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「相手が9のはずが7:3に」直進中の事故、弁護士にも相談できず…想定外の示談に追い込まれたワケ

  • 2026.4.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「この事故なら、さすがに9:1くらいだろう」

事故直後、多くの方がそう感じます。明らかに相手の不注意が大きいと感じればなおさらです。しかし、実際に提示される過失割合が想定よりも不利な内容だった場合、どう対応するかで結果は大きく変わります。

「見通しは9:1」そう思っていた事故の状況

ある平日の夕方、Bさんは片側1車線の市街地道路を直進していました。交通量はやや多く、信号のある交差点に向かって緩やかに流れている状況です。

問題が起きたのは、その交差点。対向車線を走っていた車が、右折待ちの状態からタイミングを見て急に右折してきました。

本来であれば、直進車であるBさんの進行が優先される場面です。しかし、相手車両は行けると判断したのか右折を開始。結果として、Bさんの車の前方と相手車両の側面が接触する事故となりました。幸いケガはなかったものの、物損事故として処理されることになります。

事故の状況から見ても、直進車と右折車の関係や相手の見切り発進に近いタイミングなど、Bさん自身は「過失があっても相手が9、自身が1程度ではないか」と事故処理をしながら思っていました。

提示されたのは「7:3」想定外の過失割合

事故から数日後、相手側から提示された過失割合は「相手7:Bさん3」。Bさんにとっては想定よりも大きく不利な内容だったのです。

実はこの事故、交差点進入時の信号の色について双方の主張が食い違っていました。Bさんは「青信号で進入した」と認識していた一方で、相手側は「すでに黄色、もしくは赤に近い状態だった」と主張。

さらに決定的だったのが、ドライブレコーダーの映像がなかったことです。

客観的な証拠がない場合、過失割合は過去の判例や一般的な基準をもとに「双方の主張を一定程度考慮した形」で調整されることがあります。その結果として提示されたのが「7:3」という割合でした。

「こちらは直進していただけなのに、なぜここまで過失があるのか」

そう感じたBさんは、提示内容に強い違和感を覚えます。

弁護士に相談したい…しかし特約がない現実

修理を依頼されていたわたしは、過失割合に納得のいかないBさんに「交渉があまりに難航するのであれば弁護士費用特約を使ってはどうか」とアドバイスしました。

交通事故に強い弁護士であれば、過去の判例に基づいた主張や適切な過失割合の交渉、相手保険会社との対等なやり取りといった対応が期待できます。

しかし、Bさんは弁護士費用特約を付けていなかったのです。弁護士に依頼する場合、相談料・着手金・成功報酬などを含めると、費用は数十万円に及ぶこともあります。弁護士費用特約があれば、上限付きでこれらの費用を補償してくれますが、未加入のBさんは補償の対象外です。

「この事故で、そこまで費用をかけるべきなのか」

Bさんはそう悩み始めます。その後も交渉は続きますが、双方の主張は平行線のまま。

やり取りが長引くにつれて、保険会社との連絡のストレスや相手側の主張への不満、車の修理は完了しているのに修理代の支払いができない不安といった精神的な負担が大きくなっていきました。

仕事中にもふと事故のことを考えてしまい、集中力が落ちる。休日もどこか気が休まらない。そんな状態が続いていきます。最終的にBさんは、

「これ以上長引かせたくない」

という判断を下し、納得しきれない部分を抱えながらも、提示された「7:3」の条件で示談に応じることにしたのです。

事故後に感じた特約の有無がもたらす差

すべてが終わった後、Bさんが強く感じたのは、

「弁護士費用特約があれば、違う結果になっていたかもしれない」

という点でした。

近年は、交通事故において弁護士が介入するケースも増えており、保険会社同士の交渉だけでなく、法的な視点を前提とした交渉が行われる場面も珍しくありません。

その中で、弁護士費用特約の有無は、専門家に相談できるかどうか、交渉の主導権を持てるか、納得できる結果を目指せるか、といった点に影響を与える可能性があります。

事故の過失割合は、「誰がどう見ても明らか」と思えるケースであっても、実際にはさまざまな要素をもとに判断されます。そして、その結果に納得できるかどうかは、「どこまで対応できる手段を持っているか」によって変わることもあるのです。

弁護士費用特約は、普段はあまり意識されない補償のひとつですが、いざという時の選択肢を広げる重要な役割を持っています。

事故に遭ってから後悔しないためにも、今一度ご自身の保険内容を確認してみましょう。


筆者:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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