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友だちに抱きつきたくなる…「それはゲイだよ」と周りに言われるけど…誰が決めることなの?

  • 2026.2.27

はーいみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。

LGBTQについていち当事者の立場から伝え、お話をするお仕事をしてややしばらく。
この2月にも、講演会で札幌市内はもちろん、道東や道南などいろんな場所にお伺いすることができました。

この10年ほど、近年はバックラッシュの傾向も否めないながらも、性的マイノリティについて人々は、それ以前と比べものにならないほど目をひらくようになってきた気がしています。

当事者であれ非当事者であれ、じぶんごととしても社会問題としても、まっすぐな認知に努めようという方々が確実に増えてきた感じがあるのよね。

「トークしにきてほしい!」というご依頼の多さも、そのひとつの証拠なのかなと思ったり。ありがたい話だわ。

Sitakke
ライター・満島てる子

「発信するいち当事者」という立場として、今後もセクシュアリティに関するどんな疑問やモヤモヤとも向き合っていくつもり。

てかそういえば、こちらの応募フォームにもLGBTQに関するクエスチョン、結構来てるじゃん!
今回はそんな中から、お手紙を2通取り上げようと思います。

読者からのお悩み①「同性の友だちに思わず抱きつきたくなる感情が。これってゲイ?」

Sitakke
Sitakke

読者からのお悩み②「明らかにレズビアンにみえるのに…誰がLGBTQって決めるの?」

Sitakke
Sitakke

ふむ、なるほど。
まずは「モモンガもんきち」さん、「ゆーふぉにあむ」さん、2人ともメッセージありがとう!
それぞれ角度が違うけれど共通しているのは、 その人がLGBTQだという決め手はどこにあるのか という疑問。
これ、講演なんかでもたずねられることが時折あったりするトピックです。

そうねぇ。まず個人的な体験談を語らせてもらいます。

心配やモヤモヤもあったし、「ゲイ」ってまったく名乗っていなかった

Sitakke

あたし自身は、今思えば初恋がディズニー作品『アラジン』の主人公、アラジンその人だったりして。
小さいころから、フェミニンな所作がしっくりきていたし、男性に惹かれる想いがこころのどこかにあったりするなど、自分が「周りの人となんか違う」とはずっと思っていました。

小中高から大学まで紆余曲折がありながらも、大学院生のときに「そうか、ゲイだよな、僕」と、気づくというよりはようやく自らを認め、受け止めるに至ったのですが。

その過程では「モモンガもんきち」さんのように、同性相手に「ああ、あの子に思わず抱きついちゃったなぁ。気持ち悪いと思われていないだろうか…」と心配し、同時に「この気持ち、なんなんだろう」とモヤモヤした経験もあったし。

「ゆーふぉにあむ」さんが話題に出しているAさんよろしく、「男が好きなんだよね?」と聞かれても「いやそうじゃなくって」(本音のところは、ずっとそうだったんだけれどね)と否定し続ける日々を送っていたこともあったりしたのよね。

当然、自分のことを「ゲイ」だとは、まったく名乗っていなかったの。

振り返ってみれば、そうやって迷って悩んでってジタバタしていた昔の時間もひっくるめて、自分はずっと「ゲイ」だったんだよなぁと今は思っているし、それで納得しているんだけれど。

この「ゲイ」という単語を自分を指す言葉だとみなし、安心して使えるようになったのは、現在働いているお店をはじめとするLGBTQコミュニティとようやく出会えてから。

他者から向けられる差別的な目線にも、自分の潜在意識の中にあった「ゲイって悪いことかも」って感覚にも、しっかりと抵抗していける地盤ができてからなんです。

ちなみに、そもそも日本で男性同性愛者を指して「ゲイ」という言葉が当たり前に使われるようになったのも、ここ30年でやっとの話。

あたしの子どものころは「ホモ」という単語(この語、昭和には非道にも病名扱いされていた歴史まであります)が支配的で、身の回りにしっくりくる表現が他になかったので、「ゲイ」というポジティブな表現(英単語"gay"は「楽しげで明るい」という形容詞としてかつて使われていました)にたどり着くまで、ひとりの当事者としてはしばらくかかりました。

「ゲイ」よりもいまだにその存在の可視化が進んでいない、「レズビアン」や「トランスジェンダー」、「バイセクシャル」などの言葉については、あたしの経験と似たような現状が依然あるようにも思います(これらの「ホモ」的な表現としては、「レズ」「おかま」「ニューハーフ」「おなべ」「両刀」などが、現在でも不適切な仕方で使われることがあります)。

どうかしら、「モモンガもんきち」さん、「ゆーふぉにあむ」さん。
ここまで、どんな風に感じたかな?
願わくば、あたしというたったひとりの当事者の事情を覗いてみた場合ですら、「ゲイ」という決め手というか、自分なりの一定の答え/名前に辿り着くために、一筋縄ではいかない道筋を経ているということ。少しでも伝わっていると嬉しいです。

あたしなりのAnswer

Sitakke

さて、2人の疑問は前半の通り、つぶさに答えようとするとどうしても複雑な経路をたどらざるをえないものだよなぁと、あたしは思っているんだけれど。

この話題についてははっきりとお伝えしておきたいこともあるから、ここからはあえてこちらの意見をドンと提示する感じで、続きを書かせてもらうことにするわね。

ではまず、誰がLGBTQだと認めるか、もっと正確に言うと、認める権利があるかについて。
これあたし、とっても大事だと思うんだ。

2人の事例から考えてみましょう。

先に「モモンガもんきち」さんの場合。
これ、あなたの同性とのハグ経験を知った友だちが、その行動に対して 外野から「それはゲイだよ」と言ってきた わけだよね。あなたに自覚は無いのに。

そして「ゆーふぉにあむ」さんの場合は、書き方としては 「世間」という、本人以外からの評価が「レズビアン」 なのであって、当のAさんはそうだと思っていないって状況なんだよね。

つまり、 本人以外が「君、LGBTQじゃね?」って申し渡している パターンに、どちらもなっているわけだ。

これについては、明確に指摘しておきたいんだけれど。

セクシュアリティってその人自身のもの。
自分の性のあり方を認め、決定し、開示する権利は、本人だけのもの。
自己紹介、つまり自分を指す大切な名前として「ゲイ」や「レズビアン」、なんなら「男」や「女」も含めた様々なカテゴリーを名乗ることは、 他の人が勝手に支配したり、コントロールしていいことではないんです。

だから、どれだけ他人が「それゲイっぽい」「レズビアンじゃね?」と言ってきたり、思っていたりしようと。

「モモンガもんきち」さん、あなたが自分のことをゲイだと考えていないなら、あなたは現時点ではゲイじゃない。
そして「ゆーふぉにあむ」さんの事例については、Aさん自身が認めていないなら、Aさんはレズビアンではないの。

これは第一に覚えておいてほしい。

でね、その上でさ。前半のあたしの経験談からも滲み出ているとは思うんだけれど。
この「本人が認める」ということ自体にも、当然の権利行使であるにもかかわらず、LGBTQ当事者にはそこに至るまでのいろんなハードルがあるという事実にも、2人にはぜひ思いを馳せてほしいわけ。

どうか「枷」から解き放たれてほしい

Sitakke

実はあたしね、「モモンガもんきち」さんのお手紙の中で気になったフレーズがあったのよ。
それはね「ゲイなのか?と思って しまう 」ってところ。

ゲイであること、同性を愛することは、犯罪者のような不道徳な状態に陥って しまう ことでは決してありません。

でも、「ホモ」といった語が醸成してきたような、マイナスで後ろ暗い行いだという潜在的な印象が、世の中にはいまだに蔓延しているし、その印象をこの社会に生きる少なくない人たちが、どうやら内面化しているらしい。

そして、それがひとつの引き金となって、当事者のなかにおのれの生き方/本人のセクシュアリティをまっすぐに受け止められなくなって しまう 人間が、あたしのようにいたりするんだよね。

だから「モモンガもんきち」さん。
もしあなたの中に、かつてのあたしと似たような枷が存在するのだとすれば、そこからは解き放たれた方がいい。

その上で、自分がゲイなのかどうか、もっとウソなく考えてみてもいい(その結果、やはりゲイじゃないのなら、それでいい)。

「ゆーふぉにあむ」さんの場合は、そのAさんの心情を(もしこの人が実在の方ならば)、今言ったような側面から拾い直してあげてほしい。

そしてなんなら、自分の価値観や振る舞いにAさんのカミングアウトを妨げるような、心理的ハードルにつながる要素がないかを、今一度考え直してみてほしい。

LGBTQに関して、人々はこの日本でもようやく眼差しを背けなくなってきました。
ですが、その眼差しに隠れたバイアスがどこかで当事者を苦しめていないか、常に再考する必要はあるんです。

せっかくだから2人には、その再考のさきがけモデルとなるような存在になってもらえたらうれしいのよね。このコーナーを通じて知り合えたのも、何かの縁だと思うし。

なんならその縁や小さなつながりの積み重ねこそが、社会を確実に変えるとあたしは信じているから。

2人が、セクシュアリティを見定める権利はその人自身にあると改めて理解し、他者を根本から尊重できる人物になってくれることを。
ひとりのLGBTQ当事者として、あたしは願ってやみません。

ま・と・め♡

というわけで、今回はLGBTQについてしっかり書かせてもらったわ。ちょっと真面目に語ったけれど、それだけ真剣に考えてのことだと思ってもらえたら。
「発信するいち当事者」としても、このコラムは書けてよかった気がするなぁ。「モモンガもんきち」さん、「ゆーふぉにあむ」さん、ありがとう!

性的マイノリティに関する話題、今後も記事にしていけたらいいな。
もし何か聞きたいことがあれば、みなさんどしどし送ってください。

ではではまた次回。Sitakkeね〜!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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