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森崎ウィン、映画『黄金泥棒』で新境地!「許されちゃうクズ」を演じる難しさと、撮影現場で感じた“新感覚”

  • 2026.4.2

平凡な主婦が秀吉の金茶碗(きんちゃわん)を盗み出す――。そんな奇想天外な映画『黄金泥棒』が2026年4月3日(金)に公開される。田中麗奈さん演じる藤根美香子が、百貨店でうっかり金(きん)のおりんを盗んだことをきっかけに、金(きん)の販売会社・SGCの社員たちと関わり、生活が変化していく。そして、あるきっかけから秀吉の金茶碗を手に入れたいと渇望し、計画を企てていく。美香子に束の間のロマンスと、秀吉の金茶碗の存在を知るきっかけを与えた、実は裏の顔を持つSGC社員の金城光輝を演じた森崎ウィンさんに、役作りから俳優としての自身についてまで広く語ってもらった。

映画『黄金泥棒』でヒールを演じた森崎ウィンさんにインタビュー 撮影=八木英里奈
映画『黄金泥棒』でヒールを演じた森崎ウィンさんにインタビュー 撮影=八木英里奈

演じる役の印象は「相当クズ」

――最初に台本を読んだときの感想を教えてください。

【森崎ウィン】まず、実話をもとにしたお話だということに驚きました。金(きん)を盗んだこともそうですが、田舎のおじいちゃんとおばあちゃんが段ボールに詰めたお金を持って金を買いに来るシーンも、本当にあったことなんだそうです。金(きん)を買う人って、いわゆるお金持ち、着飾ったような人たちなのかなと思っていたのですが、そういうわけでもないんだな、と。純粋におもしろい話だなっていう感想と、あと、僕が演じる役は相当クズだなと…(笑)。

――「クズだな」と感じたうえで、お芝居されることを考えながら読まれてみていかがでした?

【森崎ウィン】なぜそこまで振り切った発言をするのかとか、自分の利益のために他の犠牲を顧みない姿勢とか…きっと大きな野望と強い意志があって行動につながっているのかなと、自分なりに解釈して演じました。

演じる僕としては、彼自身のことを後半でもう少し描いてほしい気持ちもありつつ。でも作品の焦点は別のところなので、それは自分のエゴなんですよね。ヒールだろうが何だろうが、彼もひとりの人間だということに着目をして、なぜここまでクズな言動をするのかを考えました。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

――具体的にはどんなことでしょうか?

【森崎ウィン】彼は、過去につらいことがあって相当なものを抱えているんだと。彼がSGCに入り、この若さでのし上がって、これだけの仕事を任されて、何億何百億を動かして。で、次なる目標は、俺がこの会社をトップに連れていってやったんだ、と、承認欲求を満たすこと。その生きがいをなくしてしまうと、彼のなかで何かが崩れてしまうくらいのバックボーンがある…。そんな風に、自分の中で壮大なストーリーを作って演じないと、ひどいことをさらっと言えないというか。

たとえば、部下に対しての発言も「それぐらいやって、もっとビッグなものをつかもうよ!そしたら、もっと幸せなことがいっぱいあるんだから!」というところに感情を持っていくように内面を作って演じました。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

「この人なら許されちゃう」という難題

――萱野(孝幸)監督のインタビューで「森崎さんが役をつかむのに苦労されていた」という話がありましたが、それは今お話いただいたようなことでしょうか?

【森崎ウィン】そうですね。あとは萱野監督が思い描く金城くんとのマッチングと言いますか。どんなトーンの芝居なのか、嫌なヤツ感をダダ漏れにするのか、漏れ出てくる感じなのか、みたいなところですね。いろいろと話し合いをさせていただきながら、調整して演じました。

――「大変な場面もたくさんありましたが、思い切って暴れさせていただきました」とコメントを出されていましたが、具体的に大変な場面として一番印象に残っているのはどんなシーンですか?

【森崎ウィン】いい人でデキる営業マンを感じさせる表向きの顔のシーンから始まって、会議室で部下と対峙するシーンでのギャップ、美香子を追い込んでいく終盤のシーンでイライラするところ、その段階を踏んでいくのがなかなか難しかったです。ここは表向きの顔とイライラ感をどんなバランスで演じるべきか、というのをすごく考えていました。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

――キャスティングの理由のひとつとして、「森崎さんは悪いことをしても、ちゃんとかわいらしさが出るなと思った」と萱野監督が答えているのですが、森崎さんはそのことは監督から伝えられていたのでしょうか?

【森崎ウィン】あ〜言っていたような…聞いたかもしれないです。「この人なら許されちゃう」みたいなところにいてほしい、ということは言われましたね。それがすごく難題で、さじ加減が難しかったのかもしれません。

――ちなみに、この人に言われたら許しちゃうとか、お願いを聞いちゃう、みたいな人は身近にいますか?

【森崎ウィン】弟ですかね。もちろん限度はありますけど、ちょっとかわいいわがままぐらいだったら聞きますね(笑)。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

常人にはわからないからおもしろい監督のこだわりのポイント

――コメントからもうひとつ、本作を「過去に類を見ない新感覚のクライムヒューマンドラマ」と評されていますが、新感覚と感じたところについて具体的に教えてください。

【森崎ウィン】萱野監督の過去作を拝見して、ザ・邦画というテイストの作品を撮られている方だと感じました。映画『断捨離パラダイス』などを観て、すごく揺さぶられた自分がいたんですよ。どでかい爆発シーンはないけれど、波形がちょっとずつ動いて見ている人の心に大きな波形を生み出すような作品を撮られる監督だなと。

今作ではコメディなタッチをどう仕上げるんだろうって楽しみに現場に行ったのですが、カメラ1台を手持ちで、撮影部の方が手でフォーカスしながら、僕らの動きを追いかけて撮っていたんです。その技術力の高さや仕上がり、テンポ感、カットのつながり…。1台で撮っているとは思えないっていう驚きがあって。

海外作品のようにどでかい爆発シーンがあるわけでもない、平凡な日常と壮大なストーリーの対比というか、日本の社会背景のなかでコメディ要素のあるクライムサスペンス作品をやろうとしていることが新感覚だなと思いました。

――そんな萱野監督の現場で感じたことを教えてください。

【森崎ウィン】萱野監督って現場で突拍子もないことを急に言い出したりして、萱野監督の頭の中を最後までみんな100%は理解できないんです。でも僕は、そういうクリエイターが好きで、「わかんないけど、わかりました」ってやってみるという。

意図を理解してやるのもいいと思うんですが、意図がわからないからこそ自分で考えたり、違和感を持ってやったりすることに意味があるのかなと。それで何か出てくるものがあるんだったら何回でもやりますし、こだわりのポイントが常人にはわからないところにあるって、おもしろくないですか?

自分にはない感覚だから、そこに乗っかるというか、この素材をどう料理してくれるのかなっていう楽しさがありました。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

俳優業の魅力は「みんなで現場で作っている感じがすごく好き」

――美香子が金茶碗を盗む計画に打ち込んだことで、生き生きとした姿に変わっていったのが印象的でした。森崎さんにとってはそれが俳優業なのかなと思うのですが、このお仕事に打ち込むようになったきっかけについて教えてください。

【森崎ウィン】もともと俳優を目指していたわけではなく、スカウトをきっかけにレッスンや現場を経て、「俺、これ好きかもしれない」「もっとやりたいな」って思ったんです。それまではずっとサッカーが好きで打ち込んでいたんですけど、それを超えるものに出合わせていただいたと思っています。

――どんなところに魅力を感じたのでしょうか?

【森崎ウィン】ただ、レッスンをやっている段階では、これを仕事にしたいとまでは思えていなかったかもしれないです。最初の頃は「芸能人ってこんな感じなんだ」みたいな、ミーハーな気持ちもあって…(笑)。でも、現場を経て、仕事としての意識が強くなりましたし、『レディ・プレイヤー1』へ出演させていただいたことで、映画の見方も変わり「やっぱり映画っていいな」とあらためて感じました。現場でいいカットが撮れると達成感がありますし、それが皆さんに届くうれしさやおもしろさっていうのが、前よりも深く自分の中に刻まれて。ものづくりが好きなので、みんなで現場で作っている感じがすごく好きなんです。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

――『レディ・プレイヤー1』が大きな転機だったんですね。

【森崎ウィン】あと、俳優ってやりたいからといってできるお仕事でもないじゃないですか。求められてナンボっていうところもありますし、だから求められ続けられるように頑張りたいですね。それはやっぱり、自分がこの仕事を続けたいから。

――美香子は、金茶碗を盗むという“一世一代の大博打”を打ちますが、森崎さんは最近、博打を打ったような出来事はありましたか?

【森崎ウィン】写真が好きでカメラを3台持っていたんですがもう使わないだろうと思って、そのうちの2台を売ったのが最近思い切ったことですね。でも、もう1台はとっておいてもよかったかな、ってちょっと後悔してます(笑)。

撮影=八木英里奈
撮影=八木英里奈

撮影=八木英里奈

取材・文=大谷和美

(C) 2025『黄金泥棒』FILM PARTNERS.

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