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知っておきたい「ホルモン避妊薬の成分と乳がん」の関係

  • 2026.3.18
出典:シティリビングWeb
自分に合う選択のために…成分で変わる「乳がんリスク」の最新データ

こんにちは。産婦人科医の齊藤英和です。

月経不順の改善や避妊など、今や多くの女性にとって身近な存在である「ホルモン避妊薬(ピルなど)」。とても便利な反面、「乳がんのリスクが心配」という声も少なくありません。今回は、薬と賢く付き合うために知っておきたい、最新の研究結果を解説します。

ピルの種類でリスクは違う?210万人の調査でわかった「プロゲスチン」の影響
出典:シティリビングWeb

現在、女性ホルモンは多嚢胞性卵巣症候群などの卵巣機能不全に伴う月経不順、不正性器出血,月経前緊張症、更年期障害、子宮内膜症に伴う月経困難症などの疾患の場合や、健康ですが避妊目的のためなど、いろいろな用途で用いられています。

これらの治療効果や避妊効果はとても良いので汎用性が高いのですが、一方、ホルモン使用によるリスクも指摘されています。そのリスクの代表的な疾患は乳がんであり、近年、乳がんの発生率は閉経前の女性で増加しています。世界的な予測では、2040年までに年間300万人以上の新規発症者と100万人以上の死亡が推定されています。

今回ご紹介する研究は、大規模な症例数でホルモン避妊薬の成分の違いが乳がんリスクにどのような影響を及ぼすかについて検討しています(Hadizadeh F, JAMA Oncol. 2025 Dec 1;11(12): 1497-1506. doi: 10.1001/jamaoncol.2025.4480.PMID: 41165687)。

今回の研究が行われたスウェーデンは全国民を対象とした登録データがあり、かつ、プロゲスチン単独製品が他国よりも多く使用されている状況です。そのため、プロゲスチン単独避妊薬とエストロゲンとプロゲスチンの複合製剤避妊薬が乳がんリスクに異なる効果をもたらす可能性を検討することができます。

この研究の対象者は、2006年1月1日時点でスウェーデンに居住している13歳から49歳の女性で、全人口登録簿および医療出生・患者・教育・がん・処方薬登録簿からの関連データを用いて全国規模のコホート研究を実施しました。フォローアップは、2006年1月1日から2019年12月31日までのデータを使用しました。また、既往歴・治療歴に乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮がん、両側卵巣摘出術、不妊治療がある方、または追跡前に死亡または移住した方は除外されました。最終的に、 診断時の年齢中央値は45歳([IQR]:45-48歳)で、2,095,130人の思春期以降の女性を対象に追跡調査を行い、16,385件の乳がん症例が認められました。

検定は、時間依存型Cox回帰分析を用いて、局所性および浸潤性乳がんの新規症例に対して95%の信頼区間を持つハザード比(HR)を推定しました。

どのホルモン避妊薬でも、その使用は乳がんリスクの増加と関連しており(HR 1.24; 95% CI 1.20-1.28)、7752人あたり1例増加(95% CI 5350-14 070)に相当していました。また、異なる薬剤構成の比較では、複合型(HR 1.12; 95% CI 1.07-1.17)およびプロゲスチン単独製剤(HR 1.21; 95% CI 1.17-1.25)の両方が増加に関連していました。

経口デソゲストレル単独製剤(HR 1.18; 95% CI 1.13-1.23)、経口デソゲストレル併用製剤(HR 1.19; 95% CI 1.08-1.31)およびエトノゲストレル(デソゲストレルの活性代謝物)を含むインプラント(HR 1.22; 95% CI 1.11-1.35)は、レボノルゲストレル含有複合錠剤(HR 1.09; 95% CI 1.03-1.15)および子宮内避妊用具であるレボノルゲストレル 52 mg (HR 1.13; 95% CI 95% CI, 1.09-1.18)と比較してリスクが高くなりました。

また、多くの使用者がいるにもかかわらず、メドロキシプロゲステロン酢酸塩注射、エトノゲストレル膣リング、または経口ドロスピレノンの併用では統計的に有意なリスク増加は認められませんでした。

今回のスウェーデンの200万人以上の思春期以降の女性を対象としたコホート研究の結果、ホルモン避妊薬中のプロゲスチンの種類によって乳がんリスクが大きく異なることが明らかとなりました。

これらの情報に基づいた避妊薬処方を考慮することにより、乳がんリスクのある個人はもとより、そうでない個人においても、よりよい製剤選択をすることができ、これら薬剤の使用の有益性が増す可能性があがると考えられます。ピルにもメリットだけでなく、デメリットもあり、製剤の種類によってもメリット・デメリットの程度が異なることをよく理解して使用するようにしてください。

出典:シティリビングWeb

PROFILE齊藤英和先生

1953年東京生まれ。梅ヶ丘産婦人科ARTセンター長。昭和大学医学部客員教授。近畿大学先端技術総合研究所客員教授。国立成育医療研究センター臨床研究員。浅田レディースクリニック顧問。専門分野は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。

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