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うつ病を患っていたときは、「褒められても心に響かなかった」。当時をパートナーと振り返る【著者インタビュー】

  • 2026.3.31

【漫画】本編を読む

漫画家・叶輝(かのうあきら)さんと、うつ病により休職を繰り返していた朝待夜駆(あさまちよかけ)さん。二人のもとにたびたび足を運んでいた地域猫はある日、病気で瀕死の子猫を連れてくる。「朔太郎」と名付けられた子猫は、深刻な病気を患っていた。二人は朔太郎に寄り添いながら、日々を重ねていく……。

エッセイ漫画『スローステップ朔太郎』(叶輝:漫画、朝待夜駆:脚本/KADOKAWA)は、命と希望のリレーを描いた作品だ。2025年春に上下巻で発売された本作は、仕事の悩み、病気との向き合い方、経済的な不安など、多様な困難を抱える読者から共感を呼んでいる。

それぞれが抱える困難の中で見えてきた「支え合うこと」の新しい形とは? 実話をもとに、ユーモアと愛情で表現した本作の制作背景を、作画担当の叶輝さんと、脚本を手がけた朝待夜駆さんに伺った。

――叶先生からは、本作品を手がける目的に「作品を完成させるという、朝待くんの成功体験を作りたかった」とお話がありました。そこには、朝待先生の“自己肯定感の低さ”にアプローチするという意図があったそうですが……。

朝待夜駆さん(以下、朝待):そうみたいですね。でも、当の私は、自己肯定感が低いということを自覚していなかったんです。当時は、隠れた持病によってうつ病になっていた。でも、最初は“発達障害”と診断されたこともあり、自分の特性は社会や世界には見合っていないんだ、みたいな諦めがあったんです。わかり合えないというか、理解されない感覚。その諦めが、叶先生的には「自己肯定感が低い」という解釈になっていたのかなと思います。

叶輝さん:朝待くんからは、「どうせ俺なんか」という言葉がたびたび出ていたんです。「こういうところが素晴らしくて、良いところいっぱいあるよ!」と言い続けても、実感が湧かない感じ。だから、言葉よりは体験かなと思って。

――褒められたり、ポジティブな言葉をもらったりしたとき、当時の朝待先生はどのように捉えていたのでしょうか?

朝待:私は、工業高等専門学校(高専)を2年留年したときにまず自己肯定感が下がりました。「失敗したよね」と周りから言われたこともあります。大学、大学院へと進んだ際は、研究室で不適応を起こしながらも卒業。就職先では、課長から「なんでできないんだ」などと強く言われることがあり、体調が悪くなる。すべてが蟻地獄のように落ちていくんですよね。

そういった強い原体験があるので、何か言葉をかけてもらっても「そんなはずない」とか、「慰められて、情けないな」と思ってしまっていました。

取材・文=松本紋芽

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