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46歳ひきこもり長男に「発達障害」判明「障害年金」認められ一歩前進と思いきや…半年後に家族が絶句した“まさかの理由”

  • 2026.4.14
ひきこもりの人の中には貯金が苦手な人も(画像はイメージ)
ひきこもりの人の中には貯金が苦手な人も(画像はイメージ)

筆者のファイナンシャルプランナー・浜田裕也さんは、社会保険労務士の資格を持ち、病気などで就労が困難なひきこもりの人を対象に、障害年金の請求を支援する活動も行っています。

無職、無収入のひきこもりの人にとって、障害年金は大事な収入源になります。浜田さんによると、親亡き後に備え障害年金の一部を貯金する人がいる一方、振り込まれた障害年金をすべて使い切ってしまう人もいるといいます。家族が「少しでも構わないから貯金してほしい」と願っていても、なかなかうまくいかないケースもあるとのことです。40代のひきこもりの男性の事例について、浜田さんが紹介します。

専門学校卒業後にひきこもるようになった長男

46歳の岡部晴斗さん(仮名)は、20代の頃から自宅にひきこもり続けています。3歳上の姉が1人いますが、晴斗さん本人は無職、無収入のため自立することができず、70代後半の両親と3人で暮らしています。そのような晴斗さんの将来を案じ、危機感を募らせた姉が、障害年金の相談をするため、私のもとを訪れました。

姉によると、晴斗さんは幼少期の頃から人と関わることが苦手で、学力も芳しくなかったそうです。そのため、晴斗さんは大学には進学せず、映像関係の専門学校に入学しました。

要領が悪く不器用だった晴斗さんは課題を1人でこなすことができず、母親によく手伝ってもらっていたそうです。結局しっかりとした技術が身に付くこともなく、就職をすることもできませんでした。

専門学校を卒業した後、母親の勧めでアルバイトをすることもあったそうです。しかし、いずれも長続きしませんでした。

晴斗さんは「簡単な作業を決まった手順で行う」といったことはできるのですが、少しでもそのレールから外れると目に見えてオロオロしてしまいます。その様子を職場の人に注意されるとさらにパニックを起こし、それが原因でさらに叱られてしまうという悪循環を繰り返していました。

そのようなことで、働くことに心底嫌気がさしてしまった晴斗さん。社会との接触を避けるような生活を送るようになってしまいました。

姉は20代後半で結婚し、晴斗さん家族とは別居していました。姉は仕事に子育てに忙しく、晴斗さんのことを気にかけてはいましたが、なかなか具体的な行動を起こすことはできませんでした。自分を無理やり納得させるため「何だかんだいっても、いずれ両親が何とかするだろう」と考えるようにしていたそうです。

そうこうするうちに両親は高齢になり、年金生活に入りました。親の収入が先細っても晴斗さんが社会復帰をする気配はなく、ひきこもり状態に変化はありませんでした。

子育てが一段落した姉は「ここで私が動かなきゃ、状況は何も変わらない」と覚悟を決めました。

わが子に「発達障害」があるとは考えもしなかった両親

晴斗さんの幼少期から現在までの言動を鑑みると、姉は「晴斗さんに発達障害があるのではないか」と疑いました。そこで姉は晴斗さんと両親を説得。晴斗さんを精神科に連れて行き、受診させました。検査の結果、晴斗さんには発達障害の一つである「自閉スペクトラム症」があることが分かりました。

障害年金では、その障害で初めて医師等の診療を受けた日である「初診日」が重要になります。

晴斗さんは長期間のひきこもり生活を続けていたのに、姉に説得されるまで精神科や心療内科を受診したことはなかったとのこと。私は不思議に思い、姉にその理由を聞いてみました。すると、次のようなことが分かりました。

晴斗さんが学生だった30年以上前、世間や学校では発達障害という認識はそこまで高くはなく、周囲から「怠けている」「本人の努力が足りない」「親のしつけがなっていない」などと言われてしまうこともあるような時代でした。

晴斗さんの両親は「本人の性格だから仕方がない」と思い込み、それが発達障害によるものだとは考えもしなかったそうです。そのため、晴斗さんに精神科や心療内科を受診させることはありませんでした。

そこまで話を聞いた私は、障害年金について確認しました。

晴斗さんが初めて精神科を受診したのは44歳ごろで、国民年金に加入中だったとのこと。晴斗さんの国民年金保険料は親がずっと支払ってきたとのことで、未納期間が多過ぎることはありません。以上のことから、晴斗さんは障害基礎年金を請求することになります。

仮に障害基礎年金の2級の請求が認められた場合、金額は次のようになります。

【障害基礎年金2級】障害基礎年金 7万608円障害年金生活者支援給付金 5620円合計 7万6228円※金額は2026年度のものでいずれも月額。

姉としては「弟に障害基礎年金が支給されるようになってほしい。そして、年金は将来に備え貯金してほしい」と思っていました。しかし、姉一人で請求をするのには不安があります。そこで専門家である社会保険労務士に手伝ってもらうことにしたそうです。

そのような経緯で私も請求に協力することになり、晴斗さんは無事に障害基礎年金の2級を受給することができました。その結果に姉も私もほっとすることができたのですが、それは長続きしませんでした。

晴斗さんに障害基礎年金が支給されるようになって半年が過ぎた頃、思いもよらない事態が発覚したのです。

家族による金銭管理の難しさ

ある日、姉が晴斗さんに貯金の状況を問いただしたところ、振り込まれた障害基礎年金を数日のうちに全部使い切っていることが分かったのです。姉としては「将来を考え、少しは貯金するだろう」と思っていただけに、この出来事に大きなショックを受けてしまいました。

晴斗さんに限らず、発達障害がある人の中には、計画的にお金を使うことが苦手な人がいます。さらには、手元にお金があるといつの間にか使ってしまい、「気が付いたらお金がなくなっていた。一体何に使ったのだろう」と本人も不思議に思うケースもあるようです。

「それなら家計簿などで記録を付けて管理すればよいのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、「記録を付けることが長続きしない」「記録を付けること自体を忘れてしまう」といったこともあり、なかなか自己管理がうまくいかないようなのです。

「もう弟に任せることはできない」

そう思った姉は、晴斗さんの年金の振込先を姉や親に変更することを考え、年金事務所に問い合わせました。しかし「それはできない」という回答を得ました。

なぜなら公的年金の振込先は「本人名義の口座のみ」となっているからです。たとえ家族であっても、本人名義以外の口座に振り込んでもらうことはできません。

次に姉は成年後見人を付けることも考えました。しかし、その場合は成年後見人に報酬を支払うことになります。当面の目的は「晴斗さんに貯金をしてもらう」ということなので、そこまでのコストを支払うことにはためらいがありました。よって成年後見人は見送ることにしました。

姉が取った最終手段とは?

そこで姉は最終手段に出ることにしました。

それは「晴斗さんの通帳とキャッシュカードを姉が預かる。必要な出費があれば、晴斗さんが姉に事前に申告する。その申告内容をもとに姉がお金を渡すかどうかを判断する」というもの。

そのことを晴斗さんや両親と話し合いました。姉の提案に晴斗さんは不満顔でしたが、しぶしぶ了承しました。

このとき姉は「これでお金を全部使うこともなくなるだろう」と思いました。しかし、この方法でもうまくはいきませんでした。

お金を引き出せなくなった晴斗さんは、スマホのキャリア決済で買い物をするようになってしまったのです。晴斗さんのスマホの通信料金は親が支払っているため、そこでお金を使っていることに気が付きました。

この一件が発覚した後、姉は再び家族会議を開きました。

姉は憤りを隠せない様子で言いました。

「キャリア決済をやめられないなら、あなたのスマホを解約する」

すると、ここでとうとう晴斗さんの怒りが爆発しました。

「スマホを解約するって、ネットも買い物もするなってことかよ! それじゃあ生きている意味ないじゃん。俺の金なんだから、俺が自由に使ってもいいはずだろ。もういい加減にしてくれよ!」

結局、両親からも「それはやり過ぎではないか」ということで理解が得られず、姉の提案は却下されてしまいました。

「将来のための貯金だって言っているのに、なぜ分かってくれないのか…。このようなことになってしまい、本当に申し訳ございません」

姉は私への報告の最後にそのように言いました。

本人が貯金を望まない限り、家族が強制してもなかなかうまくはいかないようです。世の中が便利になっていけばいくほど、家族による金銭管理もさらに難しくなってしまいます。

誰もが納得するような解決策は、今のところ見つかっていないのが現状のようです。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也

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