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「コレステロールが高い」健診で指摘されるも放置→数年後、激しい胸の痛みに襲われ…50代女性に言い渡された“残酷な結末”

  • 2026.4.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「ずっと痩せ型だし、脂っこい食事も控えている。コレステロールが少し高くても大丈夫だろう」

50代の女性Eさんは、春の健診結果で悪玉(LDL)コレステロールが高いと指摘されました。恰幅の良い友人に相談していたら、「何を言っているの、そんなに痩せているんだから大丈夫よ」と笑い飛ばされ、納得してしまっていました。

数年後、Eさんは買い物の途中に激しい胸の痛みに襲われ、救急搬送されました。診断は「急性心筋梗塞」でした。一命は取り留めたものの、現在は再発の恐怖に怯え、一生薬と付き合うことに後悔を募らせています。

皆様こんにちは。日々手術室で多くの心血管疾患の患者さんと向き合う麻酔科専門医の松岡です。今回は、閉経後の女性に訪れる「見えない血管リスク」について解説します。

「メタボは男性の病気」という誤解と、女性ホルモンがもつ本来の役割

実は、女性のコレステロール上昇は、食事や体型よりも「閉経」と深く結びついています。

女性ホルモン(エストロゲン)は血中のコレステロールを低く抑える働きをしています。この働きは、妊娠や出産という「血管に猛烈な負担がかかる大仕事」に備えて、血管をしなやかで健康な状態に保つためのものです。

女性ホルモンは、血中に無駄な脂が漂って血管を傷つけないよう、常日頃から肝臓でのコレステロール合成にブレーキをかけ、余分な脂は速やかに回収する「血管の守護神」として働いているのです。

【閉経が心筋梗塞を招くフロー】
・女性の体は妊娠・出産に備え、女性ホルモンが血中のコレステロールを低く保ち血管を守っている
・閉経を境に、この強力な守護神である「女性ホルモン」が体内から激減する
・「合成のブレーキ」と「回収システム」を同時に失うことで、食事や体型に関係なく血液中の悪玉コレステロールが急激に増える
・余分なコレステロールが血管の壁に入り込んで蓄積し、「プラーク(こぶ)」を作る
・ある日突然プラークが破れ、できた血栓が心臓の血管を完全に塞いでしまう

「私は痩せているから大丈夫」という油断と、危険な動脈硬化

「普段から体型を維持しているし、食事にも気を遣っている」「そういえば健康診断の前の週は少し不摂生だったかもしれない、これはきっとその影響ね」。そう信じて数値を甘く見てしまうのは、健康管理に気をつけているからこそ陥る罠かもしれません。脂質異常症は太った人の病気というイメージも強く、自分には関係ないと思ってしまう気持ちもわかります。

動脈硬化の恐ろしいところは、血管が限界を迎えるまで「何の自覚症状も出ない」というところです。女性ホルモンという強固なバリアに守られてきた女性の血管は、閉経を迎える50代前後を境に丸腰になり、悪玉コレステロール値が急上昇します。特に以下の条件が重なる方は、動脈硬化がどんどん進行してしまいます。

・健診で「LDLコレステロールが高い」と言われているのに放置している
・血圧や血糖値も徐々に高めになってきている
・家事や仕事のストレスから、睡眠不足になりがちである

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

「たまたまの異常」と自分を納得させてしまい、知らず知らずのうちに血管を限界まで追い込むことがないよう、動脈硬化のサインを知っておきましょう。以下の症状を見逃さないでください。

1.少し歩くとふくらはぎが痛み、休むと治る

足の血管の動脈硬化が進み、血流が滞っている「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。動脈硬化は全身の血管に等しく進行するため、心臓や脳の血管も詰まりかけている可能性があるという危険なサインです。

2.歩いたり階段を登ったりすると、胸の奥が締め付けられるように痛む

心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなり、一時的に酸欠状態になっている「労作性狭心症」の危険なサインです。

3.アキレス腱が以前よりも太く、硬くなった

これは、コレステロールが組織に沈着しているサインです。更年期による上昇ではなく、重症になりやすい遺伝的な「家族性高コレステロール血症」が隠れている重要な所見です。より注意が必要なのでぜひ早めに受診しましょう。

まとめ

女性ホルモンの減少が脂質異常症を招いてしまうことは、患者さんとお話していても、あまり知られていない事実だと感じます(閉経後には一般に、LDLコレステロールは20%程度高くなります)。その上、体型維持に気をつけていたのに病気になってしまうのは当然ショックです。

まずは今日、引き出しにしまった健診結果で「LDLコレステロール値」を確認してください。脂質異常があり更年期症状もある場合には、婦人科で減ったホルモンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」を受けることで、動脈硬化の進行を抑え、血管のバリア機能を取り戻せる可能性があります。

よく「これからの人生において、今日が一番若い日」といいます。健康に気を遣っているからこそ、受診の機会を逃さず、これからも健康な日々を送りましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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