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「研究を優先できるのは実家が裕福だから」は偏見。奨学金免除を狙う学生と就活生の、理系大学院のリアル【作者に聞く】

  • 2026.4.2

理系学生の進路として当たり前になりつつある大学院進学。しかし、その閉ざされた研究室の壁の中では、就職活動を巡る深刻な葛藤が渦巻いている。

理系大学・大学院の実情を赤裸々に描く理系女ちゃん(@rikejo_chan)さんの作品「研究は大事だけど就活も大事って話」が注目を集めている。研究室にこもって論文を積み上げるべきか、将来のために就活に心血を注ぐべきか。アカデミアとビジネスの狭間で揺れる学生たちのリアルを、作者の理系女ちゃんさんに聞いた。

「研究室は就活生に冷たい?」 推薦枠と総合職志望で分かれる温度差

理系大学生の4年間01 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
理系大学生の4年間01 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
理系大学生の4年間02 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
理系大学生の4年間02 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
理系大学生の4年間03 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
理系大学生の4年間03 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)

理系大学院では、研究室への貢献が美徳とされる一方で、就職活動は個人の戦いとなる。理系女ちゃんさんは、志望する職種によって研究室での立ち位置が変わる実情を指摘する。

「推薦を利用する学生は研究に時間を費やせる一方で、近年人気の文系総合職などを目指す場合は競争率も高く、研究室を不在にしがちな学生もいます。本来、修了できなければ内定も意味をなしませんが、近年は『真面目に取り組まずとも修了できてしまう』という大学側の運営状況もあり、研究に身が入らない学生の増加が問題になっています」

漫画では、就活を優先する学生に対し、研究に励む学生から「嫌味」や「圧」がかかるシーンが描かれる。ネット上では「研究を優先できるのは実家が裕福な証拠」といった偏見も散見されるが、理系女ちゃんさんはこれに異を唱える。

「研究を頑張ることで奨学金の全額返還免除を狙っている学生も多いです。『研究を頑張っている=裕福、暇』という偏見はなくなってほしいですね」

「なんとなくの進学」が招く悲劇。研究室と学生のアンマッチを防ぐために

理系女ちゃんさんは、これから大学院進学を考えている学生に対し、「なぜ進学するのか」を自問自答してほしいと語る。

「日本の多くの企業はポテンシャル採用なので、大学院の生活が直接就職に役立つことは稀です。研究室側も予算を割いて指導しているため、真面目に取り組まない学生は困りもの。専門分野を活かす仕事に就きたい訳でなければ、大学院には進学しない方が、研究室と本人の双方にとって良い結果になることもあります」

修士課程への進学が「エスカレーター式」になりつつある現状に警鐘を鳴らし、自分のキャリアに本当に必要なステップなのかを見極める重要性を説く。

閉鎖的な空間だからこそ起きる「世間とのズレ」と相互理解

研究に忙殺される日々は、時に外界との関わりを遮断し、研究室の慣習こそが「世界の常識」だと思い込ませてしまう。

「漫画を描いていて、異なる分野の方から厳しいコメントをいただくこともあります」と理系女ちゃんさんが語るように、専門性の高い世界だからこそ、世間一般の感覚との摩擦が生じやすい。

研究に打ち込む学生も、将来のために就活に励む学生も、互いに「なぜ今そこにいるのか」を尊重し合える関係が求められている。これから研究室の門を叩く学生には、このリアルな声を自身の進路選択の糧にしてほしい。

取材協力:理系女ちゃん(@rikejo_chan)

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