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ADHDの症状は3つでなく「9つのカテゴリー」に分けられる

  • 2026.4.10
Credit: canva

「集中できない(不注意)」「落ち着きがない(多動性)」「衝動的に行動してしまう(衝動性)」

ADHD(注意欠如・多動症)は、この3つの特徴で語られることが一般的です。

しかし最新の研究は、こうした理解があまりにも単純すぎる可能性を示しました。

豪メルボルン大学(The University of Melbourne)らの最新研究で、ADHDの症状は従来の3分類ではなく、実際には「9つのカテゴリー」に分けられることが明らかになったのです。

では、残りの6つは何なのでしょうか?

研究の詳細は2026年2月5日付で学術誌『Irish Journal of Psychological Medicine』に掲載されています。

目次

  • ADHDは「3つの症状」では説明できない
  • なぜ6つの症状は見過ごされてきたのか?

ADHDは「3つの症状」では説明できない

これまでADHDは、不注意・多動性・衝動性という3つの症状群で説明されてきました。

診断基準である『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)』も、この枠組みに基づいています。

しかし今回の研究では、ADHDと診断された成人を対象にインタビューを行い、「本人の体験」に基づいて症状を分析しました。

その結果、症状は既知の3つを含め、以下の9つに分類できることが示されました。

・不注意
・多動性
・衝動性
・整理の困難(計画を立てる・整理することが難しい)
・物忘れ
・始動困難(やることがわかっているのに始められない)
・感情の不安定さ
・時間感覚のズレ(時間の感覚がわからず、約束の時間に遅刻したり、作業時間をオーバーする)
・睡眠の質の低下(思考の過活動により、なかなか寝付けない)

注目すべきなのは、このうち診断基準で中心的に扱われているのは最初の3つだけであり、残りの6つは十分に考慮されていない、あるいはほとんど扱われていない点です。

特に「感情の不安定さ」や「時間感覚のズレ」「睡眠の問題」は、患者にとって日常生活に大きな影響を与えるにもかかわらず、診断では見落とされやすいと指摘されています。

つまり現在の診断は、ADHDの一部しか捉えていない可能性があるのです。

なぜ6つの症状は見過ごされてきたのか?

では、なぜこうしたズレが生まれるのでしょうか。

その理由の1つは、これまでの診断基準が「外から見える行動」に依存してきたことにあります。

たとえば「落ち着きがない」「集中できない」といった特徴は観察可能ですが、「時間がうまく感じられない」「感情が強すぎる」といった体験は、本人にしか分かりません。

今回の研究では、こうした“内面的な困難”がADHDの中心にあることが強く示されました。

たとえば多くの参加者は、「やるべきことが分かっているのに始められない」という状態を報告しています。

これは単なる怠けではなく、「始動困難」と呼ばれる実行機能の問題です。

また、時間の感覚にも特徴があり、作業時間を正確に見積もれなかったり、集中している間に時間が一気に過ぎてしまう「過集中(ハイパーフォーカス)」が起きたりします。

さらに感情面では、怒りや不安が強くなりやすく、ポジティブな感情でさえ消耗につながるケースも報告されています。

こうした特徴を総合すると、ADHDは単なる「注意の問題」ではなく、「注意・感情・行動・時間といった自己調整の全体的な困難」として理解する必要があることが見えてきます。

見えない症状をどう扱うかが今後の課題

今回の研究が示した最も重要な点は、ADHDの多くの症状が「外から見えにくい」ということです。

実際、成人になると多動性は身体的な動きとしては目立たなくなり、「頭の中が落ち着かない」といった形に変化することが知られています。

また、遅刻を防ぐために極端に早く行動するなど、工夫によって症状が表に出ないケースもあります。

その結果、本来支援が必要であるにもかかわらず、診断されない「過小診断」の問題が生じています。

研究者たちは、こうした状況を改善するためには、診断基準に患者自身の体験をより反映させる必要があると指摘しています。

つまり「見える症状」だけでなく、「感じている困難」に目を向けることが重要なのです。

ADHDは「不注意・多動性・衝動性」という3つの言葉では収まりきらない、もっと複雑な状態である可能性が見えてきました。

もし診断の枠組みが広がれば、これまで見過ごされてきた人々が適切な支援につながるかもしれません。

「見えない困難」に光を当てることこそが、ADHD理解の次のステップになりそうです。

参考文献

New Study Finds That ADHD Has 9 Categories of Symptoms
https://www.psychologytoday.com/us/blog/brain-curiosities/202604/new-study-finds-that-adhd-has-9-categories-of-symptoms

元論文

ADHD symptom manifestation in adulthood: moving beyond conceptualisations of inattention and hyperactivity/impulsivity
https://doi.org/10.1017/ipm.2026.10175

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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