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元野良猫・朔太郎が生きていた証を残し、うつ病のパートナーの成功体験を作りたかった【著者インタビュー】

  • 2026.3.30

【漫画】本編を読む

漫画家・叶輝(かのうあきら)さんと、うつ病により休職を繰り返していた朝待夜駆(あさまちよかけ)さん。二人のもとにたびたび足を運んでいた地域猫はある日、病気で瀕死の子猫を連れてくる。「朔太郎」と名付けられた子猫は、深刻な病気を患っていた。二人は朔太郎に寄り添いながら、日々を重ねていく……。

エッセイ漫画『スローステップ朔太郎』(叶輝:漫画、朝待夜駆:脚本/KADOKAWA)は、命と希望のリレーを描いた作品だ。2025年春に上下巻で発売された本作は、仕事の悩み、病気との向き合い方、経済的な不安など、多様な困難を抱える読者から共感を呼んでいる。

それぞれが抱える困難の中で見えてきた「支え合うこと」の新しい形とは? 実話をもとに、ユーモアと愛情で表現した本作の制作背景を、作画担当の叶輝さんと、脚本を手がけた朝待夜駆さんに伺った。

――本作品の『スローステップ朔太郎』というタイトルは、どのように決めたのでしょうか?

朝待夜駆さん(以下、朝待):叶先生が決めたんですよね。

叶輝さん(以下、叶):そうですね。少しずつ、そして確実に前進している朔太郎と朝待くん……というイメージを表現しつつ、音の響きが良いものを考えました。

――事実をもとにした作品を手がけることに、迷いや葛藤はありましたか?

朝待:特になかったですね。というよりも、漫画制作に携わることが初めてだったので、「よくわからない」というのが正直な気持ちです。ただ、朔太郎が生きた証や、うつ病を患った私の生き様のようなものを読者のみなさまに差し出すということに、意義があるのではないかなと考えていました。

叶:私は、自分のことを不特定多数の人に発信するのが苦手だから、葛藤がありました。ただ、この作品を生み出す目的には、朔太郎との思い出を残すことがまず一つ。そして、脚本を手がけた朝待くんの成功体験を作りたいという思いがありました。彼のうつ病の原因の一つには、自己肯定感の低さがあると思っていたので、まずは作品の完成が優先。私の羞恥心はとりあえず置いておこう、と。

――作画は叶先生、脚本は朝待先生が手がけていらっしゃいますが、制作の中で意見の食い違いなどはありましたか?

朝待:ないですね! 叶先生は私の師匠みたいなものなので、師匠の言うことは絶対です。

叶:え!(笑) 私は私で、朝待くんの本意ではない表現をしないように、すごく気をつけていましたよ。

取材・文=松本紋芽

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