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【月刊新作映画レビュー】『ナースコール』ほか3月はコレ観なきゃマンスリー

  • 2026.3.6

3月6日(金)公開『ナースコール』

志が高く、周囲からの信頼も篤い看護師のフロリア。勤務する州立病院の外科病棟は慢性的に人手不足で、この日の遅番シフトはさらにひとりが病欠。インターンの看護学生の面倒も見なければならなかった。患者たちひとりひとりに真摯に接しようとするフロリアだが、要望やクレーム、次々とかかってくる電話、ナースコールへの対応といくつもの仕事を同時にこなし、いつ何が起こってもおかしくない状況。そして混乱の中、投薬ミスを犯してしまう。フロリアの途切れない集中力に息つく間もない緊迫感。『ありふれた教室』主演のレオニー・ベネシュが今回も仕事に誠実であろうとするがために追い込まれてしまう女性を好演。スイス、ドイツ、オーストリアで大ヒットを記録したスリリングな社会派ヒューマンドラマ。今年のアカデミー賞では『国宝』同様、世界約90カ国の代表作から国際長編映画賞の最終候補「ショートリスト」15本に選ばれた。

監督・脚本/ペトラ・フォルペ

キャスト/レオニー・ベネシュ、ソニア・リーゼン、アリレザ・バイラム、セルマ・ジャマールアルディーンほか

3月20日(金)公開『アメリと雨の物語』

日本育ちのベルギー人の不思議な女の子、アメリの成長を描いたアニメーション映画。原作は神戸生まれのアメリー・ノートンによる自伝的小説でベストセラーの「チューブな形而上学」。外交官を父に持つアメリは物心ついた時から日本家屋で暮らし、家政婦のニシオさんを誰よりも慕っている。食べ物や遊び、しきたりなど、日本の生活に興味津々。アメリの視点は海外からやってきた両親、兄や姉とはまるで違っていた。いつかは忘れてしまうかも知れない子どもの頃の特別な記憶を独特なセンスで映し出す。どこか幻想的でノスタルジックな60年代の日本の暮らしが儚く、美しい。アヌシー国際アニメーション映画祭では観客賞を受賞。アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされている。

監督/マイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン

キャスト/ロイーズ・シャルパンティエ、ヴィクトリア・グロボワ、ユミ・フジモリほか

3月20日(金)公開『決断するとき』

キリアン・マーフィーが母国アイルランドの作家クレア・キーガンの世界的ベストセラー小説「ほんのささやかなこと」に魅了され、映画化を熱望。主演のほか、初めてプロデューサーを手がけた意欲作。1985年、アイルランドの小さな町で炭鉱商人として暮らすビルは仕事中、地元の修道院で若い女性と遭遇。彼女たちが行き場もなく、苦しんでいることを目の当たりにする。周囲の人々は事実を知りながら、自分たちの身を守るために口を紡いでいる。家族のために自分も見ないふりをするべきなのか。娘を持つ父親でもある彼は女性たちの行末を案じてしまう。未婚の母たちが拘束され、無報酬で労働させられていた、実在の“マグダレン洗濯所”の人権問題に静かに切り込むヒューマンドラマ。ベルリン国際映画祭では院長であるシスター・メアリーを演じたエミリー・ワトソンが銀熊賞(最優秀助演賞)を受賞。

監督/ティム・ミーランツ

キャスト/キリアン・マーフィ、エミリー・ワトソン、アイリーン・ウォルシュ、サラ・デヴリン、ミシェル・フェアリー、クレア・ダン、 ヘレン・ビーハンほか

3月27日(金)公開『そして彼女たちは』

カンヌ国際映画祭で脚本賞とエキュメニカル審査員賞を受賞したダルデンヌ兄弟の最新作は、5人の少女が主人公という初めての群像劇。若い母親を支援する施設で共同生活を送る未成年のシングルマザーたち。母に捨てられたり、母の恋人の暴力に怯えたり、それぞれに事情がある。幼い子どもを抱え、不安から愛することもできず、将来に希望を見出すことも難しい。子どもを自分で育てるのか、里子に出すのか。時に自暴自棄になりながら、それでも彼女たちは選択していかなければならない。10代の若い母親たちの行く末をカメラは淡々と捉え、それでいて彼女たちの揺れ動く感情が苦しいほど伝わってくる。オーディションで選ばれた、ほとんどが本作で映画デビューを飾った少女たちの瑞々しい演技から目が離せない。

監督・脚本/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ

キャスト/バベット・ファーベーク、エルサ・ホーベン、ジャナイナ・ハロイ・フォーカン、ルシー・ラリュエル、サミア・ヒルミほか

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