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「とにかく減塩」は間違いだった。実は『血圧対策』のつもりが逆効果に…管理栄養士が明かす、“思わぬ落とし穴”とは?

  • 2026.4.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「血圧が気になるから減塩を」と、日々の食事で塩分を控えている方は多いでしょう。しかし、塩分だけを意識しすぎると、かえって食事全体のバランスが崩れてしまうことがあるのをご存知ですか?

せっかくの努力が、調理の工夫や調味料の選び方によって逆効果になっている可能性も。今回は、減塩のつもりが栄養を逃してしまったり、塩分を摂りすぎてしまったりする落とし穴を紐解き、無理なく続けられる正しい血圧対策の考え方について、専門家の見解を伺いました。

「とにかく減塩」は間違い? 血圧対策で知っておくべき「ミネラルバランス」の重要性

---血圧対策といえば「減塩」が基本とされていますが、なぜ塩分を控えるだけでは不十分なのでしょうか?

工藤まりえさん:

「血圧対策というと『とにかく減塩』が注目されがちですが、実際には塩分だけに意識が偏ることで、かえって食事全体のバランスが崩れてしまうことも少なくありません。

日本高血圧学会では、1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。加えて、野菜や果物の摂取を増やし、カリウムなどのミネラルをしっかり確保することも重要性を示しています。つまり血圧管理は、食塩や醤油などの調味料に多く含まれるナトリウムを減らすだけでなく、ミネラルバランス全体で捉えることが大切です。

その中で見落とされやすいのが、『減塩のつもりで塩分をとってしまっている』ケースです。減塩の工夫として、香りやだしを活用し、調味料の使用量を減らす方法はよく知られていますが、市販のだしには食塩が添加されているものも少なくありません。そのため、醤油や味噌を控えていても、だし由来の塩分が加わることで、結果的に食塩摂取量があまり変わっていないこともあります。

次に注意したいのが、野菜を水にさらしすぎたり、茹で過ぎたりすることで、カリウムなどのミネラルが流出してしまうケースです。洗浄やアク抜きのために長時間水に漬けたり、やわらかくするために加熱しすぎたりすると、カリウムや水溶性ビタミンは失われやすくなります。本来、血圧の調整に役立つはずの栄養素が十分に摂れなくなることで、期待される血圧低下作用が発揮されにくくなってしまいます。

つまり血圧対策のための『減塩の工夫』をしているつもりが、意図せず塩分を摂取してしまっていたり、せっかくの栄養素を水に流して捨ててしまったりすることが問題です。血圧対策は単一の栄養素だけで考えるのではなく、食事全体の組み合わせとして整えていくことが重要です。」

逆効果になっていない?「減塩のつもり」が招く思わぬ落とし穴

---よかれと思って取り入れている減塩の工夫が、かえって逆効果になることもあるのでしょうか?

工藤まりえさん:

「血圧対策の基本となる調理の考え方は、決して難しいものではありません。塩分を控えつつ、だしや香り、うま味を活かして満足感を高めること、そして野菜をしっかり取り入れてミネラルバランスを整えることが、いわば“正攻法”です。

ただし、こうした工夫も、解釈の仕方や取り入れ方によっては、思わぬかたちで逆効果につながってしまうことがあります。

まず挙げられるのが、酸味や辛味に頼りすぎてしまうケースです。酢や香辛料は減塩をサポートする有効な手段ですが、効かせすぎると味のバランスが偏り、満足感が得にくくなることがあります。その結果、別の食事で濃い味付けを求めてしまい、トータルの塩分摂取量が増えてしまうこともあります。

次に、野菜的の扱い方によって栄養価を下げてしまうケースです。野菜を長時間水にさらしたり、茹で過ぎたりすると、カリウムなどのミネラルが流出しやすくなります。血圧対策として野菜を意識していても、調理の仕方によっては、そのメリットを十分に活かせていない可能性があります。

さらに、減塩調味料だからと安心して使いすぎてしまうケースも見られます。減塩しょうゆや減塩みそはナトリウム量が抑えられているものの、使う量が増えれば、結果として摂取する塩分量はあまり変わらないこともあります。正しい選択であっても、『使い方』によって効果が左右される点は見落とされがちです。

加えて、減塩タイプの調味料や加工食品を重ねて使うことで、合計の塩分が多くなってしまうケースもあります。これらはあくまで一般的な製品より塩分が控えめという位置づけであり、無制限に使えるわけではありません。下味や仕上げに重ねて使うことで、気づかないうちに塩分が積み重なってしまうこともあります。

このように、血圧対策における調理の工夫は、『正しい方法を選ぶこと』に加えて、『適切な範囲で使うこと』が大切です。少しの行き過ぎや思い込みが、結果として逆効果につながることもあるため、全体のバランスを意識しながら取り入れていくことが重要です。」

無理なく続けられる!血圧対策のための「調理の工夫」とは

---では、血圧対策を無理なく継続し、成果につなげるためには、どのような工夫が効果的ですか?

工藤まりえさん:

「血圧対策としての減塩というと、『我慢』や『制限』といったイメージを持たれがちですが、日々の調理の中で少し工夫するだけでも、無理なく整えていくことができます。

減塩の工夫には、『ラーメンのスープを飲まない』『醤油はかけずにつける』といった『食べ方の工夫』もありますが、ここではあくまで『調理の工夫』に焦点を当ててご紹介します。

味付けの基本は薄味ですが、満足感を保つためには、うま味を上手に活用することがポイントです。昆布やかつお節、きのこ類などを取り入れることで、塩分に頼らなくても味の満足感を高めることができます。市販のだしを使う場合は、食塩の有無を確認することも意識したい点です。また、減塩調味料を使う際も、『量は変えない』ことを心がけることで、塩分のコントロールにつながります。

次に、カリウムなどのミネラルを多く含む野菜は、調理方法にもひと工夫が大切です。長時間茹でるのではなく、蒸す、電子レンジを活用する、短時間でさっと加熱するといった方法を選ぶことで、ミネラルの流出を抑えることができます。こうした工夫を日常的に取り入れることで、無理なく栄養バランスを整えやすくなります。

加えて、味の組み立て方を工夫することも大切です。単に塩分を減らすのではなく、香りや酸味、食感の違いを組み合わせることで、薄味でも満足しやすくなります。例えば、ネギや大葉などの香味野菜やスパイス、生姜やわさびを適度に取り入れたり、仕上げに柑橘の香りを添えたりすることで、自然と味に奥行きが生まれます。

血圧対策は、『何かを極端に制限すること』ではなく、『無理なく続けられる形で整えていくこと』が大切です。調理の段階でできる小さな工夫を積み重ねることが、結果として安定した血圧コントロールにつながっていきます。」

小さな工夫の積み重ねが、健やかな毎日をつくる

血圧対策=我慢というイメージが強いですが、実際には「調理の工夫」一つで、食事の満足度を保ちながら健康を整えることができます。大切なのは、調味料を減塩タイプに変えるだけではなく、素材の扱い方や味の組み立て方まで目を向けること。

今日からでも、野菜の加熱方法を変えたり、うま味を活かした調理を取り入れたりすることから始めてみませんか。毎日の小さな選択の積み重ねが、将来の健康を守る確かな一歩につながります。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。

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