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「おしるこ」が命をつなぐ?美しい雪山にある「真っ暗な恐怖」… 北海道での救助最前線を取材

  • 2026.3.1

美しい雪山の「落とし穴」

パウダースノーが美しい北海道。外国人スキーヤーに特に人気なのが、スキー場の管理区域外で滑る「バックカントリースキー」です。

しかし、冬山には危険がつきもの…。

2025年1月、富良野市北の峰町の山林でアメリカから来た72歳の男性が、バックカントリースキーを楽しむ途中、吹雪に視界を奪われ、動けなくなりました。

そのとき、救助に向かったのが…北海道警察の「山岳遭難救助隊」です。

Sitakke
提供 道警 富良野市北の峰町 昨年1月

山岳遭難救助隊は、遭難者を一刻も早く救助するため、どんな現場にも駆けつけます。その最前線を見つめます。

極寒のなか人命を守る精鋭部隊に、記者が密着しました。

滑りたくなる斜面こそ危ない?

Sitakke

道内のバックカントリースキーによる遭難者数は、2020年からの5年間で増加傾向にあります。 今シーズンはすでに66人が遭難、このうち2人が死亡しています。

バックカントリーの現場は、圧雪されていない管理区域外の冬山。そこは、いつ雪崩が起きてもおかしくない場所です。

道警・山岳遭難救助隊の作田隆行警部は、「雪崩は起きやすい斜面が35~45度。すごくスキーをするには良い斜面。やる人からするとすぐ滑り降りたい衝動にかられる」と指摘します。

雪に埋もれてしまうと、5分で命を落とす危険もあると言われています。そこで必要なのが…「ビーコン」です。

Sitakke
訓練

「ビーコン」は、雪崩に巻き込まれた遭難者の居場所を特定する送受信機です。 救助隊のビーコンは、最大で50メートル先まで探知できます。

16、17、15、14…ビーコンに表示された数字が小さくなっていきます。この数字が小さくなるほど、遭難者との距離が近いことを表します。

だいたいの場所がわかったら、金属製の棒を雪に刺して、掘り起こす場所を見極めます。## 雪の中に埋まるという恐怖

雪崩に巻き込まれたら、一体どのような状況になるのでしょうか。救助隊の監視のもと、馬場佑里香記者が体験してみました。

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訓練

雪に埋められた馬場記者は、「ああ…冷たい…重い、真っ暗でもう何も見えないです」と、恐怖を口にします。

やがて、掘り起こす音が聞こえ、「大丈夫ですか?」と声がかかります。

無事に掘り起こされた馬場記者は、「さっき埋まっていて一人だったので、音もあまり聞こえなくて、皆さんが来てくれたのが、もうだいぶ安心します」と、安堵の表情を浮かべました。

救助直後の「おしるこ」の秘密

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訓練

救助した後は、低体温症のおそれがあるため、真っ先に身体を温めます。 そこで登場するのが、「おしるこ」です。熱を生み出すカロリーを効率的に摂取できるといいます。

おしるこを食べた馬場記者は、「温かくて甘いものを身体に入れると気持ち的にも安心しますね」とほっと一息。

さらに、搬送には「道警式低体温症ラッピング」を導入しています。エアマットや断熱シート、ブルーシートなどを9枚も重ねて身体を包むのです。

Sitakke

保温されソリに乗せられた馬場記者は、「冷たい空気が全く入って来ないので、中がすごく温かいです」と、その効果に驚いていました。

夜通しの活動と、言葉の壁

救助活動は過酷を極めます。

道警山岳遭難救助隊の長野悟武巡査長は、「午後4時くらいに通報が入って現場に行き、ふもとに下ろしたのが午前3時。疲労に負けず声を出し続けるというのが一番苦労したところ」と振り返ります。

また、山中で出会った外国人に対し、作田警部は英語で安全を呼びかけます。

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「There are many many alpine accident.(山岳事故が相次いでいます)」

「Do you have avalanche beacon?(雪崩ビーコンは持っていますか?)」

「Please act safety.(安全に行動してください)」

これに対し、外国人スキーヤーも「Yes, ありがとうございます」と応じていました。

道警は、バックカントリースキーは、雪山登山と同じ程度のリスクがあると話します。

作田警部は、「山に入るならば冬山登山ができるくらいの知識・経験・装備品を整えなければいけないと思いますし、それが備わってなければ、入ってはいけません。非常に危険ですから。命を落とすことにつながるので」と、厳しく注意を促します。

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アナログな工夫も駆使して

バックカントリーで遭難するのは8割が外国人というデータもあります。道警は、コミュニケーションをとるためにさまざまなツールを用意しています。

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一つは「翻訳カード」です。「Do you have any pain?(痛みはありますか?)」といった言葉を中心に準備しているといいます。

スマートフォンなどの翻訳アプリもありますが、冬山ではバッテリーが切れたり、電波が届かなかったりするときに備えて、カードを持ち歩いています。これは隊員が自ら提案して、手作りしたものだそうです。

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さらに、ポケットティッシュに4コマ漫画で啓発も行っています。 実際にあった遭難事故をもとに、セリフを英語で書いた4コマ漫画をつくり、配布しています。バックカントリーでスノーボードを楽しんでいた人が、崖に気づかずに転落。足をけがして動けなくなってしまうというストーリーです。

道内ではこの先の時期もウィンタースポーツを楽しめますが、安易なバックカントリースキーは、やはり危険です。しっかりとした準備と知識を持って、安全に楽しみたいですね。

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あま

※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年2月13日)の情報に基づきます。

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