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熊野古道で悠久の時を歩く歴史トリップ!自然と神話が根付く熊野市で思いを馳せる旅へ

  • 2026.3.28

ビッグシティ・名古屋から特急に乗り込み約3時間30分。街を越え、森を越え、山を越え……ようやくたどり着いた今回の旅の舞台の熊野市。三重県の南部に位置し、和歌山県と隣接する“秘境”といっても過言ではない場所にやってきた。熊野市を含む東紀州エリアは、かの有名な世界遺産「熊野古道」にまつわる歴史スポットが点在していると、長い移動時間中に調べて分かった。歴史・神社・絶景……気になるところがいっぱいある。数時間ぶりの一服を終えて、さあ出発!

歴史と自然が交差する熊野古道の旅へ

伊勢路とは伊勢神宮から熊野三山を目指す熊野古道の一つのルート。庶民の旅行が流行した江戸時代には“伊勢へ七度、熊野へ三度”といわれるほどに、多くの人々が足を踏み入れたとされたのだそう。かつての巡礼者たちに倣って、まずは参詣体験をしてみよう。ってことで、語り部さんとともに国道311号線沿いにある『松本峠入口』からいざ入山。

鬱蒼と生い茂る木々から差す木漏れ日は熊野古道の魅力の一つ

“天界の道”とも呼ばれる熊野古道。苔むした石畳みを進むことわずか数分でどんどんと神秘的な雰囲気に。ついさっきまでの日常が遠いもののような感覚になっていくのを感じる。

約1時間、竹林に囲まれた松本峠に到着。ここは伊勢路の目的地の一つ・熊野速玉大社(新宮)へ向かう際の最後の峠で、少し離れた東屋からは約22kmを誇る『七里御浜』を一望できる絶景スポット。

伊勢からこの地点は約120kmほど、電車はおろか、整備の進んでいない道もない時代。長く険しい道を歩いてきたかつての参詣者はこの景色を見て何を想ったのだろう? ふと、そんな過去の人々の心情を想像してしまう。

次は『鬼ヶ城・千畳敷』へ。かつて、鬼と恐れられていた海賊・多娥丸(たがまる)が根城としていたという伝承から名前がとられた景勝地で、国の名勝・天然記念物に指定されるほか、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されている。

地震による隆起や風化と波の浸食によって造り出された荒々しい見た目の岩壁は迫力満点。沿岸にあるということもあって、目の前に広がる大海原もまたすごい。まるでRPGの終盤ステージみたいな、現実離れした景色に少年心がウズウズ……。

旅の合間にめはり寿司体験

めはり寿司は、山仕事の携行食として親しまれ、いまでは熊野古道散策の定番弁当としておなじみの紀州の郷土料理。次のスポットに向かう前に、『熊野古道おもてなし館』でめはり寿司の手作り体験をしにちょっと寄り道。

熊野観光公社 めはり寿司つくり体験:1,200円

めはり寿司の具材は白飯、高菜、梅(これは地域や店によって違う)という超シンプルな構成。広げた高菜の上にご飯を置き、あとはロールキャベツのようにくるりと巻けば完成。

高菜が破れないように、ほどよく張りながら巻くのがキレイに仕上げるコツ。塩味の効いた高菜がちょうどいい塩梅でおいしい! 自然のなかで頬張ればもっとおいしく感じられそう。

川の参詣道を舟旅で追体験

参詣体験を締めくくるために向かったのは、熊野市から少し離れた熊野川沿いの紀宝町にある『熊野川体感塾』。三つの帆を掲げた川舟「三反帆(さんだんぼ)」に乗船できる施設で、エメラルドグリーンの川に、独特なフォルムの舟が浮かぶ写真を目にして以来、ぜひ一度体験してみたいと思っていた。

熊野川は、熊野本宮大社への参拝を終えた上皇たちが舟で移動した「川の参詣道」として知られる由緒ある川。江戸時代以降は生活物資を運ぶ水上交通としても栄え、多くの三反帆が行き交っていたという。近代化の波で一度は途絶えたその文化を、舟大工の谷上嘉一さんが再興し、いまは体験を通してその歴史と魅力を伝えている。

風をしっかりと受けながらも、舟は静かに、ゆったりと川を進んでいく。川では熊野速玉大社で1,000年以上続く神事の舞台「御船島」や、2024年に開通した橋を眺めつつ、川辺では野生動物の姿がちらほら。時代は変わっても、熊野川が昔も今もこの地域の中心であり続けていることをしみじみと感じられる。

神の宿る巨岩が佇む日本最古の神社

旅もいよいよ大詰め。熊野古道を体験していたら、もっと深くこの地域の歴史に触れたくなって、“日本最古の神社”とも伝わる古刹『花の窟(はなのいわや)神社』にやってきた。日本最古の歴史書『日本書紀』では、伊弉冉尊(イザナミノミコト)が葬られたとされている場所で、イザナミが命を賭して産んだ軻遇突智尊(カグツチノミコト)の2柱が宿る巨岩(磐座)をご神体としている。

大綱に下げられた旗綱には、月読命、素戔嗚尊、天照大御神が宿っている

ご神体だけでなく例大祭もとってもユニークで、目玉の「御綱掛け神事」は、巨岩の上から海に向かって伸ばされた約170mの大綱を氏子や参列者が力を合わせて引き下ろすダイナミックな神事。古来から続く熊野市の一大伝統行事で、全国から参加者が集まってくるのだとか。

自然物をご神体としているだけでなく、来るもの拒まずでフレンドリーなスタンスも熊野地方の神社らしくてとっても素敵。もちろん神聖な雰囲気はあるけれど、おだやかな温かい空気が流れる居心地のいい場所だった。

歴史と自然が紡ぐ悠久の記憶

夕焼けに染まる七里御浜

今回の旅の最中、参詣者をはじめとする過去の人々の存在に、幾度となく思いを馳せる瞬間があった。それは、ただ名所を巡っていたのではなく、古来より紡がれてきた歴史の延長線上に、自分自身が立っていると実感できたからだと思う。

自然と人の営みが幾重にも重なってきた熊野市だからこそ味わえる、この「時間を旅するような感覚」こそが、歴史トリップの醍醐味。歴史に触れる旅の面白さを求めるなら、ぜひ一度、熊野市を訪れてみて。

松本峠道

三重県熊野市木本町

鬼ヶ城

三重県熊野市木本町1835-7

熊野古道おもてなし館(熊野市観光公社)

三重県熊野市木本町204

電話:0597-70-1231

営業時間:9:30~16:30

休館日:月曜日及び第2・第4木曜日、年末年始

熊野川体感塾

三重県南牟婁郡紀宝町北檜杖203

電話:0735-21-0314

受付:9:00~17:00

川舟運行日:3月~12月中旬(予約制)

料金:大人 5,000円/子ども 4,000円(小学生以下)

※1名利用の場合は10,000円

花の窟神社

三重県熊野市有馬町130

電話:0597-89-0100 (熊野市観光協会)

[photo tsuchida]

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