近年はライフスタイルが多様化し、単身でマンションを購入する方も増えています。

こうした流れのなかで「家賃を払い続けるのはもったいない」「身軽な賃貸のほうが安心だ」という両極端な意見の間で、購入か賃貸かで迷う方は少なくありません。

今回は、ある独身男性の事例をもとに、単身者が購入を決断する前に整理すべき数字や、見落としやすい注意点について解説します。

賃貸継続のコストと将来の未確定要素に悩む独身男性

IT企業に勤務する35歳男性のKさんは、年収約550万円で現在は家賃13万円の1Kに住んでいます。「結婚の予定は未定で、転勤や親の介護で実家に戻る可能性もある」と、将来の不確実性に悩んでいました。

今の家賃を35年間払い続けると総額は約5,460万円にのぼり、更新料や引越し費用も加わります。さらに60歳以降は賃貸の入居審査が厳しくなり、高齢期の選択肢が狭まる構造的なリスクも抱えていました。

そこで将来の不安を解消するため、Kさんは23区内で約3,800万円の新築コンパクトマンションの購入検討を始めます。

コンパクトマンション購入に潜む面積表示の罠

Kさんが検討している物件のパンフレットには、広さが40平米台前半と記載されていました。ここで注意が必要なのが、住宅ローン控除(一定の条件を満たすと税金が戻ってくる制度)の「40平米の壁」です。

合計所得1,000万円以下の場合、40平米以上の新築住宅も控除の対象となります。ただし、適用要件の基準となるのは登記簿面積(壁の内側で測った内法面積)です。

パンフレットに載っているのは壁の中心線で測った壁芯面積で、登記簿面積はこれより数平米小さくなります。つまりパンフレットの表示が40平米ぎりぎりの物件は、登記簿面積が40平米を下回り、控除の対象外になる場合があるのです。控除の有無で総額数百万円の差が出ると知り、Kさんは慎重に資金計画を見直すことになりました。

賃貸転用の落とし穴と購入前にシミュレーションすべき数字

単身者がマンションを購入する際は、金利上昇リスクやライフプランの変化を想定した出口戦略が求められます。転勤や結婚を機に「将来は人に貸せばいい」と安易に考える方は多いですが、住宅ローンは本人の居住が前提となります。

やむを得ない事情を除いて賃貸に出す場合は、投資用ローンへの借り換えが原則必要となり、金利が大きく上がってしまいます。家賃収入でローン返済と管理費を賄えるかを、購入前にシミュレーションしておきましょう。

結婚の可能性があるなら売却や賃貸に出しやすい駅近物件を選び、転勤の確率が高いなら身軽な賃貸を継続するなど、ご自身の状況に合わせて判断するのがおすすめです。パンフレットの数字だけでなく、登記簿面積や借り換え時の金利といった現実的な数字を整理するのが、後悔のない決断につながります。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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