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メリル・ストリープ、『プラダを着た悪魔2』で見せた究極のメソッド・ドレッシング

  • 2026.4.24
John Nacion / Getty Images

メソッド・ドレッシングであろうとなかろうと、ニューヨークで開催された映画『プラダを着た悪魔2』のグローバルプレミアで、メリル・ストリープはミランダ・プリーストリーも納得の、悪魔的にシャープな登場を果たした。リンカーン・センターへの到着予定時刻のわずか数分前、ストリープはデムナの“ラ・ファミリア”コレクションであるチータープリントの「グッチ」のコートを着て姿を見せるという、プレミア直前のサプライズをやってのけたのだ。しかし、それは彼女がレッドカーペットのために選んだ最終的なルックではなかった。名物編集長は、さらなるサプライズを袖に隠し持っていたのである。

「今夜メリルが何を着るのか、みんなさんがとても注目しているのはわかっていました」と、彼女のスタイリストを務めるミカエラ・アーランガーは『ELLE』誌に独占で語っている。「だからこそ、事前にフォトグラファーのカメラに収まるようなルックで、ファンをあっと驚かせたかったのです。そこで、誰もが見逃さないような、それだけで最高に楽しいインパクト抜群の「グッチ」のタイガーコートを用意しました。一番のハイライトの前に、もうひとつの見せ場を作れたような気分です」

The Hapa Blonde / Getty Images
Jamie McCarthy / Getty Images

サラ・バートンが手がけた「ジバンシィ」による実際のプレミアルックは、ストリープ自身のスタイルを唯一無二にしている優雅さと手腕をもって、プリーストリーの威厳を見事に体現していた。彼女が着用したのは、「ジバンシィ」の2026年秋冬コレクションから選ばれた、レッドオレンジのケープコート。ネックラインには同色のタイがふんわりと結ばれている。ストリープは、プリーストリー譲りのエディター視点でこのルックを昇華させた。ランウェイで披露されたギャザー入りのチーター柄グローブの代わりに、オールレザーのオペラグローブを合わせることで、よりドラマチックなムードを演出したのだ。仕上げとして、「デヴィッド ヤーマン」のジュエリーと「スチュアート ワイツマン」のシューズが洗練されたアクセントを添えている。

アーランガーは、この装いを「大胆で、パワフル、そしてクラシック」という3つのシンプルな言葉で表現した。

ワールドプレミアでのアン・ハサウェイ、スタンリー・トゥッチ、メリル・ストリープ、そしてエミリー・ブラント。 TheStewartofNY / Getty Images

ストリープのお色直しは、これまでのプレスツアーのなかでもっとも明確にメソッド・ドレッシングを体現した瞬間と言えるかもしれない。公開が待たれる続編では、プリーストリーのクローゼットは前作よりもさらにファッション通の領域へと踏み込んでいる。そこには、ジュリアン・クロスナーによる「ドリス ヴァン ノッテン」や、ダニエル・ローズベリーによる「スキャパレリ」の至極のアイテムが並んでおり、ストリープとアーランガーは今回のツアーを通してその世界観をさりげなくアピールしてきた。

「ファッション業界の人が気づくようなオマージュがちりばめられています」とスタイリストは語り、ストリープが上海でのファンイベントで着用した「サンローラン」の2025年秋冬コレクションのコートドレスを例に挙げた。これは、プリーストリーのあの有名な“セルリアンブルー”の独白シーンに敬意を表したものだ。「さらに、より多くの方が元ネタに気づけるような、分かりやすいオマージュも用意しています。すべてが緻密に計算されているのです」

上海でのファンイベント。 VCG / Getty Images

しかし、ストリープは自身のワードローブを完全にプリーストリーに寄せているわけではない。遊び心を効かせたルックの合間には、彼女自身の輝かしいキャリアを振り返るようなスタイリングも登場する。ツアーの幕開けとなったメキシコシティでは、鮮やかな赤の「ドルチェ&ガッバーナ」のスーツに、複数のブローチを重ね付けして登場した。バラク・オバマから全米芸術勲章を授与された際のリボンをはじめ、ケネディ・センター名誉賞、アストゥリアス皇太子賞、そしてフランスの芸術文化勲章のロゼットなどが飾られていた。「彼女がいかに非凡な人物であり、類まれなる才能の持ち主であるかを物語っています」とアーランガーは語る。

メキシコシティで開催されたイベントで。 Angel Delgado / Getty Images

共演者のアン・ハサウェイもまた、スタイリストのエリン・ウォルシュとともに同様のアプローチをとっている。アンディ・サックスをそのまま再現するのではなく、キャラクターの面影を感じさせる洗練されたルックを披露しているのだ。プリーストリーとサックスは、他の役柄と俳優のペアに見られるような、ガチガチに固定されたワードローブを持っているわけではない。しかし、それこそがポイントだ。彼女たちのプレスツアーでのスタイルは、近年のメソッド・ドレッシングにありがちな“完全再現”をあえて拒否しているのである。

アーランガーの言葉を借りれば、「私たちがスタイリングしているのはキャラクターではなく、実在する一人の女性なのです」

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