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「T.T」x「Arpa」の香りが誕生、京都・両足院での展覧会も開催

  • 2026.4.13
DAISUKE SHIMA

デザイナーで現代美術家の髙橋大雅が創業したファッションブランド「T.T」と、調香師バーナベ・フィリオンが率いるフランスの香水「アルパ」のコラボレーションによって、4月2日、一つの香りが生まれた。香水の名前は“SENKO NO KU(閃光の空)”。同時に京都の寺院、両足院が加わり、三者による協業で同じ名前のお香も誕生。また、これを機に両足院にて「T.T」と「アルパ」の創設者バーナベ・フィリオンによる展覧会『VACIO Senko no Ku』がスタートした(~4月17日まで)。

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「閃光」と可能性を宿す「空」を結びつけた香り

香りの名前にある「Senko」とは「閃光」、突然の光の放出のこと。「Ku」とは「空」。フィリオンは「無」ではなく、「生成の可能性を宿す場」として「空」を捉えた。「閃光の空」とは、例えるなら磨き上げられた鏡のような知覚を持つ状態を示す。

またお香の創作のインスピレーションの一つには、両足院に残る古い布があった。フィリオンは送られてきた古裂の匂いから「記憶」に思いを巡らしていったという。

<写真>香水“SENKO NO KU(閃光の空)”。

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展覧会『VACIO Senko no Ku』

両足院での展覧会のタイトルは『VACIO Senko no Ku』。スペイン語で「余白」「空白」「空所」を意味する「VACIO」という語は、「空」の考え方ともつながる。披露された作品は、視覚芸術であり、香るものであり、時を意識させる、感覚に響くインスタレーションだ。「源氏香」をモチーフとした立体造形で構成された作品や、香りの要素を6枚のスクリーンで表現した作品など、堂内と敷地内の茶室も含めた7つのスペースで展示されている。

印象深いのは、展示作品のいくつかで用いられたアルミニウムや、メタルプリントを施したオーガンジーのきらめき。反射し周囲に輝きを放つが、それは香りと同様、形あるものとして手で触れることができない。けれど静かにそのイメージは脳に焼き付く。

<写真>両足院での展示の一つ「消失の観察」。香が焚きしめられたシルバーの布のパネルの間を歩いて鑑賞する。

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『Fragments of Light(光の断片)』と題する長時間露光によって撮影された作品は、手ではつかめない光の跡が表出しているかのようだ。

展示空間では、歩みを進めるうち、時折、作品に焚きしめられた香りに出合い、包まれる。「消失」と「記憶」を手掛かりにつくり上げたというこの展示は、「過去のものを甦らせることで、未来の考古物を発掘する」というブランドコンセプトを掲げる「T.T」と、香水づくりを「視覚・触覚・聴覚」の体験を融合させた共感覚の芸術だとするフィリオンだからこそのインスタレーションだ。会期中は予約制で展示に合わせた茶席も実施される。

<写真>両足院での「古代的未来への訪問」と題した展示、奥は『Fragments of Light』。手前はアルミニウムのボックスでこの天面にはカラーグラデーションがプリントされている。

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「総合芸術空間 T.T」では『月面の光』と題する展示

京都・祇園の「総合芸術空間 T.T」では両足院の『VACIO Senko no Ku』に呼応したインスタレーション、『月面の光』を4月19日まで展開するとともに、香水とお香“SENKO NO KU”を販売する。

香水“SENKO NO KU”(¥58,300)は、ピンクペッパーやアイリスをトップノートに、ミドルにフランキンセンス、ベースはシダーウッド、サンダルウッド。繊細かつ、余白を感じる香りだ。「T.T」「アルパ」と両足院の三者の共同製作で誕生したお香“SENKO NO KU”(¥9,350)には、仏教や香道でも用いられる希少な香木の伽羅が材料の一つとして選ばれた。

ユニークなコラボレーションによって世に送り出された“SENKO NO KU”という香りの世界。ぜひ一度、感じてみてほしい。

<写真>「総合芸術空間 T.T」における『月面の光』の展示風景。三保谷硝子店が製作した極薄のガラスケースの上に香水“SENKO NO KU”が置かれている。向こうに見える石のオブジェはイサム・ノグチのアート制作を支えた石彫家、和泉正敏の作品。髙橋大雅は生前、親交を結び「総合芸術空間 T.T」には和泉が制作を担った髙橋の石の大きな作品も飾られている。庭は重森庭園設計研究室が手掛けた。


『VACIO Senko no Ku』

会期:2026年4月4日〜4月17日
会場:両足院
京都府京都市東山区小松町591
時間:13:00~17:00(最終入場 16:30)
休:会期中無休
入場料(拝観料):一般¥1,000
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『月面の光』

会期:2026年4月2日~4月19日
会場:総合芸術空間 T.T
京都市東山区祇園町南側570-120
営業時間:12:00~19:00
休:水曜
入場料:無料
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