1. トップ
  2. 見上愛&上坂樹里、「看護」という使命への尊敬がさらに深まった<新・朝ドラ『風、薫る』インタビュー>

見上愛&上坂樹里、「看護」という使命への尊敬がさらに深まった<新・朝ドラ『風、薫る』インタビュー>

  • 2026.3.28
(左から)見上愛、上坂樹里 クランクイン! 写真:高野広美 width=
(左から)見上愛、上坂樹里 クランクイン! 写真:高野広美

3月30日より放送開始となる連続テレビ小説『風、薫る』(NHK総合ほか)は、文明開化が急速に進む明治時代を舞台に繰り広げられる、ちょっと型破りな2人のナースの冒険物語。当時まだ広く知られていなかった看護の世界に飛び込んだ2人の女性が、傷ついた人々のために奔走し、時に戦いながら、激動の時代に新たな風を起こしていく。主人公の2人を演じるのは、見上愛(一ノ瀬りん役)と上坂樹里(大家直美役)。物語の中心を担う彼女たちに、役と向き合う中で感じている葛藤や成長、そしてバディとしての関係性について話を聞いた。

【写真】見上愛&上坂樹里のソロショットも満載! 撮り下ろしフォト(9枚)

■「看護」という使命への尊敬がさらに深まった

――元家老の家に長女として生まれた一ノ瀬りんと、生まれてすぐ親に捨てられ、牧師のもとで育った大家直美。対照的な2人を演じるうえで、心掛けていることは?

見上:私が演じる一ノ瀬りんは、とても真っすぐで優しくて、それでいて少し迂闊なところもある、とても愛らしい女性です。彼女の持つ強さと弱さのバランスを丁寧に演じていきたいと思いながら、日々撮影に挑んでいます。

上坂:私の演じる直美は、人間味にあふれていて、生きることに貪欲。プライドを捨ててでも何でもやってやるという強さを持ったかっこいい女性だと思っています。育ってきた環境が所作や姿勢に出るので、最近は所作指導の先生から座り方ひとつにしても「直美ならもっと雑でいいんじゃない?」というアドバイスが入ることも。それによって、役の深みが増しているような気がしています。

――本作は「看護」をテーマにした物語。看護服を着ての撮影はいかがですか?

見上:『ばけばけ』からのバトンタッチセレモニーで着ていたのは看護見習い生の制服で、ポスターで着用しているのが看護婦になってからの制服です。明治時代、りんと直美が生きていた時代はお着物を着て日本髪にするのが普通な中、外国の先生の意見を取り入れて、そのような服装・髪型になりました。髪型を変えるシーンは衝撃的で、厳しい家庭で育ってきた子もいる中、急に西洋の価値観を取り入れて、「これから看護の世界で生きていくぞ」と気合の入るシーンだったので、色濃く覚えていますね。

上坂:それまではお着物を着ての撮影だったので、モニターに映る画がガラリと変わり、世界が変わったなと思いました。明治時代、社会が大きく変わっていく中で、看護の道を切り拓いていく意味でも大きなことだったと思います。

――看護という仕事に対する印象は、本作への出演を通してどのように変わりましたか?

見上:撮影に入る前から、今まで自分がお世話になった看護関係者の方々を思い出し、とてもリスペクトしていました。自分がその立場を演じるようになって、より一層その思いが強くなっています。

最初にシーツの敷き方や包帯の巻き方を練習したのですが、とても難しくて。少し敷き方や巻き方が違うだけで、患者さんは痒みや違和感を覚えてしまうそうなんです。それを知って、より尊敬の念が高まりました。人の命を扱う仕事なので、私たちが想像つかないくらいのご苦労もあると思います。「何が看護として正しいのだろう?」と正解がわからなくなる瞬間もあるんじゃないかと想像しています。りんと直美も、その問いを持ち続けながら看護の道を歩んでいくので、時代が変わっても共通している部分があるのではないかと思いました。

上坂:撮影に入る前から稽古していましたが、どれだけ練習しても難しかったです。自分が今までどれだけ恵まれた環境にいたのかを実感しました。看護師さんを含め医療従事者の皆さんに、さらに敬意を持ちました。

■人生を長く演じることの難しさ 見上愛「特に意識」、上坂樹里「悩み続けています」

――先日の試写会で「自分自身でいるよりも役としている時間の方が長い」とお話されていたのが印象的でした。ひとりの人物の人生を長い時間かけて演じることについて、どのように感じていますか?

見上:大河ドラマ『光る君へ』(2024年)で演じた藤原彰子が、登場当時11歳でした。その時の私は23歳で(笑)。登場時に11歳だった彰子が成長し、子供を産んで、母になる姿を演じた時に、ひとりの人生を長く演じる難しさを体感しました。その成長過程を順番に撮っていけないこともあるので、その中で演じる人物を組み立てていくのはとても難しかったです。

今作では、まだ大きな年齢の変化がある部分は演じていないのですが、人はすぐに大きく成長することはないと思っています。出会いや出来事を積み重ねて新しい価値観を身につけていくと思うので、それに伴う成長や変化を、自然の流れに沿った形で見せていけたらいいなと。その部分は特に意識して、悩みながら撮影しています。

上坂:私はこんな長い期間をかけて同じ役を演じるのは初めてで、ずっと悩み続けています。先日の撮影で「時間が経っているから、直美はこれくらいになっているかな?」と思って演じた部分が、監督や所作の先生に「あまりにも肝が座りすぎているから、押さえて」と言われて(笑)。そのバランスがとても難しくて、改めて第一週の台本を読んで初心に戻ってみたり。その初心を大事にしながら、今後も丁寧に演じていきたいと思っています。

――脚本の吉澤智子さんは「バディものをやりたかった」と話していますが、見上さんと上坂さんから見て、りんと直美はどんなバディだと感じていますか?

見上:りんと直美はよくバディになれたなと思うくらい、何もかもが違っていて。生まれや育ちでいろんなことが決まってしまった時代だからこそ、お互いの環境・価値観を知らないので、「自分こそが正しい」と思って最初はぶつかり合うことが多いんです。

そのぶつかり合いの中で、お互いが大切にしているものを知り、なぜこんな考えになるのかを理解し合っていくんです。でも、決して寄り添い合うだけではなくて、時に、遠くから見守るようなことをするんですよね。……もう少しわかりやすく「こんなバディです」と説明したいのですが、難しい(笑)。

上坂:あまりにもタイプが違う2人なのですが、タイプが違うからこそ通じるものもあると思います。直美は他人と関わる際に表情を作って接する子で、なかなか素を見せないガードが堅いタイプなんですが、りんはそんな直美の奥にある素の部分を掻き立ててくれる強い存在で。私も「こんなバディです」とうまくまとめられなくて申し訳ないのですが(笑)、それはドラマを見てくださった方に感じてほしいです。

■考え方も価値観も異なるりんと直美、2人を演じる見上愛と上坂樹里の距離感

――今回が初共演ということですが、お互いの第一印象はいかがでしたか?

見上:初めて会ったのは、樹里ちゃんが直美役に決定したという発表会見の時です。あまりにも透明感がありすぎて、真っ白というか、何にも染まっていない感じがしました。この樹里ちゃんが直美の色になっていくのを隣で見られるのはすごく幸せなことだろうなと思いましたし、柔らかい雰囲気の中にしっかり芯の強さも感じて、それが直美に通ずるところになっていくのではないかとも思いました。

上坂:その、初対面時のことを思い出そうとするのですが、私は緊張しすぎていて……会見の日の記憶があまりありません(笑)。見上さんは良い意味で肩の力を抜かれていて、隣にいてくれるだけでとても心強い存在です。周りのことをよく見ていて、優しくて、それでいて「ついていきたい!」と思わせられるような逞しさも持っている方。まだ半年ほど撮影は続きますが、りんと直美として一緒に過ごせることが本当に幸せです。

――ダブル主演ということで、仲を深めるために何かしたことはありますか?

見上:撮影で一緒にいる時間がとにかく長いので、特別なことをして仲を深めなくても、顔を見るだけで何となく考えていることがわかるようになってきました。看護稽古中に話す時間も多くて、最初に「無理をせずに関係を作っていけたらいいね」と話したこともあって、お互い無理なく心地いい速度で、どんどん距離が縮まっているような気がします。

上坂:撮影中に「動きが難しいな」と思うシーンがあったのですが、見上さんから監督に「ここはこうした方が動きやすくなると思います」と提案してくださったり、それ以外の場面でもサラッと助け船を出してくださるんです。私は今のところ頼れる部分がまったくないので、残り半年の撮影の中で少しでも力になれることがあればいいなと思っています。

見上:いやいや! それで言うと、私がどのタイミングでセリフを発したらいいか悩むシーンがあったのですが、その時に樹里ちゃんが監督に「私こういう風にもできます」と言ってパターンを増やしてくれて。私が20歳の頃はそんなこと思いつかなかったし、思いついたとしてもちゃんと言語化して伝えるなんてできませんでした。樹里ちゃんは気づいていないかもしれないけど、私は何度も救われています。

――平日毎朝15分間放送される「連続テレビ小説」ですが、おふたりはこの“朝ドラ”という枠にどんな思いを持っていますか? また、この作品をどんな方に届けたいですか?

見上:朝の時間はとても大事だと思っていて、どう過ごすかによって、その1日が変わってくると思うんです。そんな大切な時間の15分間を使って「『風、薫る』を見よう」と選択してくださった方たちを元気づけるだけでなく、何か心に残り、忘れがたい瞬間を、半年の中で1つでも作れたらいいなと思っています。

上坂:私は小さい頃から連続テレビ小説が、日常の一部になっていたんです。そんな時間を届ける側になったというのは、本当に光栄です。15分という短い時間ですが、どの世代の方にも楽しんでいただける物語になっているので、仕事や学校に向かう中で少しでも背中を押したり、温かく優しい風を届けられたら幸せです。

(取材・文:米田果織 写真:高野広美)

連続テレビ小説『風、薫る』は、NHK総合ほかにて3月30日より放送。

元記事で読む
の記事をもっとみる