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『母の口座から葬儀代を…』215万円を引き出しに銀行へ→「預金1,500万円」あるはずが…銀行で告げられた“想定外の大誤算”

  • 2026.6.22
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出典元:photoAC(※画像イメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

親の預金が十分にあれば、相続直後のお金も何とかなると考える人は少なくありません。

しかし、銀行口座は名義人が亡くなった後も、家族が自由に使えるとは限りません。

金融機関が死亡の事実を把握すると、預金の引き出しや振込が制限され、相続手続きが必要になることがあります。

今回は、母の定期預金1,500万円を頼りにしていた家族が、葬儀費用や入院費の支払いで慌てた事例をもとに、口座凍結に備えるポイントを解説します。

1,500万円あるから大丈夫…家族が直面した支払いの壁

60代の母は、地方銀行に定期預金1,500万円を持っていました。

普通預金には約80万円、年金口座には毎月約16万円が入っていたそうです。

長男と長女は、母から「もしものときは、この預金を使えばいい」と聞かされていました。

そのため、葬儀費用や入院費の支払いについて、細かく話し合っていませんでした。

母が亡くなった後、葬儀会社から提示された見積もりは約180万円。

内訳は、葬儀一式で約120万円、式場利用料で約25万円、飲食や返礼品で約35万円です。

さらに、最後の入院費約28万円、介護用品代約7万円の支払いも残っていました。

すぐに必要なお金は合計約215万円です。

長男は「母の定期預金を一部解約すれば払える」と考え、銀行へ相談しました。

ところが、銀行では母の死亡を確認したため、預金の払戻しには相続手続きが必要だと説明されました。

定期預金は母名義のまま残っているものの、長男がすぐに引き出せる状態ではなかったのです。

相続人は長男と長女の2人。

預金を正式に解約するには、戸籍関係書類の取得、相続人の確認、遺産分割の内容確認などが必要になります。

長男は書類を集め始めましたが、母の出生から死亡までの戸籍をそろえるのに数日かかりました。

長女は遠方に住んでいたため、書類のやり取りにも時間がかかります。

葬儀会社への支払い期限は1週間後でした。

結局、長男は自分の普通預金から180万円を立て替え、入院費等35万円はクレジットカードで支払いました。

母の定期預金には1,500万円ある。

それなのに、相続直後の支払いにはすぐ使えない。

これが家族にとって大きな誤算だったのです。

1,500万円あっても、すぐ使えるとは限らない

この事例の注意点は、預金額と使えるタイミングを分けて考えていなかったことです。

親の定期預金に1,500万円あることと、相続直後に家族が自由に使えることは同じではありません。

金融機関が死亡の事実を把握すると、預金の払戻しや解約には、相続人を確認する書類や遺産分割協議書などが必要になる場合があります。

必要書類は、遺言書の有無や金融機関の取り扱いによっても変わります。

一方で、遺産分割が終わるまで一切引き出せないわけではありません。

民法には、遺産分割前でも一定額まで預貯金を払い戻せる制度があります。

目安は、口座や明細ごとに「相続開始時の預金額×3分の1×その相続人の法定相続分」で計算します。

ただし、同一金融機関から単独で払い戻せる金額には150万円の上限があります。

たとえば、母の定期預金1,500万円が同じ銀行にあり、相続人が長男と長女の2人だった場合、長男が単独で請求できる目安は、1,500万円×3分の1×2分の1=250万円です。

しかし、同一金融機関ごとの上限が150万円のため、実際には150万円が一つの目安になります。

今回のように、葬儀費用180万円と入院費等35万円を合わせると215万円です。

このケースでは、仮払い制度を使っても、必要額215万円の全額をまかなえない可能性があります。

また、制度を使う場合でも、金融機関への申し出や戸籍などの書類準備が必要です。

「制度があるからすぐ現金化できる」と考えるのは危険です。

相続直後の資金繰り対策

相続対策では、相続税や遺産分割だけでなく、亡くなった直後の支払いも考えておく必要があります。

葬儀費用、入院費、施設費、公共料金などを、誰が、どの資金で、いつ支払うのかを事前に確認しておきましょう。

特に葬儀費用は100万円を超えることもあり、故人の預金だけを頼りにすると、支払い時期に間に合わない可能性があります。

  • 家族側で一時的に立て替えられる資金を確認する
  • 親の預金口座や通帳の保管場所を確認する
  • 支払い予定の費用を家族で共有する

この3点だけでも、相続直後の混乱は減らせます。

「親の口座にお金があるから安心」ではなく、「相続直後に動かせるお金があるか」まで確認することが大切です。

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