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TBS系“火曜ドラマ枠”で起きたひとつの変化「続編で戻ってきて」「今更ながら見てる」反響続く“昨年の話題作”との違い

  • 2026.4.30

2025年10月よりTBS系で放送された『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、古い価値観を持つエリートビジネスマンと恋人の別れから始まるラブストーリーだ。価値観のズレと関係の再生を描いた内容となっている。

一方で現在のTBS系“火曜ドラマ枠”では、まったく異なるタイプの作品『時すでにおスシ!?』が放送されており、その対比が大きな注目ポイントとなっている。

※以下本文には放送内容が含まれます。

“火曜ドラマ枠”の対比

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竹内涼真(C)SANKEI

昨年放送された『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、恋愛関係の中で生まれる価値観の衝突を描いていた。

海老原勝男(竹内涼真)は、仕事も外見も完璧なビジネスマンだが、「女性は家庭を守るべき」という古い価値観に縛られている人物だ。恋人・山岸鮎美(夏帆)へのプロポーズの失敗をきっかけに関係は崩れ、互いが当たり前だと思っていた価値観の違いが、次第に浮き彫りになっていく。

ここで描かれるのは、恋愛の終わりそのものではなく、“価値観の違う人間とどう向き合うか”という本質的な問いだ。恋愛を軸にしながらも、恋人だけではなく周りの人間も含めた関係性の再構築を描いた構造となっている。

SNSでは放送終了後も反響が続いており、「最高の作品」「続編で戻ってきて」「今更ながら見てる」といった声が寄せられている。

恋愛ドラマとの決定的なギャップ

一方で、現在放送中の『時すでにおスシ!?』は、子育てを終えた50歳の主婦・待山みなと(永作博美)が主人公だ。息子の独立をきっかけに、これまで母親として生きてきた時間と向き合いながら、“自分のための人生”を歩み始める物語である。

彼女が飛び込むのは、『鮨アカデミー』という鮨職人を目指すための学びの場だ。そこには年齢も経歴も異なる人々が集まり、それぞれの目的や事情を抱えながら技術を学び直している。そうした環境の中で、彼女は他者との関わりを通じて、自分自身の価値や生き方を少しずつ見つめ直していくことになる。

そこにあるのは、恋愛の駆け引きやトキメキではない。“誰かに選ばれる人生”ではなく、“自分で選び直す人生”へと踏み出していくプロセスそのものだ。

“変化する火曜ドラマ”が映す時代

これまで『プロミス・シンデレラ』『恋はつづくよどこまでも』など、火曜ドラマ枠は恋愛を中心とした物語を王道として築いてきた。年齢や立場の異なる登場人物が出会い、衝突しながらも距離を縮めていく過程や、すれ違いの中で生まれる感情の揺れを丁寧に描くスタイルは、多くの視聴者に支持されてきた。

その流れを踏まえたうえで、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』は、恋愛という枠組み自体を軸にしながらも、関係性の中に潜む価値観のズレや固定観念を浮かび上がらせる方向へと踏み込んでいる。従来の“胸キュン”や“関係の進展”にとどまらず、恋愛を通して何を問い直すのかという視点がより前面に押し出されており、火曜ドラマ枠の中でも新たな位置づけを示す作品となっている。

対して『時すでにおスシ!?』が提示するのは、恋愛ではなく“人生の再出発”だ。恋人や家族という枠組みさえ超えて、50歳の主婦が自分自身を取り戻していく姿は、従来のドラマの枠を軽やかに飛び越えている。

恋愛を通して時代を映す火曜ドラマと、恋愛そのものを描かない火曜ドラマ。その対比こそが、今この枠が注目を集めている理由なのかもしれない。


ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri