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塚本晋也監督が7年葛藤し続けた企画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』映画化 9月公開へ

  • 2026.3.29
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』場面写真 (C)Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners width=
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』場面写真 (C)Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners

塚本晋也監督の最新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』(英題『 Mr. Nelson, Did You Kill People?』)が、9月全国公開となることが決まった。併せて、場面写真1点と監督コメントが解禁となった。

【写真】真剣なまなざしの塚本晋也監督

原作は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが、自らの戦争体験と帰還後の葛藤をつづったノンフィクション。ネルソン氏はその体験をもとに日本全国で1200回以上の講演を行い、「ほんとうの戦争」を語り続けてきた人物だ。本作は、その証言をもとに、塚本監督が「戦争加害者の傷」というテーマに真正面から挑んだ作品。

キャストにはオスカー俳優ジェフリー・ラッシュをはじめ、ブロードウェイミュージカル『RENT』のオリジナル・キャストおよびクロージング・キャストを務めたロドニー・ヒックス、そのほかタチアナ・アリ、マーク・マーフィーらが集結し、ニューヨーク、タイ、ベトナム、日本と、国境を越えた異例のスケールで撮影が行われた。

主人公アレンは、ニューヨークの貧しい家庭に生まれ、差別と貧困から抜け出すため18歳で海兵隊に入隊する。沖縄のキャンプ・ハンセンを経て、1966年、映画のヒーローのように誇り高い兵士になれると信じ、彼はベトナム戦争の最前線へ送られる。だがそこで待っていたのは栄光ではなかった。村人の中にベトコンが紛れ込んでいるという理由で、老若男女すべてが疑われ、命を奪われていく。ただ人を殺すことを強いられる、恐るべき現実だった。命を奪う経験を重ねるうち、アレンの心は次第に感覚を失っていく。

23歳で帰国した彼を待っていたのは、戦場の記憶に縛られる日々だった。大きな音や暗闇におびえ、家族との関係も崩壊し、やがてホームレスへ。孤独と絶望の中で生きるアレン。そんな彼に真正面から向き合い、救い出そうとする退役軍人病院のダニエルズ医師が現れる―。

公開決定に際し、塚本監督からコメントも到着した。「『野火』を映画化するとき、さまざまな資料、書籍を読んだが、そのとき出会った何よりも恐ろしいノンフィクションが『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』だった。アレン・ネルソンさんは、ベトナム戦争で多くの人を殺した。そして戦争後遺症に生涯悩まされ続けた。自分の犯した罪とその後の人生を包み隠さず吐露した本は、いつまでも頭から離れず強烈に自分の心に刻み付けられた」と原作との出会いを回顧。しかし、完成までの7年間で、この映画を作りたいという気持ちと、戦争の恐ろしさや人間の暗部から目を背けたいという気持ちの間で葛藤し続けたという。その上で、生涯をかけて戦争体験を語り続けたネルソン氏の物語は、「あちこちで戦火をあげている今の世界」にこそ、絶対に必要な物語だとしている。

映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、9月全国公開。

※塚本晋也監督コメント全文は以下の通り。

■塚本晋也監督 コメント全文

大岡昇平さんの「野火」を映画化するとき、さまざまな資料、書籍を読んだが、そのとき出会った何よりも恐ろしいノンフィクションが『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』だった。アレン・ネルソンさんは、ベトナム戦争で多くの人を殺した。そして戦争後遺症に生涯悩まされ続けた。自分の犯した罪とその後の人生を包み隠さず吐露した本は、いつまでも頭から離れず強烈に自分の心に刻み付けられた。
これがもし映画になったら? と想像すると、今の世の中に絶対必要なことに思えた。戦争がどういうものか。戦争が人をどう変えるか。周囲の人にどういう影響を与えるか。
同時に、そんな恐ろしい考えは持たないようにしよう、と逃げる理由も考えた。
映画化はあまりに難しく、逃げる理由はいくらでも並べることができた。
その物語に近づこうとするたび、人間の暗部がいやというほど浮き彫りになり、苦痛を感じた。しかし、体は、この企画の実現のためにとどまることを忘れ休みなく動き続けた。果たして映画化は困難を極め、作らなければ、でも逃げたい、というせめぎ合う気持ちは7年もの間完成に到るまで続いた。
あちこちで戦火をあげている今の世界。それをますます身近に感じるようになった。これは、アレン・ネルソンというアフリカ系アメリカ人の一人の兵士を描いた真実の物語だ。
今は亡くなってしまったアレンさんを蘇らせ、人々に知ってもらうことが今の世の中にどうしても必要、という考えを捨て去ることができずに、多くの人たちの理解と協力を得て完全なものとして出来上がった。
彼の生きる姿が、皆さんの心に届くことを心から願っています。

塚本晋也

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