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服を選びに来た母娘、試着を重ねるたびに険悪に…娘「もういいよ、いらない」→板挟みになった店員が“とった行動”とは

  • 2026.4.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元アパレル店員のさやかです。

売り場に立っていると、「誰が、どんな気持ちでその一着を選ぶのか」に触れる場面がたくさんあります。

今回は、お子さんの卒業式用の服を探しに来られた親子の接客で、販売員として立ち位置に困ってしまったエピソードです。

ふたりの好みが正反対

その日売り場に来られたのは、小学校の卒業を控えた娘さんとお母様。

卒業式で着る服を探しているとのことで、セレモニー向けの売り場を一緒に見ながらご案内していました。

お母様は「せっかくのハレの日なのだから、少し華やかで特別感のある服を着せてあげたい」というお気持ちが強いようでした。

フリルのついたブラウスや、リボンがアクセントになったジャケット、可愛らしいスカートなどを手に取りながら、「こういうのが卒業式っぽくていいんじゃない?」と娘さんに勧めます。

その提案に娘さんは、「もっとシンプルなのがいい」「目立つのは好きじゃない」と好みではないことを伝えていました。

最初はお母様も「でも卒業式だし、せっかくだから少しくらい華やかなほうがいいよ」と説得していらっしゃいましたが、試着を重ねるたびに、おふたりの好みの違いがはっきり見えてきました。

お母様が「すごく可愛い」と言う服ほど、娘さんは鏡の前で納得しない表情をする。

娘さんが「これなら着たい」と言ったシンプルなデザインには、お母様が少し物足りなさそうな反応を見せる。

そんなやり取りが何度か続き、娘さんはついに「もういいよ、いらない」と怒ってしまったのです。

卒業式は誰が主役なのか

こういうとき、店員としては本当に難しさを感じます。

お金を出すのは親御さんですし、写真にも残る大切な節目の日なので、親御さんにもご希望があるのはよく分かります。

お母様には「娘の晴れ姿を少しでも可愛く、思い出深いものにしたい」という気持ちがあったのだと思いますが、

周囲からどう見えるかと同じくらい、本人が安心して着られるか、気後れせずに過ごせるかどうかも大切だと感じました。

特に小学校高学年くらいになると、自分の好みや感覚もはっきりしてきます。

大人から見れば少し地味に感じる服でも、本人には「自分らしくいられる一着」なのかもしれません。

店員として板挟みになった瞬間

私は、お母様の気持ちも否定せず、娘さんの希望も大切にしながら提案できるよう意識しました。

どちらか一方の味方をするように見えると、その場の空気がさらに悪くなるからです。

そこで、娘さんが選んだシンプルな服をベースにしつつ、上品さや特別感の出る小物を合わせてご提案しました。

これなら卒業式らしさもありつつ、ご本人も着やすいかもしれませんね」とお声がけすると、お母様も娘さんも少し安心した様子だったのを覚えています。

最終的には、娘さんの希望に沿った落ち着いたシンプルな服に決まりました。

そこでようやく、娘さんの表情が明るくなったのが印象に残っています。

その一方で、お母様は納得されていたものの、どこか少し名残惜しそうでした。

本当は、特別感のある一着を着せてあげたかったのだと思います。

本人が納得できることがいちばん大切

この接客を通して改めて感じたのは、ハレの日の服選びにおいてこそ、周囲の理想よりも実際に着る本人が納得できるかが大切だということです。

どれだけ華やかで写真映えする服でも、本人が落ち着かないまま一日を過ごすのでは、その服が本当に正解だとは言い切れません。

反対に、自分で選んだ服なら、その日の思い出もきっと前向きなものになるはずです。

もちろん、ご家族の思いやイベントらしさも大切です。

ですが最後は、着る本人の気持ちにきちんと寄り添うことが何より大事なのだと、この親子のやり取りから強く感じました。

皆さんも、ご自身のハレの日の服選びでご家族と意見が分かれたり、お子さんの服選びで悩んだりした経験はありませんか? そんな時はぜひ、“着る本人が一番安心できるか”を思い出してみてくださいね。


文:さやか/ライター
ファッション関係の仕事に就き10年。店頭でのお客様対応や商品提案を通して得た気づきをもとに、接客や装いにまつわる体験談を執筆している。日常に寄り添うファッションの話題が得意。


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