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「便に血が混じっている」健診で発覚するも放置→数年後、激しい腹痛で病院へ…40代会社員に告げられた“恐ろしい病名”【医師は見た】

  • 2026.4.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「便に血が混じっているけど、いつもの痔だろう。恥ずかしいし様子を見るとしよう」

40代の会社員Cさんは、健診結果を深く考えずに引き出しにしまいました。時々お尻から出血することはありましたが、痛みもなく、大腸検査への抵抗感から受診を先延ばしにしていました。

しかし、数年後。激しい腹痛と何日も続く便秘で病院に駆け込んだCさんに告げられたのは、「進行した大腸がん」という診断でした。すでに腸の一部が塞がっており、緊急手術で人工肛門(ストーマ)を造設しました。幸い人工肛門は一時的な措置ということでしたが、早くに精密検査を受けていればと思う日々です。

みなさんこんにちは。日夜緊急手術に対応する麻酔科専門医の松岡です。

今回は、「健康診断の結果を、あなたの健康を守るための、次のアクションにつなげられていますか」というお話です。
私を含めて少し耳の痛い話かもしれませんが、だからこそ本記事を通して健康診断や医療の取り扱い方を考えてみてください。

便潜血は、がんが擦れて流した「SOSのサイン」

痔を持っている方は、便潜血陽性やトイレットペーパーに血が付くことに慣れているかもしれません。
しかし、健診の便潜血検査で検出されるのがいつもの痔の血とは限りません。大腸がんは、わずかな出血こそすることはあっても、かなり進行するまで痛みなどの自覚症状を全く出さない病気です。

【便潜血陽性から進行がんへ至るフロー】
・大腸の粘膜に小さなポリープができ、数年かけてゆっくりとがん化する
・がんの表面は非常に脆く、便が通過する際の摩擦で容易に出血する
・目に見えないほどの微量な血液を捉えるのが「便潜血陽性」の正体である
・痛みがないため放置されると、がんは腸の壁を深く侵食し周囲の血管へ広がる
・腸が完全に塞がり、ときに腸に穴が開く
・激しい腹痛とともに救急搬送され手術が必要なことも

「痔だろう」という思い込みと大腸カメラのメリット

「お尻の検査は恥ずかしいし、下剤を飲むのも大変そう」。忙しい毎日の中、検査を後回しにしたいというお気持ちは誰しもあるものだと思います。
実際、便潜血が陽性になっても大腸がんが見つかるのは数%です。本当にただの痔だったということも多いのです。
ただし、危険なのは「痔からの出血の背後に、大腸がんからの出血が隠れていること」を見逃してしまうことです。
精密検査の第一選択は「大腸カメラ(内視鏡検査)」です。最大の強みは、検査中にがんの芽であるポリープを発見した場合、その場で切除して将来のがん化を未然に防げる点にあります。また、出血していないポリープがあったとしても、大腸内をくまなく観察するため、他の病変として発見することも期待できます。一日の受診で、その後の数十年の人生を守ることができるかもしれません。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

大腸がんは早期では無症状ですが、進行すると排便の様子に明らかな変化が現れます。以下のサインに一つでも心当たりがあれば、すぐに専門医へ相談してください。

1.便全体に「赤黒い血」が混ざり合っている

出口に近い痔からの出血なら便の表面に赤い血が付着します。腸の奥深くでがんが出血している場合、血が便と混ざり合いながら時間が経つため全体がどす黒く変化します。

2.便が以前よりも明らかに細くなった

がんが腸の壁を占領して通り道が物理的に狭くなっているサインです。「最近、便が鉛筆のように細い」と感じたら危険信号です。

3.下痢と便秘を繰り返し、お腹が張る

腸が狭くなって便がスムーズに運べず、渋滞と無理な排出を繰り返している状態です。腸閉塞の一歩手前の兆候かもしれません。

まとめ

恥ずかしさや油断から検査を先延ばしにした結果、その後の生活に制限が出てしまうというのは、医療の現場では残念ながら日常的に起こっています。誰もが負担のある検査は避けたいものですし、大腸がんについて詳しくないことも当然のことです。
まずは、お手元の健診結果をもう一度確認してください。
便潜血が陽性なら、迷わず消化器内科の大腸カメラ検査を予約しましょう。現在は鎮静剤を用いて、眠っている間にほとんど痛みなく検査を終えることも可能です。
大切なのは「今」ご自身の健康な未来を選び取ることです。ぜひ健康診断や医療をうまく活用して健康な毎日を守りましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

 

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