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医師「痛みを放置しないで」→実は『心臓病』のサインかも…“虫歯”と放置されがちな「歯に現れる危険な特徴」とは?

  • 2026.5.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

食事中に奥歯が痛んだり、少し動いただけで顎に違和感を覚えたりすることはありませんか?「虫歯かな?」と歯科医院を受診しても異常が見つからない場合、原因は歯ではなく、「心臓」にあるかもしれません。

心臓の筋肉が発するSOS信号が、なぜ「歯の痛み」として脳に伝わってしまうのでしょうか。それは、一見無関係に見えて、命に関わる「関連痛」という現象だからです。

この記事では、歯の痛みに隠された心血管疾患のリスクと、私たちが決して見逃してはいけない心臓からの警告サインについて、専門家の見解をもとに解説します。

なぜ「心臓」の不調が「歯」の痛みとして現れるのか?

---歯には異常がないのに、なぜ心臓の病気が歯の痛みとして感じられるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「歯の異常ではなく、心臓の筋肉が発するSOS信号が、『歯の痛み』と混線して生じている可能性があります。これを『関連痛』と呼びます。

関連痛とは、病巣や病巣周囲ではなく、そこから離れた場所に生じる痛みのことです。痛みの原因は心臓にありますが、実際には一見無関係な場所が痛むのです。

奥歯に関連痛が出る場合、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患(心臓の血管の病気)が静かに進行している可能性があります。この痛みが伝わるフローは以下の通りです。

まず『心筋の酸欠状態』が起こります。心臓の血管(冠動脈)が動脈硬化によって狭くなり、心臓の筋肉が酸素不足(虚血)に陥ります。すると、『脳内での信号の混線』が生じます。心臓からの強いSOS信号(痛みの情報)が、神経の束である脊髄を通って脳へ送られる際、同じ経路を通るあごや歯の神経の信号と混線してしまうことがあるのです。結果として、『痛みの誤認』が起こり、脳は『心臓が痛い』ではなく、『奥歯が痛い』あるいは『あごが痛い』と勘違いしてしまいます。

日本循環器学会のガイドラインにおいても、心筋梗塞や狭心症の症状として、腕や肩のほかに、のどやあご、歯が痛む場合があることが明確に記載されています。」

「疲れ」や「虫歯」と勘違い……。放置が招く深刻なリスク

---単なる知覚過敏や疲れだと思って様子を見てしまうことも多いですが、この痛みを放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「虫歯でないなら知覚過敏かもしれない、しばらく様子を見よう、疲れが出ただけだろうと考えるのは、人間としてごく自然な正常性バイアス(防衛本能)です。これまでに心臓に不安を覚えたこともなければ、特に気にしないのも無理のないことです。

ただし、心臓病による関連痛を放置することは、危険なサインを見過ごして、突然発症するリスクを放置することに繋がりかねません。放置すれば、心臓の血管が完全に詰まって心筋が壊死し、突然死や重篤な心不全を招く深刻なリスクがあります。

歯の痛みに隠れた心血管疾患には、以下の特徴があります。

  • 一過性の痛み(狭心症):運動時やストレスがかかった時に奥歯が痛み、数分休むと治まる状態は、心臓の血管が一時的に酸欠になっている危険なサインです。長くとも15分以内に収まります。
  • 完全な閉塞(心筋梗塞):血流が完全に途絶えた場合には、20分以上症状が続くことが特徴です。
  • 非典型症状の罠:高齢者や糖尿病患者では、胸の痛みを伴わず、歯やあごの痛み、胃や腹部の不快感だけが現れることがあり、発見が遅れがちです。

心臓の筋肉は一度壊死すると、機能の完全な回復は非常に難しくなります。その後の生活の質を低下させないためにも、痛みを放置しないでください。」

見逃さないために。直ちに循環器内科を受診すべきサイン

---もし心臓病のサインかもしれないと感じた場合、具体的にどのような判断基準で受診をすべきでしょうか?

松岡雄治さん:

「体を動かした時に奥歯が痛み、安静にすると数分で治まる場合は、『循環器内科』を速やかに受診してください。歯が痛いだけなのに内科に行くのは場違いではないかとためらう気持ちもわかりますが、誰よりもその異常に早く気づくことができるのはあなた自身なのです。

以下の症状に一つでも当てはまる場合は、一刻も早く循環器の専門医による心電図やエコーなどの評価が必要です。

【直ちに循環器内科を受診すべき3つのサイン】

  • 運動と連動する痛み:階段を上る、重い物を持つなど、体を動かして心臓に負荷がかかった時に、奥歯やあごが痛む(労作性狭心症のサインかもしれません)。
  • 安静による消失:休むと数分(長くても15分以内)で痛みがスッと消える。
  • 随伴症状の存在:歯の痛みに加えて、冷や汗、吐き気、息切れ、左肩や背中への痛みの広がりを伴う。

それでも『胸の症状がないのに循環器内科には行きづらい』と思う場合は、かかりつけの一般内科でも構いません。予約の電話で、『歩くと奥歯やあごが痛むため、心臓に問題がないか検査をしてほしい』と伝えてください。先に歯科を受診している場合には、歯科で異常がなかったことを伝えるのも大切です。その予約のための一本の電話が、重大な局面を未然に防ぐ重要な分岐点となるかもしれません。」

痛みを「ただの歯痛」で済ませないことが、命を守る第一歩

歯科検診で異常がないのに続く奥歯の痛み。それは、決して無視してはいけない心臓からの警告かもしれません。「歯が痛いだけ」と決めつけず、別の臓器からのサインを疑うことが、私たちの命を守る第一歩になります。

心臓の機能が低下し、活動が制限されてしまうような事態を避けるためにも、運動と連動して生じる痛みや、息切れ・冷や汗などの随伴症状がある場合は、ためらわずに循環器専門医に相談してください。自分の体からのサインに耳を傾け、早期に適切な診断を受けることが、健康な生活を長く維持するための鍵となります。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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