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細田佳央太さんが選んだ一冊は?「覚悟を決めた男たちの心情が生々しく描かれている」有馬記念制覇の夢を追う馬主の物語【インタビュー】

  • 2026.4.21

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年5月号からの転載です。

「最初にドラマにはまり、すぐ小説を読みました。早見和真さんの作品とは、『95』のドラマに出演させていただいたご縁があり、どちらも僕の中では心に残る小説です」

細田さんの推薦本は『ザ・ロイヤルファミリー』。有馬記念制覇の夢を追う馬主の山王と、秘書・栗須の長年の思いを描いたヒューマンドラマだ。

「小説にはドラマで削られてしまった多くのエピソードがあり、より感情を揺さぶられました。早見さんの作品はどれも心情の流れの描き方が丁寧なんです。『95』ではバブル期に踊らされた大人や、それに抗う学生たちの戦い方が書かれ、『ザ・ロイヤルファミリー』では覚悟を決めた男たちの心情を生々しく描いている。そこに強いエネルギーを感じます」

なかでも細田さんの胸を打ったのは、人と人との思いをつないでいく "継承"というテーマだ。

「ライバルである馬主の椎名が、山王のことを『たくさんの人の想いを引き受けている人間が好き』と語る。そこに強く共感して。役者の世界も、先輩方が築き上げてきた功績があるから20代の僕らが自由にできているところがある。それを次世代につないでいかなければいけないと感じているんです。学びも多い一冊でした」

間もなく公開の映画『人はなぜラブレターを書くのか』について「人の想いをつないでいくという点ではすごくリンクしていると感じました」と語る。実話を元にした本作。細田さんは、脱線事故で命を落とす高校生の富久信介役を演じた。

「信介さんには不器用なところがあり、父親には思春期ならではのそっけない姿を見せ、尊敬する先輩の川嶋さんに見せる顔とはまるで違うんです。そんな彼が毎日電車で見かけるナズナさんに想いを抱く。二人は会話を交わすことも、距離を縮めることもしない。そのまどろっこしさが人間臭く、魅力的に映りました」

信介が亡くなってから24年後、綾瀬はるかさん演じるナズナが一通の手紙を書く。それは信介の父の元に渡り、思わぬ奇跡へとつながる。

「24年後のナズナさんと彼女の家族のエピソードは、試写で初めて観て号泣しました。石井監督は、ナズナさんが信介さんに惹かれた理由について、身体中からあふれでる生命の強さを彼から受け取ったからではないかと話していました。その彼女が大人になり、自身も命について考え、その想いを手紙に記していく。万人にお勧めできる作品ですので、多くの方にご覧いただきたいです」

取材・文:倉田モトキ 写真:TOWA

ヘアメイク:菅野綾香 スタイリング:吉本知嗣 衣装協力:ジャケット9万1300円、パンツ5万8300円(ともにmeagratia/TEENY RANCH ☎03-6812-9341)、シャツ5万7200円(ETHOSENS☎03-6809-0470)

ほそだ・かなた●2001年、東京都生まれ。4歳から活動をスタートし、19年に石井裕也監督の映画『町田くんの世界』で主演を務めた。主な出演作に映画『花束みたいな恋をした』、大河ドラマ『どうする家康』、NHK連続テレビ小説『あんぱん』など。4月からはドラマ『GIFT』にも出演。

『ザ・ロイヤルファミリー』

早見和真 新潮文庫 990円(税込)

税理士の栗須は、父亡き後、多くの後悔と空虚さを抱いて日々を過ごしていた。そんな彼をワンマン社長の山王が雇い入れる。周囲に反対されながらも馬主として有馬記念を制覇することを夢見る山王。やがて彼の想いは栗須の心を動かしていく。20年にわたる馬主一家の波瀾の物語を描いた、山本周五郎賞受賞作。

映画『人はなぜラブレターを書くのか』

監督・脚本・編集:石井裕也

出演:綾瀬はるか、當真あみ、細田佳央太、菅田将暉、妻夫木 聡、佐藤浩市ほか

配給:東宝 4月17日より全国ロードショー

●女子高生のナズナは同じ電車に乗っているプロボクサーを目指す高校生の富久信介に淡い想いを抱いていた。しかし、二人の距離が近づきそうになったある日、脱線事故で信介は命を落とす。それから24年後、ナズナは信介に向けて手紙を書くことに。そこには信介の両親も知らない、彼が生きた証が綴られていた。

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