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久しぶりに実家に帰ったらゴミ屋敷になっていた! 片づけたい娘と捨てられない母親との壮絶すぎるバトルが勃発!【書評】

  • 2026.3.22

【漫画】本編を読む

『母は汚屋敷住人 新装版』(高嶋あがさ/竹書房)は、“片づけられない母”と“片づけたい娘”の壮絶な攻防をコミカルかつリアルに描く衝撃作だ。

30代独身の娘・あがさが長年離れていた実家に戻ると、そこは荒れ放題の「汚屋敷」になっていた。家中に生ゴミやガラクタが放置され、ネズミやゴキブリがはびこり、普通の片づけではどうにもならない光景が広がっている。どこから手をつければいいのかもわからないなか、あがさはチェーンソーやバールといった工具まで持ち出して“ゴミ捨てバトル”を開始するが、最大の障害は腐ったゴミや害虫ではなく、片づけを拒む母親だった――。

隣人からの苦情や行政処分の可能性すら現実味を帯びてくるほどの「汚屋敷問題」は、個人の問題にとどまらず、母親の社会的な生活の破綻としてあがさに重くのしかかる。家事全般を放棄し、生活力や自己管理能力が欠如した高齢者として描かれる母親の姿は、家の中が汚いという描写以上に、いずれ誰もが抱える年老いた親への不安というものを突きつけてくる。

そして、あがさの母親が口にする「捨てる物なんてない!」という言葉は、物への執着を越え、自分の存在や過去を手放せない心理と、家族との根深いズレや断絶を象徴している。あがさが片づけに奔走する姿やそのテクニックも役に立つが、母親との距離感を模索する過程こそ、物語の深みを増すスパイスだ。さらに、新装版には描き下ろしの後日談も収録されており、汚屋敷のその後や母親との関係の変化も描かれているのでぜひ手に取ってみてほしい。

正直、目をそむけたくなるリアルな汚屋敷の描写も含まれるが、本作が示すのは、家族関係と暮らしの深い結びつき、そして家に残された感情の痕跡だ。社会問題としてのゴミ屋敷を扱いつつ、家族の断絶と絆をも描き出すこの一冊は、単なるエンタメを超えた「家族の物語」としての魅力を持つ。

文=甲斐ハヤト

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