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引っ越し先で始まったエスカレートしていく嫌がらせ――ママ友たちの笑顔の裏に隠された「不明確な悪意」【書評】

  • 2026.4.10

【漫画】本編を読む

『不明確な悪意~引っ越し先はママ友地獄~』(リアコミ:原作、サカド、秋山はな:漫画/KADOKAWA)は、平穏な日常がじわじわと悪意に侵食され、逃げ場のない恐怖に変わっていく様子を描いたサスペンス作品だ。

物語の主人公・タマミは、夫と小学生の息子とともに新しい街へ引っ越してきた。当初は順調に見えた新生活だったが、ふたりのママ友と出会って以降、不可解な出来事が彼女を襲い始める。傘や絵本といった小さなものが家から消えることに始まり、嫌がらせは次第に過激さを増していく。玄関への落書き、不気味なメッセージ、さらには息子が命の危険にさらされる事態にまで発展。読み手はタマミと同じ視線で、「犯人は誰なのか」「なぜこんなことをするのか」と疑問を持ちながら読み進めることになる。

本作の最大の特徴は、タイトルにもある「不明確な悪意」の描き方だ。犯人が誰なのか分からない不気味さも怖いが、それ以上に恐ろしいのは、身近にいるはずの「ママ友」という関係の脆さと不透明さである。タマミの周りには、仲良く接してくれるふたりのママ友がいる。一見、良き理解者のように振る舞う彼女たちだが、その笑顔の裏にどのような感情が隠されているのかは分からない。

物語中盤、ついに自宅に侵入した犯人と鉢合わせするシーンは、本作の大きな見どころのひとつだろう。信頼していた相手が「加害者」に変わる瞬間、タマミが感じる絶望と恐怖は計り知れない。その衝撃とともに、これまでを振り返り、あらためて「笑顔の裏にある感情」に戦慄する。

読後、自分の周りの人間関係を見直さずにはいられなくなる。本作はエンターテインメントとしての恐怖を提供するだけでなく、現代を生きる私たちが直面するかもしれない、リアルな地獄を突きつけてくる作品だ。

文=つぼ子

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