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「腸を整えれば痩せる」は間違いだった。かえって“お腹の張り”を悪化させる…意外と知られてない「腸活の落とし穴」とは?

  • 2026.4.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

スポーツジムの管理栄養士として、栄養面からダイエットや健康維持のサポートをしている工藤まりえです。

腸活ブームの広まりとともに、「腸を整えれば痩せる」という情報がSNSや健康メディアにあふれています。

ヨーグルト・納豆・キムチ・食物繊維サプリを積極的に取り入れること自体は悪くありませんが、「腸にいいものはたくさん摂るほどいい」は誤解です。善玉菌や食物繊維を一度に増やしすぎると、腸内環境が急激に変化し、ガスや膨満感、便秘の悪化を招くことがあります。腸活を頑張るほどお腹の調子が悪くなると相談に来た30代女性の事例をもとに、腸活の正しい取り入れ方を解説します。

「腸にいいこと、全部のせ」で始まった違和感

「腸を整えれば痩せるらしいんです」

 そう話してくれたのは、30代女性のAさん。SNSで見かけた“腸活ダイエット”をきっかけに、食生活をガラッと変えたといいます。

朝は全粒粉のパンにヨーグルト、昼の定食には、雑穀ご飯をセレクトして山盛りサラダ、ぬか漬けに納豆をプラス。夜にはおかずにキムチをしっかり添えて、食後には 乳酸菌飲料。

忙しくて食事がおろそかになってしまう時には、乳酸菌のサプリメントや、飲み物には食物繊維を溶かして飲んでいました。

どれも“体にいいもの”ばかりで、本人としてはかなり頑張っている実感があったそうです。

ところが、1〜2週間ほど経った頃から 「なんだかずっとお腹が張っている」と感じるようになり、ほかにもガスがたまりやすくなったり、なんとなくスッキリしなかったりする日が続くように。

「こんなに腸にいいことをしているのに、なんで?」
Aさんの戸惑いはもっともです。体に良いとされる食品を選び、毎日欠かさず取り入れている。それなのに不調を感じるなんて、普通はなかなか結びつきません。

でも実はここに、“腸活あるある”の落とし穴が隠れていました。

「腸にいい」は人それぞれ。合う・合わないの正体

食事記録を見せてもらって、まず感じたのは「かなりしっかり腸活しているな」ということ。ヨーグルト・納豆・キムチに加えて、食物繊維のサプリまで。“腸にいいもの”が1日の中で何度も重なっていました。

ここで大事なのが、「腸にいい=誰にとっても同じようにいいわけではない」という点です。腸内細菌のバランスは人それぞれ異なり、いわば“自分だけの腸内フローラ”があります。

研究では大きく「バクテロイデス型」「プレボテラ型」「ルミノコッカス型」といった傾向に分けられることもありますが、実際にはこれらが混ざり合い、その人の食生活や生活習慣によって日々ゆらいでいます。つまり、「どのタイプだからこれが正解」と簡単に言い切れるものではありません。

自分がどのタイプなのか気になりますが、正確に知るためには医療機関できちんとした検査をしなければわかりません。Aさんについても、相談の際にどのタイプかを特定することはできませんが、発酵食品と食物繊維を一気に増やしたことで腸内環境が急激に変化し、発酵が進みすぎてガスや膨満感につながっている状態と考えられました。

そこでまずは、食物繊維の粉末や乳酸菌サプリメントをいったん中止し、発酵食品の重ねすぎを見直すことに。加えて、腸への刺激になりやすいアルコールも少し控えてもらうことにしました。

「体にいいものを増やす」だけでなく、「一度引いて整える」。そんな視点も、腸活ではとても大切です。

本当に腸を整える近道は「引き算」と「ゆっくり」

Aさんにはまず、サプリメント類をやめていただき、発酵食品は1日1品という“引き算”からスタートしてもらいました。加えて、これまであまり意識してこなかった、こまめな水分補給を心掛けてもらいました。

すると数日でお腹の張りが軽くなり、便通も正常に戻って「なんだかラクです」と表情にも変化が出てきました。

その後は、体調を見ながら少しずつ再調整。ヨーグルトを食べる日は他の発酵食品は控えめにする、納豆の日はキムチを休む、といった具合に“重ねすぎない工夫”を意識してもらいました。一方、食物繊維については、野菜や海藻などの食べ慣れた食品から無理のない範囲で増やしていくようにお話しし、お腹のの反応を見ながら野菜の摂取目標量である1日350gを目安に調整してもらうようにしました。

腸活は、やればやるほどいい“足し算の健康法”ではありません。むしろ、自分の腸の反応を観察しながら調整していく“オーダーメイド”の積み重ねです。

「腸を整えれば痩せる」という言葉だけが一人歩きしがちですが、大切なのは“整え方”。焦らず、やりすぎず、自分に合うリズムを見つけていくことが、結果的に体も気持ちも整える一歩になります。


監修者 工藤まりえ

大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。

 

 

 

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