1. トップ
  2. ギャラのみで人生崩壊「飲むだけで数万円」→「もう戻れない」憧れから依存へ…港区女子の光と闇、そして闇の先【作者に聞く】

ギャラのみで人生崩壊「飲むだけで数万円」→「もう戻れない」憧れから依存へ…港区女子の光と闇、そして闇の先【作者に聞く】

  • 2026.4.13
大学のミスコンで準グランプリになれた美春。その横で圧倒的なグランプリに輝いた同級生・乃愛が彼女に特別に教えるという「大学生がお金持ちと繋がれる仕事」とは? 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA
大学のミスコンで準グランプリになれた美春。その横で圧倒的なグランプリに輝いた同級生・乃愛が彼女に特別に教えるという「大学生がお金持ちと繋がれる仕事」とは? 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA

若さと美しさを武器に、富裕層の男性と飲食をともにすることで高額な報酬を得る"ギャラ飲み"の世界。そのきらびやかな舞台の裏側には、短い賞味期限と歪んでいく価値観が潜んでいる。うみの韻花(@umino_otoka)さんの著書『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』は、そんな世界に足を踏み入れた女性の変化と末路を描いた作品だ。

きらびやかな世界の裏側で壊れていく金銭感覚

『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』004 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA
『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』004 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA
『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』005 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA
『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』005 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA
『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』008 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA
『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』008 画像提供:(C)うみの韻花/KADOKAWA

作者のうみのさんが"ギャラ飲み"の存在を知ったのは、「数年前にネットニュースでギャラ飲み女子の記事を見かけて、そのときに知りました」という出来事がきっかけだった。港区や六本木に集う富裕層の男性たちは、若く世間を知らない女性を呼び出し、豪華な体験を与える。その過程で、女性たちの金銭感覚や価値観が少しずつ崩れていく様子を楽しむ構図があるとされる。こうした背景から「港区女子」という言葉が広まり、華やかさの裏にある危うさもまた語られるようになった。

ブランド、服装…リアリティを追求するための徹底リサーチ

本作の制作にあたり、うみのさんは実体験のない領域を補うため徹底したリサーチを行った。「私は夜職の経験はありますが、『ギャラ飲み』の経験も港区で働いた経験もありませんでした。あとがきにも書いてあるのですが、面接で落ちました(笑)」。そう語りつつ、元港区女子への取材を重ね、システムや実体験を細かく掘り下げていったという。

さらに、彼女たちが好むブランドや服装まで調査し、作品に落とし込んだ。「漫画を読んで、『嘘っぽい』『設定が適当』など思われないように細かいところまでリアリティを追求しました」。大学の見学や港区での資料収集など、主人公の感覚に近づくための試みも重ねている。

主人公の変化を視覚と心理で描き分ける工夫

物語の中心となる美春は、港区女子としての生活に染まるにつれて内面も変化していく。その過程を丁寧に描くため、うみのさんは演出にも細かな工夫を凝らした。「主人公の美春は、港区女子として染まっていくうえで性格も歪んでいくのですが、嫌われるキャラにならないように、第1章や第2章あたりで美春の葛藤や苦悩する描写をしっかり描き、少しでも読者さんが共感や同情などできるよう構成しました」。

さらに、「第3章以降は、美春の目のハイライトの数を徐々に減らしていってます」と語るように、視覚的な変化でも心理の揺らぎを表現。年齢や整形に応じて顔の比率やファッションも変化させるなど、細部までこだわりが貫かれている。

自身の経験を重ねた“もう1人の自分”

美春というキャラクターには、作者自身の経験が色濃く投影されている。「もともと私が、田舎出身で、上京して理想と現実のギャップに突き当たったり、お金を稼ぐことで傲慢になり、本来の目標を見失い、若さという勢いで生きてきた時期がありました」。そうした過去をもとに描かれた美春は、「存在したかもしれないもう1人の私」ともいえる存在だという。

学費と生活費に追われる日々のなかで、美春は「自分に投資をする」周囲の女子大生たちに憧れを抱く。「大学のミスコンに出て」と声をかけられたことをきっかけに、彼女の人生は大きく動き出す。やがて港区のギャラ飲みに参加するようになり、飲むだけで数万円を得る世界に足を踏み入れる。一度知ってしまったその感覚は簡単には手放せず、無垢だった価値観は次第に変質していく。しかし、若さという武器を失ったその先に待つ現実は決して甘くない。

「いつも温かい応援をありがとうございます!皆さまのおかげで、こうして描き上げることができました。こちらは制作に1年半を費やし、主人公と感情を一体化させて魂を込めて描いた作品です。皆さまにとって、ふとまた読み返したくなるような、そんな一冊になればうれしいです」と語るうみのさん。本作は、きらびやかな世界の裏にある現実と、人の心が変わっていく過程を鋭く描き出している。

取材協力:うみの韻花さん(@umino_otoka)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる