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糖尿病を予防する「ドンピシャな睡眠時間」を研究者が発表

  • 2026.3.4
Credit: canva

糖尿病を予防するには睡眠が大切な要因の一つになります。

では、具体的にどれくらいの睡眠時間が最適なのでしょうか?

気になるこの疑問について、中国・南通大学(Nantong University)の研究チームがかなり具体的な数字を示しました。

それによると、インスリン抵抗性(2型糖尿病の前段階)を最も低く保つ可能性がある睡眠時間は約7時間18分だというのです。

研究の詳細は2026年3月3日付で医学誌『BMJ Open Diabetes Research & Care』に掲載されています。

目次

  • 「睡眠時間」と「糖尿病」の関係とは
  • 「7時間18分」が最適?短すぎても長すぎてもよくない

「睡眠時間」と「糖尿病」の関係とは

まず押さえておきたいのは、今回の研究が直接「糖尿病の発症」を調べたわけではない点です。

研究者たちが注目したのはインスリン抵抗性という状態です。

まず、私たちが食事をすると、血液中のブドウ糖(血糖)が増えます。

このとき膵臓から分泌されるのが「インスリン」というホルモンです。

インスリンは、血液中の糖を筋肉や脂肪の細胞へ取り込ませる働きをします。そうすることで、血糖値を正常な範囲まで下げるのです。

ところが体がこのインスリンに反応しにくくなる(抵抗性を持つ)と、血糖をうまく処理できなくなります。

すると、糖が細胞内に取り込まれず、血液中に残り、血糖値が上がって、糖尿病リスクが高まるのです。

この状態がインスリン抵抗性であり、2型糖尿病の前段階と考えられています。

チームは、このインスリン抵抗性を間接的に評価できる指標として「推定グルコース処理率(eGDR)」という値を用いました。

eGDRはウエスト周囲径や血糖値、血圧などのデータから計算される指標で、数値が高いほどインスリン抵抗性のリスクが低いとされています。

分析に使用されたのは、米国で実施されている大規模健康調査「NHANES」のデータです。

研究では2009年から2023年までの調査を利用し、20〜80歳の成人2万3475人が対象となりました。

参加者の平均的な平日睡眠時間は約7時間30分でした。

さらに約半数の人が「週末に平日より長く眠る」と回答しており、いわゆる週末の寝だめが一般的な習慣であることも分かりました。

こうしたデータを統計的に分析した結果、睡眠時間とeGDRの関係には興味深いパターンが見えてきました。

「7時間18分」が最適?短すぎても長すぎてもよくない

統計モデルから推定された「最も良い地点」は、7時間18分前後の睡眠でした。

普段の睡眠時間がこれより短い人の場合、睡眠時間が7時間18分前後に近づくほどeGDRは上昇し、インスリン抵抗性のリスクは低くなる傾向が見られました。

つまり、睡眠不足の人は眠る時間を増やすほど代謝状態が改善する可能性があるという結果です。

一方で、7時間18分より長く眠る場合には逆の傾向が見られました。

睡眠時間がさらに長くなるほどeGDRは低くなり、インスリン抵抗性のリスクが高い方向と関連していたのです。

この傾向は特に女性や40〜59歳の参加者で強く確認されました。

さらに研究では、週末の寝だめの影響も詳しく分析されています。

平日の睡眠が最適時間より短い人の場合、週末に1〜2時間ほど多く眠ることはeGDRの上昇と関連していました。

つまり軽い寝だめは代謝の面でプラスに働く可能性があります。

しかし平日からすでに長く眠っている人が、週末に2時間以上の寝だめをすると、インスリン抵抗性が高くなる傾向が見られました。

この結果は生活習慣や年齢、民族、婚姻状況、教育水準などの要因を考慮しても大きく変わりませんでした。

つまり研究結果を大まかにまとめると、

・睡眠不足の人は少し多めに眠るとよい

・しかし「長く眠れば眠るほど健康」というわけではない

ということになります。

一方で、今回の研究は観察研究であり、因果関係を直接証明するものではありません。

さらに睡眠時間は自己申告であるため、正確な睡眠時間と多少の差がある可能性もあります。

それでも今回の研究は、大規模なデータを用いて睡眠時間と代謝状態の関係に具体的な目安を示したという点で興味深い結果と言えるでしょう。

参考文献

7 hours 18 mins may be optimal sleep length for avoiding type 2 diabetes precursor
https://medicalxpress.com/news/2026-03-hours-mins-optimal-length-diabetes.html

元論文

Association of weekday sleep duration and estimated glucose disposal rate: the role of weekend catch-up sleep
https://doi.org/10.1136/bmjdrc-2025-005692

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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