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「今日はちょっと贅沢しよっか」高価なものじゃない、でも特別だった。母が教えてくれた『小さな幸せ』

  • 2026.4.13

新生活が始まる4月。新しい環境に向かう子どもたちを見ていると、ふと自分の子ども時代を思い出すことはありませんか。
筆者には、4月になると思い出す「母の口癖」があります。それは、特別な日でもないのにふと母が言う、ある“魔法の言葉”。
今回は、何気ない春の日に交わされたその言葉と、大人になって気づいた母の優しさについてご紹介します。

画像: 「今日はちょっと贅沢しよっか」高価なものじゃない、でも特別だった。母が教えてくれた『小さな幸せ』

「今日はちょっと贅沢しよっか」という魔法の言葉

4月になると、私はいつも思い出します。母がふと笑いながら言った言葉を。

「今日はちょっと贅沢しよっか」

その頃、母のお腹の中には弟がいて、私と兄の3人でよく過ごしていました。

我が家は、決して贅沢をする家庭ではありませんでした。普段から特別な外食をするわけでもなく、大きなご褒美があるわけでもありません。

それでも兄と私には、心が躍る言葉が一つだけありました。

「今日はちょっと贅沢しよっか」

その言葉を聞くと、私たちはすぐにお出かけの準備を始めます。

向かう先は、家から20分ほど歩いた商店街。そこにある小さなアイスクリーム屋さんでした。

歩いた先にあった、小さなご褒美

商店街の一角にある、何気ない小さなお店。
そこで食べるソフトクリームが、兄と私にとって何よりの楽しみでした。

決して高価なものではありません。けれど、歩いた先にあるその一つが、子どもの私たちには特別な“ご褒美”だったのです。

兄も私も、そのアイスが大好きで、よくこんな話をしていました。

「将来、自分の子どもにもここでアイスを食べさせてあげたいな」

子どもながらに、そんな未来を想像するほど大切なお店でした。

けれど、時代の流れには逆らえません。

不景気の影響もあり、そのアイスクリーム屋さんは閉店してしまいました。

まだ幼かった私たちには、その出来事がとても悲しく感じられたことを覚えています。

大人になって気づいた母の気持ち

それから年月が経ち、私たちは大人になりました。
あの頃話していた「子どもにあのアイスを食べさせたい」という夢は、残念ながら叶いませんでした。

お店はもうありません。

けれど。私は今、一児の母になりました。

4月になり、アイスクリームを見かけると、つい自分の子どもに声をかけてしまいます。

「今日はちょっと贅沢でもする?」

実は兄も同じです。

二児の父になった兄は、アイスクリームを見ると必ずこう言います。

「今日は贅沢させたろ!」

その言葉を聞くたびに、私は思うのです。

母の言葉は、今も私たちの中にある

アイスクリームを食べている子どもたちの顔を見ると、なんとも言えない温かい気持ちになります。

あの頃の母も、きっと同じ気持ちだったのでしょう。

決して高価な贅沢ではない。

それでも、子どもたちの嬉しそうな顔を見たくて。

母はあの日、笑いながら言ったのかもしれません。

「今日はちょっと贅沢しよっか」

4月になると、私はいつも思い出します。

あの春の日の、ソフトクリームの甘さと、

母の優しい“魔法の言葉”を。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Anne.R
看護師として9年間、多くの人生に寄り添う中で「一人ひとりの物語を丁寧に伝えたい」とライターの道へ。自身の家づくりやご近所トラブルの実体験に加え、現在は周囲へのインタビューを通じ、人間関係やキャリアなど女性の日常に寄り添った情報を発信している。

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