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「稼ぎが少ないお前が動け」知的障害を持つ息子の育児を押し付ける夫。年収マウントを捨てさせた一撃

  • 2026.4.18

筆者の話です。重度知的障害の長男が地下鉄を利用して通所できるまでに成長したものの、やがて失踪や遅刻が続発してしまい、私達で送迎することにしました。しかし、送迎を分担するはずが、夫は次々と仕事を理由に辞退。そして繰り返される「お前の方が稼いでいないんだから」という言葉。限界を迎えた妻が夫に告げた一言とは?

画像: 「稼ぎが少ないお前が動け」知的障害を持つ息子の育児を押し付ける夫。年収マウントを捨てさせた一撃

自立への希望

長男が事業所に通い始めた頃、私には小さな希望がありました。

重度の知的障害を抱えながらも、地下鉄を使って自力で通所できるまでに成長した長男の姿は、私にとって積み重ねてきた日々へのひとつの答えのように見えたのです。

私は長男の通所に一ヶ月間付き添い、道順や手順を覚えさせて確認を重ねていきました。そうした上での自立への第一歩でした。

最初は順調に進んでいました。遅刻もせず、17時までには自宅に帰り着く日々が続きました。しかし、ある時期から長男の行動に異変が現れ始めました。

Airtagとスマホの位置情報を確認すると、いつもと全く違う場所に彼のいる地点が映し出されていました。

またある時は一本先の駅から地下鉄に乗っていたり、逆方向行きのバスに乗り込んでいたりしています。

事業所からは遅刻の確認連絡が入り、支援員が探しに行くと駅のホームにじっと留まっていたという報告もありました。

障害の特性から来るものか、混乱した長男は立ち入り禁止区域へ足を踏み入れてしまったり、お店の物を無自覚に持ち出してしまったりといったトラブルも重なりました。

長男の自立への希望は、突然重い現実へと反転したのです。

分担のはずが

夫と話し合いをして、帰宅時は事業所まで車で迎えに行くことにしました。最初のうちは、夫は率先して動いてくれましたが、その意欲はすぐに萎んでいきました。
「月曜は新規の顧客が入ったから行けない」
翌週には「水曜も打ち合わせがある」
その次は「金曜も難しい」

気がつけば夫が担当できる曜日が、週の中からどんどん削られていきました。フリーランスの在宅勤務という働き方は忙しさが変動すること。それはわかっていました。

しかし、会社員を辞めてから一時収まっていた夫の口から繰り返し出てくるようになった言葉が、再び、口にされるようになっていました。

「お前の方が稼いでいないんだから」

その言葉は私の我慢を少しずつ削り取っていきます。
火曜日も木曜日も、夫が担当できるはずの日でさえ、何かにつけてその言葉と共に私へと押し付けられました。私も仕事を持ち、家事や長男だけでなく次男の育児もあります。

それでも夫から「稼ぎが少ない方が動くべきだ」と理屈を言われて、すべてが私の肩に乗せられていきます。

決壊した感情

限界を超えたのは、夫が「今日も無理」と言ってきたある木曜日の午後のことでした。

私はその日、午前から仕事をこなし、昼には別の用事を片付け、夕方には長男が帰宅する前に片付けておきたい仕事があったのです。

夫からの言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが決壊しました。

「ひとつ確認させて。あなたが仕事を理由に動けないのはわかった。でも私も仕事をしている。家事も育児も私がやっている。稼ぎの差は確かにあることもわかっている。もし「稼ぎが少ない方が家の全責任を負う」というのが私たちのルールなら、それを最初にはっきり決めましょう。そうじゃないなら、稼ぎを理由に押し付けるのは今日でやめてほしい」

私がそう言うと夫は黙りました。
しばらくして「……わかった、今日は俺が行く」と言いました。夫から出た言葉はそれだけです。

でも、長年胸の中で燻り続けていた何かが、すうっと静かに下りていく感覚がありました。

新たなルール

この一件を経て、夫との役割分担を改めて話し合い、曜日ごとの担当を書面で明確にしました。

機械的に見えますが障害のある子どもを共に育てるということは、感情だけでは支えきれない現実との戦いでもあります。

家族の中で「稼ぎの差」が「責任の差」になってはいけないと思います。書面で役割分担を明確にしたことで、夫も「今日は自分の担当日だ」という意識が芽生えたようです。

完璧ではありませんが、以前のように一方的に押し付けられることはなくなりました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

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