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心を病んだ夫の失踪で、手に入れたのは安息の日々…後ろめたくありながらもこのままで良いと思う妻。複雑な心情の行方は?【書評】

  • 2026.4.10

【漫画】本編を読む

結婚したパートナーとは、互いに頼り、助け合い、ずっと変わらない愛情を持って添い遂げていくのが理想だろう。『失踪した夫 帰ってきてほしいかわからない』(海野ぴゅう:漫画原作、さとり:漫画/KADOKAWA)は、そのタイトル通り、夫の失踪という状況におかれた妻の、複雑に揺れ動く心情を描いたコミックエッセイだ。

40歳のサヤは、2年ほど前に突然夫が失踪して以来、子どもふたりと3人で暮らしている。失踪の原因は上司からのパワハラだ。一日中怒鳴り声を浴びせられて鬱病を患ってしまった夫は、4年間通院したものの回復せず、会社を休めないストレスから、もともと穏やかだった性格が一変し、攻撃的な発言を繰り返すようになる。そんな夫に対し、サヤも子どもも限界を感じていた2年前のある日、夫は家を出ていったきり帰ってこないのだ。

通常ならば夫の命の心配と、残された家族の生活の不安で大騒ぎになる事態だ。だがサヤは違っていた。サヤ自身が当時不思議に思ったほど、夫がいなくなって心が軽くなったのである。家の中が終始ピリピリとしていたことから解放され、子どもの笑顔も久しぶりに見たことで、夫の失踪で家族が救われたと実感するのだった。そんな安定した日々を送り、長女の高校入学式の日、会場でサヤは偶然にも元恋人の男性と再会する。そして――。

夫が失踪したおかげで、つつましいながらも幸せな生活を手に入れることができた。いくら友人に「ドライ」と言われても、帰ってくることを望まない気持ちさえあるほどだ。そんなときに訪れた元恋人との再会で心が揺れ動くサヤの姿を見ていると、夫婦の絆とは? 家族の幸せとは? ということをあらためて考えさせられる。果たしてサヤはこれからどんな道を選ぶのか。ぜひ本書を手にとって確かめていただきたい。

文=nobuo

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