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『サンキュー、チャック』マイク・フラナガン監督の手腕を徹底解説!新規場面写真&絶賛コメントも

  • 2026.4.8

スティーヴン・キングの原作を、『ドクター・スリープ』(19)を手掛けたマイク・フラナガン監督が映画化し、第49回トロント国際映画祭で最高賞である観客賞に輝いた『サンキュー、チャック』(5月1日公開)。このたび本作の新規場面写真が解禁となった。さらに、本作に魅了されたライター、編集者の方々からの絶賛&応援コメントも到着。

【写真を見る】トム・ヒドルストン演じるチャールズ・クランツがガールフレンドとダンスをするシーン

【写真を見る】トム・ヒドルストン演じるチャールズ・クランツがガールフレンドとダンスをするシーン [c]2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
【写真を見る】トム・ヒドルストン演じるチャールズ・クランツがガールフレンドとダンスをするシーン [c]2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

2024年に作家生活50周年を迎えたキング。新作小説は常にベストセラーランキングを席巻し、キングに影響を受けたテレビシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」が世界的大ヒットを記録するなど、いまなお絶大なる人気と評価をアップデートし続けている。そんなキングが2020年に発表した「The Life of Chuck」の映画化が実現した。監督、脚本は、「ジェラルドのゲーム」(17)や『ドクター・スリープ』に続き、キングと信頼の絆で結ばれたフラナガンが担当する。

今回解禁された場面写真には、夜のネオンがにじむ異国情緒漂う街角で、なにかに深く見つめるトム・ヒドルストン演じるチャールズ・クランツの姿が。等身大で知性あふれるたたずまいは、チャックの複雑で豊かな内面を繊細に写しだしている。また、プロム会場で大勢の観衆に囲まれながらガールフレンドと背中を合わせてダンスをするシーンを捉えたカットも。洗練された容姿ながらどこかあどけない表情を残したチャック。彼女との身長差に思わず胸がときめくカットとなっている。

ウェテル・イジョフォー演じるマーティは、なぜ暗闇のなかで立ち尽くしているのか? [c]2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ウェテル・イジョフォー演じるマーティは、なぜ暗闇のなかで立ち尽くしているのか? [c]2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

さらに、平穏だった日常が終わりを告げようとしている世界の静寂のなか、暗闇のなかで呆然と立ち尽くすキウェテル・イジョフォー演じるマーティの姿も。彼の背後に忍びよるのは、住宅の窓に写しだされた謎の男チャールズ。マーティの表情からは、言葉にできない不安と恐怖感が伝わってくる。これらの恐怖感と祝福が交錯する新たな場面写真は、本作が人生の美しさを讃える物語であることを写しだしている。

フラナガン監督は、現代ホラー界で「最も信頼できる語り手」の1人と称されるアメリカの映画監督、脚本家だ。彼の最大の特徴は、単に怖がらせるだけでなく、「喪失」「トラウマ」「家族の絆」といった深い人間ドラマをホラーの枠組みで描く点にある。幽霊や怪物を、キャラクターが抱える過去の罪悪感や心の傷の象徴として扱う手法が注目を浴びている。

また、映像の隅々に「隠れゴースト」を配置したり、長回しのカットを多用したりと、視覚的な仕掛けにも定評がある。キング作品の映像化も得意としており、難解と言われた『ドクター・スリープ』や「ジェラルドのゲーム」を成功させたことで、原作ファンからも厚い信頼を得た。同じくキング原作の『ミスト』(07)の再映画化始動のニュースも記憶に新しい。また、映画のみならず配信ドラマの傑作「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」や、本作でもその活躍が光るカレン・ギランも出演している『オキュラス 怨霊鏡』(13)でもその手腕が高く評価されている。そんなホラーの名手でありながらも、人々の揺れ動く心を丁寧に描いてきたフラナガン監督が、本作で愛と希望のヒューマンドラマを描き上げた。本作で見事に描き上げた魅力について、順を追って紐解いていく。

現代ホラー界を牽引するフラナガン監督は、単に観客を震え上がらせるだけでなく、その恐怖の底にある「失われない愛」や「魂の救済」を描くことに長ける。本作『サンキュー、チャック』においては、自身のキャリアにおける「最高傑作」にすると誓い、全情熱を注ぎ込んだ。

フラナガン監督とキングの絆は深く、これまでにも「ジェラルドのゲーム」や『ドクター・スリープ』といった難解な原作を見事に映像化してきた。キングは、フラナガンを「優れたストーリーテラーであると同時に、ヴィジュアルの才能も持ち合わせている」と最大級の言葉で讃えている。そんなキングからの信頼を得るフラナガン監督は本作の脚色において、原作の持つ「逆行する三幕構成」という特殊な構造をあえて守り抜いた。これは、人生を後から振り返った時に初めて気づく衝撃や詩的な意味を、観客にそのまま届ける、という原作のアクロバティックでありながら感動的な構成に敬意を表したフラナガン監督の深い原作愛だ。また、フラナガン監督は、キング作品の神髄が「愛と希望」なしには存在し得ない点にあると定義している。世界が崩壊していく悪夢のような状況にあっても、絶望や皮肉に逃げず、人生を肯定しようとする人間の姿が正面から捉えられた本作では、「恐怖」を「希望」に変えるフラナガン監督の手腕が存分に発揮されている。

フラナガン監督が、「最も重要なシーンの1つ」と語るダンスシーンについては、ヒドルストンに「自由で最も幸せな時間」と言わしめ、6週間の特訓を経て700回以上も踊り抜くエモーショナルなダンスシーンを撮影した。また、本作では、多くのレジェンド級俳優たちとの協力が輝いている。「スター・ウォーズ」シリーズ出演のマーク・ハミルに「史上最高に背筋が凍るホラーになると思ったが、完全に予想を裏切られた。とても優しく、胸に迫る物語だ」と言わしめるなど、大御所俳優の心をも動かす演出力が光る。

ハミルが「ただの映画以上のもの、観る人を癒すセラピーのような作品」と語る通り、フラナガン監督の演出は観客の人生観そのものに語りかける。「世界が分断され、不安が渦巻くいまだからこそ必要な物語」である本作。死という避けられない運命を見つめながらも、鞄を置いて踊ることを勧めるフラナガン監督の温かな眼差しは、劇場を出るすべての人に深い安らぎと確信を与えてくれるだろう。

はたしてトム・ヒドルストン演じるチャックの正体とは?そして彼の人生は一体どんなものだったのか?キングが仕掛ける感動のミステリーに期待が高まる。

<ライター&編集者コメント>

●稲垣貴俊(ライター・編集者)

「〈物語〉を知り尽くした名匠による、驚くべきイマジネーションと語りの魔術。名優たちが織り成す、優れた舞台のようにヒリヒリと濃密なアンサンブル。大スケールながら、親密でウィットに富んだ会話劇。――なんて贅沢な物語体験!」

●平沢薫(映画ライター)

「”生きる"とは、いったいどのような営みなのか。奇想天外な物語の向こうから、マイク・フラナガン監督が投げかけてくるこの問いが、静かに、深いところに、染み込んでくる。チャックと一緒に踊りたくなる」

●遠藤薫(映画ライター)

「勝手ながらホラーのイメージが強かったフラナガン監督。だけど今回は怖くない!いきなり悲惨な世界の終わりを予感させる描写から始まり、暗い絶望を覚悟するものの、着地点はまさかの感動ミステリー!?トム・ヒドルストンの華麗なステップに酔いしれながら思うのは、いつか世界が終わるのは仕方ないとしても、『とりあえず、いまを生きよう!』という中年らしからぬまっすぐな想い。世界の終わりを描いた作品はたくさんあるけど、予想外の角度からのアプローチに終始唸らせられました。見終わった後に感じる余韻も、愛しさとせつなさと心強さ(やっぱり中年)で大満足。説教臭さが微塵もないのもいい」

●香田史生(CINEMORE編集長)

「そこはかとなく漂う郷愁。『そうだった。スティーヴン・キング原作だったか...』すべてが腑に落ちた。さすが『ドクター・スリープ』の監督。マイク・フラナガンとキング作品の相性のよさにも驚かされる。近頃こんな映画を待っていた気がした」

●東紗友美(映画ソムリエ)

「人生の平凡さを嘆く必要はもうない。“なんてことない人生”なんて存在しないのだと、この映画は教えてくれる。私たちそれぞれの一生には、宇宙のように広がる物語がある。観終えたあと、自分のなかにも静かな宇宙が広がっていることを信じられる。サンキュー、チャック」

●岡本敦史(映画ライター)

「あの日、トム・ヒドルストンが突然優雅に踊りだしたから、人類はほんの少しだけ気分よく滅亡のときを迎えられたのかもしれない。ここ数年ではいちばんのキングの理解者、マイク・フラナガン監督が、世界の美しさとその破滅を等しく詩的に描いた名編を軽やかに映像化。僕らに最後の思い出を残してくれた“誰でもないひと”チャックに、ありがとう」

●茶一郎(映画レビュアー)

「まだ涼しさの残る夏の夜、星空を見上げている時に感じるあの心地よさが、静かに続いていく映画。ホラーというジャンルで心の傷に向き合ってきたマイク・フラナガンが、記憶という宇宙に宿る無数の誰かと最期までダンスを踊ろうと、今度は私たちの人生を優しく肯定してみせる」

●加藤よしき(映画ライター)

「直球に申し上げまして、とても素敵な映画です。原作は“ホラーの帝王”こと作家スティーブン・キングが贈る素敵な黙示録を、キング大好きっ子のマイク・フラナガン監督が見事に実写化。相変わらず相性バッチリで、万人にオススメできる人生応援映画になっております。ホロ苦い希望を描く終幕は、きっと多くの人の心に残るはず。やっぱね、とりあえず踊るのが一番です」

文/山崎伸子

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