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マンションは断熱性が高いはず…なのに「2階だけ底冷えする」のはなぜ?1階が駐車場の“ピロティ構造”が崩す常識

  • 2026.5.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で宅地建物取引士や防災士の資格を持つ、ライターの西山です。マンションは戸建てに比べて冬でも暖かいというイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

たしかに一般的なマンションは、上下左右をほかの住戸に囲まれているため、室温が安定しやすいという強みがあります。しかし特定の条件を満たす部屋を選ぶと、想像以上の底冷えに悩まされるケースがあるのです。今回はマンションの常識を覆す「ピロティ構造」の特徴と、購入前に知っておきたい注意点についてプロの視点から解説します。

1階のピロティ構造がもたらす床下の冷えとメリット

マンションの最上階や角部屋は外気に接する面が多くなるため、断熱性がやや落ちることは広く知られています。しかしもう一つ見落とされやすいのが、1階部分に壁を設けず柱だけで建物を支えるピロティ構造の上の階です。

駐車場やエントランス広場として活用されることが多いピロティですが、その真上にあたる2階の部屋は、床下がそのまま外気にさらされた状態になります。通常のマンションであれば、下の階にも人が住んでいるため床下にも暖かい空間がありますが、ピロティの上ではその恩恵を受けられません。

特に築年数の古い物件では、床裏に十分な断熱材が施されていないケースもあり、コンクリートを通じて冷気が直接伝わるためフローリングが冷たくなりやすいのです。一方でこの構造には、限られた敷地内で駐車場を確保できるという大きな利点があります。さらに河川が氾濫した際に1階部分が浸水しても、住戸への被害を軽減できる点は合理的な設計判断といえるでしょう。

耐震面のリスクと補強状況の確認

ピロティ構造の物件を検討する際、底冷え対策以上に注意したいのが耐震面のリスクです。1階に壁が少なく柱のみで支える構造のため、大きな地震の際に1階部分に負担が集中しやすい特徴を持っています。1995年の阪神・淡路大震災では、ピロティ階が崩壊する被害が多数報告されました。

しかし近年は、この教訓を受けて多くのピロティ構造の建物で耐震補強が進められてきました。ピロティ階に耐震壁やブレース(筋交い)を追加する工事は広く実施されており、適切な補強が施された物件では、倒壊リスクが大幅に低減されています。

また、1981年以降の新耐震基準で設計された物件は、ピロティ構造であっても一定の耐震性能を確保しています。とはいえ補強の実施状況は物件ごとに異なるため、個別の確認は欠かせません。購入を検討する際は、不動産仲介会社を通じて耐震診断の実施状況や補強工事の履歴を確認しましょう。

断熱性能のチェックと内見での見極め

冬場の冷え込みを防ぐためには、不動産仲介会社を通じて設計図書を確認し、断熱材の仕様をチェックする作業も重要です。内見は、冬場に行うのがおすすめです。靴下越しでもフローリングの冷たさは感じ取れますし、可能であれば同じマンションの3階以上の住戸と体感を比較してみてください。

ただ、夏や秋の内見では、この問題に気づきにくいため、冬場に内見できない場合は不動産仲介会社や売主に「冬場の住み心地」を直接ヒアリングするのも有効な手段です。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・防災士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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