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孫の教育費のため“300万”振り込み→「贈与税は気にしなくてよい」と思いきや…60代男性を待ち受けていた“想定外の誤算”

  • 2026.6.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

孫の進学費用を祖父母が援助することは、家族の中では自然な支え合いに見えるかもしれません。
ただし、お金の渡し方によっては、あとから「教育費として説明できるのか」が問題になることがあります。

学費を必要な分だけ支払う場合と、先にまとまった資金を渡す場合では、確認しておきたい点が変わります。

「学費だから大丈夫」と思っていた祖父の誤算

68歳のAさんは、私立大学への進学を予定している孫のために、まとまった資金を用意していました。

入学時には、入学金30万円、前期授業料55万円、施設設備費20万円、教材や学校指定のパソコン代など20万円、通学定期代12万円ほどが見込まれ、当面だけでも140万円前後の支払いが必要になりそうでした。

Aさんは「教育費なら贈与税は気にしなくてよいだろう」と考え、息子夫婦の口座へ300万円を振り込みました。大学に入るときの費用に150万円、翌年以降の授業料に100万円、残り50万円は引っ越しや新生活の準備に使ってもらうつもりでした。

しかし、実際に使われた内容をあとから確認すると、大学への納付や教材費に充てられたのは約170万円でした。そのほか約80万円は家具・家電、引っ越し、家計の不足分などにも使われており、教育費としてどこまで説明できるのかが分かりにくくなっていました。残った金額も孫名義の口座に置かれたままで、学費用の資金なのか、単なる贈与なのかがはっきりしない状態でした。

Aさんは、あくまで「孫の進学を助けるためのお金」と考えていました。ところが数年後、相続対策の相談をした際に、過去に渡した300万円について確認され、そこで初めて不安を感じました。

教育資金の一括贈与の非課税制度は、令和8年3月31日までに要件を満たして手続きした場合、受贈者1人につき1,500万円まで非課税とされた制度です。ただし、金融機関を通じた教育資金管理契約や教育資金非課税申告書の提出などが必要でした。Aさんのように、普通の口座へ振り込んだだけでは、この制度を利用したことにはなりません。

一括で渡すほど、使い道の説明が大切になる

祖父母が孫の教育費を負担すること自体が、すぐに贈与税の問題になるわけではありません。通常必要と認められる教育費を、その都度支払う場合には、贈与税がかからない扱いがあります。たとえば、入学金や授業料を学校に直接振り込むような形であれば、資金の使い道も分かりやすくなります。

一方で、先に300万円や500万円といったまとまったお金を渡す場合は注意が必要です。渡した時点では教育費のつもりでも、その後に生活費や家計の補填、預金などに回ると、教育費としての説明が難しくなることがあります。

また、教育資金の一括贈与の非課税制度は、家族間で「学費用」と決めるだけで使えるものではありません。専用口座での管理、金融機関での手続き、領収書などの確認が必要になります。

なお、この制度は令和8年3月31日までが新規適用の対象でした。令和8年4月1日以後は、新たにこの制度の適用を受けることはできません。ただし、期限までに適用を受けていた契約については、引き続き制度の対象になります。

今回のように、実際に大学費用へ使われた部分があっても、領収書や振込記録が残っていなければ、あとから説明しづらくなります。学校への納付書、支払い明細、振込履歴、残金の管理状況は、家族で共有しておきたいところです。

教育費援助で確認したい5つの視点

教育費の援助では「いくら出すか」だけでなく、「どのように支払ったか」が重要になります。

入学金や授業料であれば、祖父母が学校へ直接支払う方法があります。親が先に立て替える場合でも、納付書や領収書を確認してから同額を精算する形にしておくと、お金の流れを説明しやすくなります。

教育費を援助する前に、次の点は確認しておきたいところです。

  • 支払先が学校や塾など明確な相手先になっているか
  • 入学金、授業料、教材費など、使い道を具体的に説明できるか
  • 振込記録、納付書、領収書を残しているか
  • まとまった金額を渡す場合、制度の利用可否や手続きを確認しているか
  • 祖父母自身の老後資金や介護費に無理がないか

まとまった金額を渡していた場合は、それが教育資金の一括贈与の非課税制度を使ったものなのか、通常の贈与として考えるものなのかを確認する必要があります。普通預金に振り込んだだけでは、制度を利用したことにはならないためです。

孫を応援したい気持ちは、とても大切です。だからこそ、あとから家族が困らないように、支払先、金額、記録をそろえておくことが欠かせません。教育費の援助は、気持ちに加えて「説明できる形」に整えておくことで、安心につながりやすくなります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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