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老廃物の9割はリンパが回収。“手動”で巡らせてむくみレスな体に

  • 2026.4.5
教えてくれたのは……

岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科「むくみを科学する先進リンパ学講座」特任教授

品岡玲先生

2023年、日本医学会総会にて最優秀奨励賞を受賞するなど、長年、リンパ学の最前線を走る第一人者。正体が掴み切れていなかったリンパの存在を緻密なサイエンスの視点から解き明かす。

むくみを制するならばリンパに注目すべし! 老廃物の回収を担うのはリンパ管

品岡玲先生

美容通の方であれば、むくみのない状態や肌を美しくするために、排出すべき存在として「老廃物」というキーワードを耳にしたことがある方も多いかもしれません。老廃物とは、細胞が活動する際に生じる不要な代謝産物であり、残しておくと美容にも健康のためにもよくないものです。

そんな老廃物を体外に排出するときに、血流を促すためのケアを推奨されることがありますが、実は血液は酸素や栄養を運んでいるものの、大きな老廃物の回収はほとんどしていません。大きな老廃物の約9割を回収しているのがリンパ管です。

静脈もその“仕事”を請け負いますが、大きな老廃物はほとんど排出することはできません。大きな老廃物を回収し、再利用可能なものを仕分ける“リサイクル業者”がリンパ管なのです。血液には回収できない大きな老廃物つまり、シミのもととなるメラニンのゴミや黄ぐすみの原因になる“AGEs(糖化物質)”、酸化して劣化した脂肪、古くなったタンパク質の残骸。これら美容の天敵を捨てることができるのはリンパだけなのです。

この“リサイクル業者”が機能しなくなれば、ゴミが居座り続け、老化や不調を引き起こす原因になります。もちろん、リンパの巡りがスムーズだとむくみを溜め込まないクリーンな体に近づきます。


【リンパの真実 1】勝手には巡らない。血液が「自動」なら、リンパは「手動」

品岡玲先生

血液は心臓のポンプで巡りますが、リンパには強い原動力がないため、自ら巡りにくいです。リンパ管を流すには、筋肉と皮膚で管を挟んで、物理的な圧をかけて動かす必要があります。リンパは、動かすための行動があってこそ流れをスムーズにすることができるシステムなのです。


【リンパの真実 2】ゴリゴリ、ギュッギュッ……痛いマッサージは絶対にNG!

【リンパの真実】2:ゴリゴリ、ギュッギュッ……痛いマッサージは絶対にNG!
品岡玲先生

痛みを伴う刺激の強いマッサージは、摩擦が傷となり新たな炎症物質をつくり出す可能性があります。リンパの流れを整えるためには、力任せのマッサージは不要です。


【リンパの真実 3】リンパの巡りは皮膚の加齢により低下する

品岡玲先生

リンパ管には、むくみの原因となる老廃物などを含んだ水分(間質液)を取り入れるための扉を動かす“紐”があり、そのもととなっているのが肌のハリを支えるエラスチンです。肌がたるんだり糖化したりしてこの紐が伸びきってしまうと、扉を引っ張ることができず、排出力が大きくダウンします。

昨今、エラスチンにアプローチする化粧品やサプリメントが注目されつつありますが、そういったケアは、実はリンパによる排出機能を維持し、汚れを溜め込まずにフレッシュな肌やコンディションを保つために役立つ可能性があります。


【リンパの真実 4】リンパの巡りが悪くなると脂肪が溜まって太りやすくなる

品岡玲先生

脂肪の再利用(蓄積させないため)にはリンパの流れがスムーズであることが大切な条件だということが、近年の研究でわかってきました。かつて脂肪は血液に乗って余剰分が体に溜まり太る原因だとされていましたが、今は脂肪の通り道となるのはリンパ管であり、リンパの巡りが悪いと、脂肪は回収されず、そのまま居座ると考えられています。

脂肪と炎症は密接な関係であるため、脂肪が炎症の“もと”となり、リンパを詰まらせる。この“太りやすくなるスパイラル”を断ち切るにもリンパ管の“整備”が重要になります。「むくみを放置すると脂肪につながる」という都市伝説のようなワードもあながち間違いではないのです。


リンパをスムーズに巡らせてむくまない体のためにやるべきことは?

リンパをスムーズに巡らせてむくまない体のためにやるべきことは?

アーティスト名/Shutterstock.com

品岡玲先生

最近の研究では、リンパの流れを促すためには、マッサージよりも関節を動かすことによって深部の筋肉にまでアプローチできる方法がもっとも効率がよいと明らかになりました。激しい運動の必要はありません。YouTubeで誰でも簡単にできるようなヨガやストレッチ、ラジオ体操、肩回しなど、ゆったりと行う運動で十分。

大きなリンパが集まる鎖骨、脇、股関節を動かすだけで、排出の動力となる巡りは見違えます。膝や足首を回すだけで下半身太り改善の兆しとなる可能性も。テレビを見ているとき、デスクワークの休憩中などに取り入れてみるのもおすすめです。


取材・文/金子優子 構成/剱持百香

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