1. トップ
  2. ファッション
  3. 成田凌さん、“ちょっとしたこだわり”で 「何かイヤなヤツ」を体現しました

成田凌さん、“ちょっとしたこだわり”で 「何かイヤなヤツ」を体現しました

  • 2026.3.4

私たちが“コロナ禍”を体験したのは、まだほんの6年前。
映画『♯拡散』は、あの不安で尋常ではない毎日がふと頭に蘇る作品。
自然豊かな町で静かに日々を積み重ねていた男の生活は、
妻がワクチン接種した翌日に亡くなったことで一変する。
担当医へ抗議する姿がメディアからSNSへと広がり、“反ワクチンの象徴”として
祭り上げられた男は、だんだんと承認欲求にとりつかれ、
まるで別の人格へと変貌していく――。
そんな主人公を怪演したのが、成田凌さん。
もう、その不気味さといったら、「あっぱれ!」と声を挙げたくなるほど。
モデルから俳優へと転身し、12年目を迎えた成田さんの、“演ずる”ことへの
こだわりを聞いてみました。

▼合わせ読みたい

世間がザワつく題材、さてオファーを受けていいものか――?

今回の作品は、チャレンジングな内容なので、
オファーを受けていいものか、初めは少し迷う自分もいました。
でも、僕は港 岳彦さんの書かれるものを絶対的に信頼していますし、
脚本を読み進めてみたら、やっぱり面白かったんです。
今回の脚本は隋に入っていくものといいますか、
読んだときに触れられたくない部分に触れられる感覚があって、そこに魅かれましたね。
この作品をご覧になる方は105分という同じ時間を過ごすことになりますが、
その捉え方はきっと様々だと思います。
それぞれの人がそれぞれの捉え方で、自分の触れられたくない部分を突かれ、
自身と向き合うことになるのかもしれません。

どうしたら「何かイヤなヤツ」になるか―― “ちょっとしたこと”に拘った

そして、その象徴的存在が僕の演じる浅岡です。
浅岡は、意志を持って生きているタイプではなく、
流れゆく時間に身を任せ、ゆったりとした自然の中で日々を過ごしてきた人間です。
そんな彼に、「突然の妻の死」というとてつもないストレスが降りかかります。
以前、人がストレスを感じることランキングというのを目にしたことがあるのですが、
「配偶者の死」が1位だとありました。
そのような大きなストレスを抱える中、欲望を持って近づいてくる人たちにちやほやされ、突然舞い込んだ刺激に本当の自分がわからなくなっていく。
そんな浅岡が、僕にはちょっと滑稽に思えて……。
ハッキリと何がイヤだとは言葉にできないけれど、
「何か愛せない」「何かイヤ」な男になっていくんです。
人の内面と外見は、表裏一体。
では、人としてのややこしさを出すにはどうしたらいいだろうか――、
そう考えて、僕なりに“ちょっとしたこと”を浅岡という役に落とし込んでいきました。
撮影期間中は化粧水やクリームなどを塗らずに肌をカサカサと乾燥させ、
唇も血色の悪い、乾ききった状態に。
“悲劇のヒーロー”として注目が集まる中、鏡の中の自分に笑いかけながらヘアアイロンを
髪にあてる彼の後頭部の髪はぺちゃんと潰れている。
それらが、僕の施した“ちょっとした”仕掛けです。
そして、ファッションでも、「ややこしそうな男」を体現するために、
安っぽさの漂うチェックシャツの重ね着に、ピカピカと光るベルトと、
ちょっとした“イヤな感じ”を積み重ねました。
実は、この洋服は僕が商店で見つけて購入したものなんです。
スタイリストさんと相談して「これで行こう!」と、なりました。
モデルや古着屋で働いていた経験、美容師免許を持っていることなどを生かして、
僕なりのこだわり=“ちょっとしたこと”を掛け合わせていき、
「何かイヤなヤツ」を作り上げたんです。

衝撃のストーリーに挑む中、 富山の自然が心を癒してくれた

そんな混沌とした役柄を演じる中、力をくれたのが富山の美しい自然でした。
本作の終盤に、「こんなに自然がキレイなのに人間は何やってんだ」
というセリフがあるのですが、本当にそのとおりだなと。
外に出ると、街の奥にキレイな立山連峰が見えて、
常にパワーをもらえる感覚がありました。
車で移動している時でさえ窓からずっと美しい景色が見えていたので、
日々心の落ち着いた状態で撮影に臨むことができましたね。
冬の富山での撮影は、確かに寒さで震えることもありましたけど、
雪で白くなっている山々が本当に美しくて。
そして、富山はごはんも最高!
海鮮はもちろんですが、おいしい町中華に出会ってしまって、
毎日、食べまくっていました(笑)。
ああ、またぜひ行きたいです!

ブルゾン¥220,000シャツ¥113,000トラウザー<参考商品>シューズ¥113,000
(すべてエンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社)
お問合せ先:ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社 03-6274-7070

Ryo Narita

1993年11月22日生まれ。
2013年「MEN’S NON-NON」のモデルとしてキャリアをスタート、2014年ドラマ「FLASHBACK」で俳優デビュー。2018年映画『スマホを落としただけなのに』『ビブリア古書堂の事件手帖』での第42回アカデミー賞新人俳優賞受賞を皮切りに、2019年『チワワちゃん』『愛がなんだ』『さよならくちびる』『翔んで埼玉』『人間失格 太宰治と3人の女たち』の計5作品で第93回キネマ旬報ベスト・テンを、同年『カツベン!』では毎日映画コンクール男優主演賞を次々受賞。さらには2020年『窮鼠はチーズの夢を見る』『糸』などの演技で第63回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。以降も2022年『くれなずめ』『まともじゃないのは君も一緒』、2022年『ニワトリ☆フェニックス』、2024年『雨の中の慾情』、2025年『ブラック・ショーマン』など幅広いジャンルで存在感を発揮。

©2026 #VIRAL PRODUCTION COMMITTEE

『♯拡散』
成田凌、沢尻エリカ
淵上泰史、山谷花純、赤間麻理子、
船ケ山 哲、DAIKI、高山孟久
脚本:港岳彦、監督:白金
地方の小さな町で静かに日々を積み重ねていた介護士・浅岡信治の人生は、妻・明希がワクチン接種の翌日にこの世を去ったことで、その慎ましい生活は音を立てて崩れ去る。「なぜ、彼女は死んだのか?」その答えを求めて浅岡は、担当医の高野に対する抗議活動へと踏み出す。その姿が記者・福島美波の目に留まり、地方の片隅で始まった小さな声は、メディアからSNSへ、リアルからネットへと火が付き、浅岡の意志とは裏腹に、彼はいつしか“反ワクチンの象徴”として祭り上げられていく……。2026年2月 27 日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか全国公開

撮影/田頭拓人 ヘアメイク/高草木剛(VANITÉS) スタイリスト/カワセ136(アフノーマル) 取材・構成/河合由樹

元記事で読む
の記事をもっとみる