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年収1,300万→800万円に下がった40代男性→「気持ちを切り替えよう」としていた矢先…給与明細を開いて“絶句したワケ”

  • 2026.5.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「収入は下がったのに、税金だけ上がってる……」給与明細を開いた43歳男性Aさん(仮名)は、思わず声が出たといいます。住民税の天引き額が、先月の3万円から突然8万円に跳ね上がっていたのです。

前年は大型案件を3本決め、インセンティブ込みで年収1,300万円を達成しました。ところが今年は市場環境が一変し、年収は800万円に落ち込む見込み。「やっと気持ちを切り替えようとしていた矢先に、これか」と呆然としたといいます。しかし話を聞き進めると、もう一つの問題が浮かび上がってきました。

稼いだ年に生活も「アップグレード」されていた

営業職は成果が収入に直結するので、やりがいを感じやすい働き方です。努力と工夫次第では、Aさんのように年収1,000万円プレイヤーを目指せる点が魅力の一つ。

しかし、お金は「稼いで終わり」ではなく、その後の管理も必要です。Aさんが住民税の急増に苦しんでいるのは、単に税の仕組みを知らなかったからだけではありませんでした。

好調だった前年、Aさんの生活は少しずつ変わっていました。外食が増え、車をグレードアップし、家賃の高いエリアに引っ越し。「これくらいなら払える」という感覚で積み上げたものが、月々の固定費を大きく押し上げていたのです(ライフスタイル・インフレとも言います)。

収入が1,300万円あった時期は問題なく回っていた家計も、800万円に落ちたうえに住民税が月8万円になった途端、手取りがギリギリになります。住民税は当然、免除されるわけではありませんから、納付した後の生活費が本当に苦しくなってしまったといいます。

これはAさんに限った話ではありません。収入が増えると、無意識のうちに『今の収入が続く前提』で生活を組み立ててしまいがちです。外食・サブスク・趣味・住居など、気づかないうちに毎月の基礎支出が1段階上がっていく。収入変動の大きい職種の方が陥りやすい、典型的なパターンです。

なぜ収入が下がった年に、税金が上がるのか

住民税には、普通の感覚からすると少し不思議な仕組みがあります。

住民税は「前年の所得」に対して計算され、翌年の6月から課税が始まります。つまり、2025年にたくさん稼いだ分の住民税は、2026年6月から引かれる、という構造です。

Aさんの場合、1,300万円を稼いだ前年分の住民税が、収入が800万円に落ちた今年に請求されてくる。稼いだタイミングと払うタイミングが1年ずれるため、「好調の翌年」に最大の税負担が来るのです。

同じ落とし穴に落ちやすい3パターン

この「時間差課税」は、収入の変動が大きい人ほど直撃します。典型的な3パターンを整理しておきましょう。

  1. 好業績の翌年パターン:営業職・コンサル・成果報酬型エンジニア・芸能関係など、インセンティブや歩合の比率が高い職種で起きやすい。「稼いだ年=住民税最大」が、1年遅れてやってきます。
  2. 退職翌年パターン:前年まで会社員だった人が退職した場合、収入ゼロの年に在職中の所得ベースで住民税が請求されます。退職後に住民税の納付書が自宅に届いて、初めてこの仕組みを知る方は少なくありません。
  3. 独立初年度パターン:会社を辞めてフリーランスや経営者になると、会社員時代の収入に基づく住民税が追いかけてきます。売上が安定しない開業直後に、過去最大水準の住民税が来るケースも珍しくありません。

ちなみに筆者自身も、独立した直後に届いた住民税の通知書を見て思わず二度見した経験があります。会社員時代の所得をベースに計算された金額が、売上もまだ立ち切らないタイミングで請求書として現れる。頭では理解していたつもりでも、実際に納付書の数字を目にしたときのインパクトは想像以上でした。「知っていること」と「備えていること」は別物だと痛感した瞬間です。

収入が下がっても安心して生活するための対策

Aさんと一緒に対策を整理した結果、今後実践することになったのは3つです。

まず、好調な年は住民税分(前年の源泉徴収票の住民税額、または年収の6〜8%を目安に)を翌年用の別口座に移して手をつけないこと。「来年の自分への預かり金」として管理するだけで、翌年6月の衝撃は大きく和らぎます。

次に、前年の所得そのものを圧縮しておくこと。会社員の節税はほとんど限られていますが、iDeCoを最大限活用することで、住民税の計算のもとになる課税所得自体を下げられます。非課税で運用しながら老後資金を効率よく準備できるので、一石二鳥ですね。

Aさんとの相談でもう一つ取り組んだのが、生活費の見直しです。

収入の変動が大きい職種の人ほど、家計管理は慎重に行う必要があります。好調な年に生活水準を上げてしまうと、収入が戻ったときに下げることが心理的に難しくなります。これが「収入の乱高下に家計がついていけない」状態の正体です。

まとめ

住民税は前年所得をもとに翌年課税される仕組みのため、収入が下がった年に家計を直撃する可能性があります。

安心して生活をするためのシンプルな原則は、インセンティブや賞与は「あぶく銭」として扱い、基本給だけで生活が成り立つよう、生活の土台を整えておくこと。収入が変動しやすい方は、貯蓄・投資・来年の税金の3か所に振り分ける。この習慣があるだけで、翌年の住民税ショックは「知っていた想定内の出来事」に変わります。


出典:総務省「個人住民税」

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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