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「かえってダイエットを妨げる」管理栄養士が指摘。実は『油=NG』は間違いだった…痩せるための“正しい脂質の摂り方”とは?

  • 2026.4.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「ダイエット中はとにかく油を抜こう」と、ノンオイルのドレッシングを選んだり、脂身の少ない肉ばかりを食べたりしていませんか?「ノンオイル=ヘルシー」「油=NG」というイメージは根強く、多くのダイエッターが一度は実践する方法かもしれません。

しかし、こうした極端な制限が、かえってダイエットの停滞を招いている可能性があるとしたらどうでしょう。なぜノンオイル食品がダイエットの妨げになることがあるのか、そして本当に必要な脂質との付き合い方とはどのようなものなのか。管理栄養士の工藤まりえさんに、その真意を伺いました。

ノンオイル食品でダイエットが停滞する?意外な落とし穴とは

---「ノンオイル」と書かれた食品を選んでいるのに、なかなか体重が落ちなかったり、食欲が抑えられなかったりするのはなぜでしょうか?

工藤まりえさん:

「ノンオイル食品そのものが、直接的に体脂肪や体重の増加を招くわけではありません。しかし、食事全体のバランスや満足感に影響を与えることで、結果的にダイエットを妨げてしまうケースがあります。

例えば、『ノンオイル』と表示された調味料や加工食品の中には、脂質を抑えた分、味やコクを補うために糖質や塩分が多く使われているものも少なくありません。その結果、気づかないうちに糖質の摂取量が増えたり、全体の摂取エネルギーが過剰になったりする可能性があります。

さらに、ノンオイルドレッシングといった調味料にとどまらず、肉や魚についても脂質の少ない部位ばかりを選ぶなど、食事全体で脂質を極端に制限してしまうと、身体に必要な脂質が不足しやすくなります。

脂質は単なるエネルギー源ではなく、細胞膜の構成やホルモンの材料としても重要な役割を担っています。特に、体内で合成することができない必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)が不足すると、皮膚の乾燥や肌荒れといったトラブルが起こりやすくなるほか、炎症の調整機能や体調の回復力にも影響を及ぼすことがあります。

また、脂質を極端に控えることで食後の満足感が得られにくくなり、結果として間食や食べ過ぎにつながるケースも見られます。こうした状態では、短期的には体重が落ちたとしても、食欲の乱れや栄養バランスの偏りによって、かえってリバウンドや停滞を招きやすくなる点にも注意が必要です。」

なぜ「脂質」を抜いてはいけないのか?身体への影響

---脂質はダイエットの敵のように思われがちですが、不足すると体にどのような影響が出るのでしょうか?

工藤まりえさん:

「脂質はダイエットにおいて嫌われがちですが、エネルギー源として欠かせないだけでなく、身体の機能を維持するうえでとても重要な栄養素です。

特に、脂溶性ビタミンである、ビタミンA・D・E・Kの吸収には脂質が必要不可欠です。極端に脂質を制限した食事が続くと、これらの栄養素の吸収効率が低下する可能性があります。

例えば、ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持、ビタミンDは骨や免疫機能、ビタミンEは抗酸化作用など、それぞれが重要な役割を担っています。脂質が不足した状態では、これらのビタミンを十分に摂取しているつもりでも、体内でうまく活用されないことがあります。

また、脂質の中でも体内で合成できない必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)は、食品から摂取しなければいけません。これらは、細胞膜の構成やホルモンバランスの調整、炎症のコントロールなどに関与しています。ノンオイル食品に偏るだけでなく、肉や魚の脂質まで避ける食生活が続くと、これらの必須脂肪酸が不足し、皮膚トラブルや体調不良、回復力の低下などにつながる可能性があります。

さらに、脂質は食後の満足感を高める役割もあるため、不足することで食事の満足度が下がり、結果として間食の増加や食事量のコントロールが難しくなることも考えられます。

ただし、『ノンオイル食品を選ぶこと=すぐに代謝が低下する』というわけではありません。問題となるのは、脂質を極端に制限した偏った食生活が長期間続く場合です。特定の栄養素に偏るのではなく、食事全体のバランスを意識することが、健康的なダイエットには欠かせません。」

「何を抜くか」よりも「どう選ぶか」。正しい脂質との付き合い方

---ダイエット中に脂質を摂る際、どのような選び方をすればよいのでしょうか?

工藤まりえさん:

「ノンオイル食品は上手に取り入れれば便利な選択肢の一つですが、極端に頼りすぎることは、かえって栄養バランスの偏りにつながる可能性があります。

こうした『ノンオイル=ヘルシー』『油=NG』といった情報が広まりやすい背景には、シンプルで分かりやすく、すぐに実践できそうに見えるという側面があります。しかし実際の食事管理は、単一の栄養素だけで判断できるほど単純なものではありません。

例えば、同じ“脂質”でも、オリーブオイルやナッツ、青魚(サバやイワシなど)に含まれる脂のように、日常的に適量取り入れたいものがあります。これらは必須脂肪酸を含み、身体の機能維持にも役立つ『質のよい脂質』です。また、アボカドやごま、えごま油、亜麻仁油なども、意識して取り入れたい食品の一例です。

一方で、揚げ物やスナック菓子、脂身の多い肉類、加工食品に含まれる油脂、マーガリンなどは、量や頻度に注意したい脂質といえます。これらを完全に避ける必要はありませんが、日常的に多くなりすぎないよう意識することが大切です。

このように『脂質を抜くかどうか』ではなく、『どの脂質を、どれくらい取り入れるか』という視点で選ぶことが重要です。

大切なのは、“何を抜くか”ではなく、“全体としてどう整えるか”という考え方です。極端に制限するのではなく、脂質も含めてバランスよく取り入れることが、無理なく続けられるダイエット、そして健康的な食生活につながります。」

脂質は「味方」にできる。バランスのよい食生活で無理のないダイエットを

今回の取材を通じて見えてきたのは、脂質を「悪」と決めつけて避けることの危うさでした。ノンオイル食品の活用は一つの手段ですが、脂質は身体の機能を維持し、健康を保つために欠かせない大切な栄養素です。

大切なのは、特定の栄養素を極端にカットするのではなく、青魚や良質な植物油など、身体が喜ぶ脂質を賢く選ぶこと。そして、食事全体のバランスを整える視点を持つことです。明日からの食事では、「油を抜く」ことではなく、「質のよい油を適量摂る」ことを意識してみてはいかがでしょうか。そうした一歩が、リバウンドしにくい、健康的な体づくりへの近道となるはずです。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。

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