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600年前の筏師(いかだし)たちが見た景色 日本で唯一、和歌山県北山村でしか味わえない「筏下り」の興奮

  • 2026.4.1
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紀伊半島の深い山々に囲まれた「秘境」和歌山県北山村。ここに、日本で唯一、そして世界にも類を見ないスリル満点の〝水上アクティビティ〟が存在します。それは、村の伝統産業を現代に伝える「観光筏(いかだ)下り」です。

杉の丸太を繋いだ全長30mの筏

かつて切り出した木材を運搬するために使われていた「筏流し」。その技術を継承しようと1979年(昭和54年)、「観光筏下り」が始まりました。筏を漕ぐのは熟練の「筏師(いかだし)」たちで、今や年間約7,000人が訪れるアクティビティに成長、北山村の代名詞となりました。

参加者は筏専用のバスに乗って、出発地点である「オトノリ」に向かいます。オトノリとは、筏下りの舞台となる「北山川」沿いにある筏流しの難所のこと。観光センターの公式HPによると、難所ゆえに家の後継ぎの『長男』は乗らせず『弟』に乗らせたことが語源といわれているそうです。

このオトノリで待っているのは、杉の丸太を組んだ「床(とこ)」を7つ繋げた、全長約30メートルに及ぶ巨大な筏の列。ライフジャケットを締め、いざ乗り込むと、筏師のみごとな櫂(かい)さばきによって、冒険の旅がスタートします。

https://emogram.sankei.com/wp-content/uploads/2026/04/Video-Project-10.mp4

動画提供©北山村

五感をフルに刺激する「予測不能」な1時間10分

「キャー!」「ヒャッホ~!」

筏は船と違い、大人も子供も関係なく歓喜の声を出してしまうそうです。丸太を組んだだけの筏は、ほかの川船に比べて横揺れが少なく、どっしりとした安定感がありますが、ひとたび激流ポイントに差し掛かれば迫力満点。

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北山村観光協会公式Xより

筏師の合図で立ち上がり、手すりをギュッと握りしめると、目前には切り立った岩肌と迫りくる水しぶき!600年の伝統と自然が生み出した、「天然のアトラクション」なのです。

歴史と伝統が交差する「林業遺産」の誇り

北山川の魅力はスリルだけではありません。流れが穏やかな「瀞場(トロ場)」では、かつての筏師たちが櫂を突くために岩に開けた穴など、歴史を感じさせる景色も広がります。

「文化×自然×体験」が三位一体となった、ここでしか味わえない感動なのです。

運航後の筏は全部一度ばらして1床づつクレーンで吊り上げてトラックに乗せて上流まで運んでます!
1乗り、(1隻)7床なのでシーズン中は1日で最大49床毎朝組み立ててそして終わったらこうやって解体します。
毎日組み立てと解体するからこそ安全点検もできています。 https://t.co/yx90YKR2FG pic.twitter.com/1jORSEmYKu

— 【公式】北山村観光協会 (@kitayamamura) March 18, 2026

待ちに待った今年の運航は、2026年5月3日(日)からスタート。「子供のころ、丸太の船で冒険したかった」…。そんな夢物語も、和歌山県北山村に行けば現実になるのです。

ライターコメント

紀伊半島には魅力的な文化遺産や大自然が数多くあり、以前から注目していたエリアですが、これほど本格的な筏下りがあるとは知りませんでした。一見スリリングなアクティビティですが、安全対策には最高レベルの基準で取り組まれています。毎年の国土交通省による検査はもちろん、ライフジャケットの点検、行政・消防・医療機関と連携した救助訓練も実施。運航中も無線による定時報告を徹底するなど、万全の体制を整えているとのことで、安心して大自然の冒険に身を任せられそうです。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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