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「いつもの頭痛」と放置しないで。実は『くも膜下出血』のサインかも…見逃してはいけない“危険な症状”とは?【医師が解説】

  • 2026.5.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

誰しも一度は経験する頭痛。市販薬を飲んで少し休めば治ることも多く、「またいつもの頭痛か」と軽視してしまいがちです。しかし、中には命に関わる危険な兆候が隠れていることをご存じでしょうか。特に「片頭痛」と間違われやすい病気の一つに、「くも膜下出血」があります。両者は症状が似ているように思えても、その発生の仕組みや緊急度は全く別物です。

後悔しないために、私たちは何を基準に判断し、行動すべきなのでしょうか。頭痛に悩むすべての方へ、正しい知識と命を守るための見分け方をお届けします。

激しい痛みと吐き気…「片頭痛」と「くも膜下出血」はどう違う?

---どちらも激しい痛みや吐き気を伴うため混同されがちですが、そもそも何が違うのでしょうか?

松岡雄治さん:

「どちらも激しい痛みや吐き気を伴うために混同されることがあります。しかし、実際には痛みの発生源と痛みが強くなるスピードが全く異なります。

片頭痛は、三叉神経から炎症物質が放出されて血管が拡張することで起こると考えられています。これは、火災報知器が誤作動して警報が鳴り響くような状態です。脳の構造自体が壊れるわけではないため、命に危険はありません。

一方、くも膜下出血は、脳の動脈瘤(焼き餅のように膨れた動脈)などが破裂し、出血が脳の表面に広がります。劣化したホースが破裂するように、高圧の血液が一気に脳の隙間に噴出し、脳の膜(髄膜)を内側から急激に引き伸ばします。この膜が引き伸ばされる物理的な刺激によって強い痛みが生じます。」

見逃してはいけない「危険なサイン」と受診の目安

---命を守るために、具体的にどのような症状があれば「危険」と判断すべきでしょうか?

松岡雄治さん:

「日本頭痛学会のガイドラインでは、見逃してはいけない危険なサインが提示されています。以下の症状がある場合は注意が必要です。

【危険な頭痛のサイン】

  • 突然の発症(1分以内に痛みがピークに達する雷鳴頭痛)
  • これまで経験したことのない新しいパターンの頭痛
  • 50歳を過ぎてから初めて起きた頭痛
  • 発熱や首の後ろの硬さを伴う頭痛
  • 麻痺やしびれなど神経の異常を伴う頭痛
  • 運動や咳、性行為などの動作によって誘発される頭痛

痛みが徐々に強くなる片頭痛に対し、くも膜下出血の痛みは一瞬で最高潮に達します。『いつもの痛みと違う』と感じたら、すぐに受診することが大切です。頭痛を甘く見ず、専門医の診察を受けることがご自身の命を守る第一歩になります。」

市販薬が招く「最大の罠」とは?自己判断の怖さ

---「いつもの痛み」と思い込んで市販薬で済ませてしまうケースも多いですが、そこに潜むリスクを教えてください。

松岡雄治さん:

「市販薬で一時的に痛みが和らぐことがあり、これが本格的な大出血(再破裂)のサインを見落とす要因になり得ます。くも膜下出血の約20%では、大出血の前に動脈瘤から少量の出血(警告出血あるいはマイナーリーク)が起こることがあります。この少量の出血による頭痛は、市販の鎮痛薬を飲むと痛みが紛れてしまうことがあります。

しかし、破れた血管の穴が根本的に塞がったわけではありません。焼いたもちが一度プシューッと空気を出したあと、かろうじて元の形に戻ったようなものです。これは非常に危うい状態でまた圧力がかかると簡単に破裂してしまいます。自己判断で様子を見ていると、数時間から数日後に再び血管が大きく破裂します。くも膜下出血は再破裂を起こすと、死亡率や重い後遺症が残る確率が高まります。

また、『市販薬と頭痛』に関しては別のリスクも潜んでいます。月に10〜15日以上市販の鎮痛薬を飲み続けると、『薬剤の使用過多による頭痛』を招くことがあります。これは薬の飲み過ぎが原因で、痛みをコントロールするシステムが異常をきたす結果起こるものです。自己判断で望ましくない結果を招くことがないよう、違和感を覚えたら是非一度受診してください。」

頭痛を甘く見ないで。救急受診の判断基準

まずは、痛みが「1分以内にピークに達したか」を最初の判断基準としてください。その上で、くも膜下出血を見逃さないためのチェックリストを確認しましょう。

【受診の判断基準】
以下のA〜Cのいずれかに該当するか確認してください。

  • A:バットで殴られたような痛みが1分以内に最高潮に達した
  • B:50歳を過ぎてからの、初めて経験する激しい頭痛
  • C:頭痛に加えて、以下の症状が1つでも当てはまる
  • 首の後ろが硬くて前に曲げられない(項部硬直)
  • 意識が遠のく、または気を失った
  • 手足が動かしにくい、ろれつが回らない
  • 運動中やいきんだ時に突然頭痛が起きた

これらに1つでも当てはまるなら、ためらわずに119番通報で救急車を呼んでください。くも膜下出血は緊急疾患であり、自分で運転して病院へ向かうのは事故につながる恐れがあり危険です。判断に迷う場合は、救急安心センター(#7119)に相談しましょう。「頭痛くらいで大げさかもしれない」という遠慮は要りません。皆さんが安心安全に暮らすために医療があるのです。まずは専門医を受診し、検査を受けることで命を守る可能性が高まります。


出典:

頭痛の診療ガイドライン2021
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版
慶應義塾大学病院KOMPAS 病気を知る くも膜下出血

監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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